信念に貫かれた上岡の第九、その真の姿が明らかに。
かつて超スロー・テンポのブルックナー第7番で聴衆を驚愕させた上岡敏之、このベートーヴェン第9番での収録時間はなんと60分。幾度となくその個性的な演奏が話題となってきた上岡だが、そのアプローチは徹底してスコアを読み込んだ結果にすぎない。この演奏を聴きすすむうち、スコアに忠実にあろうとする上岡が導き出した、目の覚めるように新鮮な「第九」の地平が開かれてゆくのに気づき、耳が驚きと喜びで満たされる。
手兵ヴッパータール交響楽団を率いてこそ実現された衝撃の第九。ヴッパータール交響楽団、創設150周年記念イヤーの定期公演オープニング公演より。