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第11回:LP座談会(第2回・後編)−60年代和ジャズの魅力を熱く語る−
今回は、前回のコラムに引き続きまして、岩波氏、塙氏、三谷氏、菰口氏による「LP座談会−60年代和ジャズの魅力を熱く語る−(後編)」をお送りいたします。第5回目のシリーズ(2008年4月23日発売)の「北村英治のすべて」、「ひばりとシャープ」、「ひばり世界をうたう」から若き日の渡辺貞夫まで、前編の盛り上がりそのままに座談会は進んでいきます。モノラルからステレオへの変換点といった話まで飛び出した、盛りだくさんの後編をお楽しみください。

☆「世界のナベサダ」になる前の、若き日の渡辺貞夫
I(岩浪):渡辺貞夫は丁度バークリーに行く直前で、戻ってきてから最初の録音がポリドールですね。
あれは僕がポリドールに頼んで作ってもらった作品ですよ。
K(菰口):そして「GOIN' HOME」というモダン・ジャズ作があってそのあとジャズ&ボッサですね。
I:そうです。帰ってきてすぐ、渡辺貞夫は日本教育テレビ(現テレビ朝日)で毎週日曜日の午前中に30分間出演していました。
そこでボサノバをやって、そこから日本でボサノバが流行り出したんですよ。
最初にブラジルに渡ったのが渡辺貞夫だからね。
H(塙):この頃渡辺貞夫さんはチャーリー・パーカー一辺倒で・・・ナウザタイムなんかもやっているんですよね。
I:アメリカにわたってからゲーリー・マックファーランドとかがボサノバやビートルズをやっていて、その影響を受けて日本に帰ってきてからボサノバをやったり、段々フュージョンのほうに向かったわけです。
日本を出るまでは、秋吉さんはバド・パウエル一辺倒だったし、渡辺貞夫はパーカー一辺倒だったですよ。
この前、渡辺貞夫のスイートベイジルのライブに行ったら、又昔に戻ってパーカーばっかり。
バラードで、マイ・フーリッシュ・ハートをやったりしていてすごい良かったですよ。
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☆北村英治のすべて
M(三谷):僕はね、このジャケットが素晴しくて、それだけでも出す価値があるな、と。
I:北村英治は今も健在でぴんぴんしていますよ。
彼はライブをとても大事にする人で、やっぱり楽器は触ってないとだめになるからって、毎週1回は東京でライブやっている。
また、彼ほどレコーディングしている人は珍しいですよね。殆どの主要レーベルからレコード出していますからね。
K:スイングジャーナルのファン投票でもほとんど1位で、名実共にNo.1クラリネット奏者ですよね。

