"Home Demo覚え書き" 8tr MTR最後の時代。そのカセット作品の極北「ぬけがらとかげろう」Home Demoはそのままずばり完璧な内容だ。おそろしく良くできている。つまり、この時期の手応えが後の宅録ソロ『Hopkins Creek』('00)へとつながったというわけだ。 曲の原型を聴いて驚かれるのはおそらく「壊れた船」と「蜘蛛のブルーズ」だろう。前者はアシッド・フォーク。ソロで聴けるジェリー・ガルシアっぽいクリアなフレーズは例のビザール・ギターの音。あらためてリミックスをしてみてようやくこの曲の面白さに気付いた次第だが、『booby』収録「ダイアモンド・ベイ」同様、自信あるデモ・トラックとなった。後者は小島麻由美にも通じる"歌謡ロック"として提示。今聴くとこのHome Demoのアレンジの方がアルバム・ヴァージョンよりも歌謡性のエグ味が強く、且つ数段色気があって面白いと思える。 「きみのために運をつかいはたそう」はボツ曲とはいえなんとも憎めない曲。NRBQあたりをかなり意識したアレンジで自信満々で提出も採用されず。カーネーションの場合、循環コードは却下されがちだったが、今回、ここに置くことができて今はちょっとホっとしている。そういえば、この曲は数年前に直枝政広&ブラウンノーズで初めてライヴ演奏した。