北村英治 |
I:北村英治の話だと、彼は当時アルトサックスもやっていて、秋吉さんがコージー・カルテットを作るときに誘われたらしいんですよ。
でも、彼はクラリネットに専念したいからといって、断った。
そのかわりに若くてうまいアルトがいるって推薦したのが渡辺貞夫なんだって。
北村英治はキャッツハードっていう自分のグループ持っていて、そのあと北村英治クインテットを作ったのかな。
増田一郎はずっと昔からメンバーの一人ですよ。この頃は今みたいなスウィング一辺倒ではなくて、バディー・デフランコなんかの影響も受けていてけっこうモダン・スウィングというか結構フィーリングもファンキーですよ。
ドラムの田畑貞一はシャープでやっていたりしているしね。
M:今聴くと、余計いいですよね。
I:実は小野満のコンボに北村英治がメンバーでいたんですよ。小野満はビッグバンドの前はコンボをやっていたからね。
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☆ステレオか、モノラルか・・・時代に揺れた「ひばりとシャープ」
M:当時「ひばりとシャープ」は25センチLPでステレオ盤とモノラル盤とで同時発売だったんですよ。
レコーディングはステレオで・・・
H:当時のエンジニアの話によると 60、61年はステレオでマスターを録ったけどユーザーはモノラルだけの装置、が大半だったみたいですね。
I:モノラルの装置でステレオ盤をかけると違和感があるからね。ジャズファンなんかはモノラルかどうかを気にするよね。
特に流行歌を聞く人たちは装置に関しては関心が薄いからすぐにステレオに切り替えなかったということもある。
当然ひばりユーザーも大部分がモノラルだったと思いますよ。
これがクラシックユーザーだったらステレオが多くなってくると思うけれど。
K:ジャズの場合だと40年代スウィングの時代はビックバンドでアンサンブルを聞かせる時代だったじゃないですか。
それが50年代ビ・バップの時代になって、いわゆるリード楽器が前面に出てきた。そうなったらやっぱりセンターで聞きたいということだと思いますよ。
コロムビアだとSAVOYのブルースエットがモノラルとアナログ両方出しているんです。
これをステレオで聴くとカーティス・フラーのトロンボーンが片側からしか聴こえてこなくて、もう片側はベニー・ゴルソンが吹いているのが聴こえてくる。バラバラなんですよね。
それはそれで面白いけれど、やっぱりビ・バップやハードバップを楽しむということになるとちょっと違うかな、と。
H:中にはステレオでレコーディングされているものもあるみたいなんですけどね。
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☆ひばりとジャズの意外な関係
H:「ひばりとシャープ」はジャズファンの間ではコレクターズアイテムなんですよ。
M:なんといってもジャケットがいいですよね。
H:そうなんですよ。コレクターの方に聞くと、ひばりさんが洋服を着ているっていうのがいいらしいんですよね。
I:ああ、和服じゃなくってね(笑)
僕は祖父がひばりファンで、「悲しき口笛」のころからSP盤を全部買っていて、リアルタイムでずっと聞いていたけれど、ジャズ歌ってもうまいですよね。ノリもいいしフィーリングもいいし。もうまったく天才的ですよ。
M:実はこの「ひばりとシャープ」、録音データを調べていたら当時は10曲レコーディングされていたんですが、恐らく収録分数の関係で2曲お蔵入りになっていたのだと思います。なので25センチ盤は8曲でリリースされたんです。
今回30センチLPということでその2曲を入れました。後1曲、要望がめちゃくちゃ多かった「A列車でいこう」を入れて11曲での発売です。
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ひばり世界をうたう ジャケット
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ひばり世界をうたう 裏ジャケット |
I:ひばりとシャープの組み合わせというのはひばり直接のリクエストだったらしい。
だからひばりのジャズ関係はほとんどシャープですよ。相性もいいよね。
当時、シャープの原さんの話だと、リハーサル中に、例えばラッパの人が音外すと、すかさずひばりさんが「あんた、今音外したでしょ」なんて叱責したそうだね。とにかく耳が良かったらしい。どんな新曲でも家でさらってきて本番はほとんどワンテイクだったみたいだしね。
あと、ひばりさんがしょっちゅうシャープを指名して呼んでくれたんで、原さんがそのお返しに「真赤な太陽」を書いて贈ったんだよね。お礼としてね。
M:「ひばり世界をうたう」もバックはシャープですものね。これはジャケットが両方とも表みたいな感じで作られていて面白いんですよ。
当時は着物を着ているほうが表だったらしいんですけれど、今見ると断然この洋服のほうがいい。
この時代のひばりさんは色々なジャンルの歌を歌っていますよ。
それこそシャンソンからポップスまでね。多分本人の要望があったと思いますよ。
I:僕が思うに、このころは江利チエミとの相互影響もあったと思うんだよね。二人は仲良かったし「チエミがジャズ歌うんだったらあたしだって」みたいなね(笑)
M:あと、当時の資料を調べていて驚きました。
今回、「ひばりとシャープ」にボーナス・トラックとして特別収録する1955年録音の「A列車で行こう」の演奏はフォアブラザーズでした。
すなわち、小野満(b)白木秀雄(ds)高見彰一(p)芦田ヤスシ(ts)です。
美空ひばりさんのヴォーカルもノリノリの歌声で、超絶品です。
一同:それは凄い!!

座談会出席者
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岩浪 洋三(いわなみ ようぞう)
1933年松山市生まれ
ジャズ評論家
元スイングジャーナル編集長
東京芸術大学や桐朋学園大学でジャズの講師を歴任
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塙 耕記(はなわ こうき)
1972年水戸市生まれ。
(株)ディスクユニオン勤務 THINK! RECORDSディレクター
ディスクユニオン新宿ジャズ館の店長、THINK! RECORDSのディレクターという二足の草鞋をはく。自身が監修する「昭和ジャズ復刻シリーズ」はすでに50タイトルを超える大型シリーズとなり、ジャズ業界に一石を投じた。
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三谷 順一
コロムビアME LPファクトリー・チーフスタッフ |
菰口 賢一
コロムビアME ジャズ部門ディレクター |

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2008.04/23発売
北村英治とカンサス・オールスターズ
北村英治のすべて
COJY-9255 ¥3,990(税込) 
名実ともにNo1クラリネット奏者、北村英治、若き日の貴重なアルバム復刻。
1960年の産経ホール・ライブ・レコーディング。オリジナル・ジャケット・デザイン、激レア盤。 |

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2008.04/23発売
美空ひばり
ひばりとシャープ −虹の彼方−
COJA-9252 ¥3,990(税込) 
昭和36年に25センチLPで発売された「ひばりとシャープ」を30センチLPとして復刻。ボーナス・トラックとして昭和30年に録音された「A列車で行こう」など特別収録。 |

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2008.04/23発売
美空ひばり
ひばり世界をうたう
COJA-9253 ¥3,990(税込) 
昭和39年に発売の歴史的名盤の復刻。見開きジャケットも美しい。
ステレオ録音による世界の民謡をお楽しみください。 |
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