長富彩レゾナンス 〜ホロヴィッツ・トリビュート

DISCOGRAPHY ディスコグラフィ

長富彩

レゾナンス 〜ホロヴィッツ・トリビュート

[ALBUM] 2013/01/23発売

レゾナンス 〜ホロヴィッツ・トリビュート

COCQ-84995 ¥2,800+税

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  • 1.ショパン:幻想即興曲 嬰ハ短調 (遺作) Op.66

  • 2.ショパン:エチュード第12番ハ短調《革命》Op.10-12

  • 3.ショパン:ポロネーズ第6番 変イ長調「英雄」 Op.53

  • 4.スカルラッティ:ソナタ ロ短調K.87 (L.33)

  • 5.スカルラッティ:ソナタ ホ長調K.380 (L.23)

  • 6.ラフマニノフ:絵画的練習曲《音の絵》ハ長調 Op.33-2

  • 7.ラフマニノフ:絵画的練習曲《音の絵》変ホ長調 Op.33-7

  • 8.ラフマニノフ:絵画的練習曲《音の絵》イ短調 Op.39-6

  • 9.ラフマニノフ:絵画的練習曲《音の絵》ニ長調 Op.39-9

  • 10.ラフマニノフ:ヴォカリーズ Op.34-14 (Earl Wild 編曲)

  • 11.スクリャービン:エチュード嬰ハ短調op.2-1(3つの小品から)

  • 12.スクリャービン:エチュード嬰ニ短調op.8-12

  • 13.スクリャービン:詩曲「焔に向かって」 Op.72

  • 14.リスト:コンソレーション 第3番

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録音2012年10月21日〜24日 岡崎シビックセンター

20世紀最大のピアノの巨匠のひとり、ウラディミール・ホロヴィッツ(1903-1989)。ウクライナのユダヤの家系に生まれたホロヴィッツは、1928年に劇的なアメリカ・デビューを果たして、圧倒的な人気を誇るピアニストとなる。「悪魔的」と形容されるほどの大きな感動を呼び起こす彼の演奏を支えるのは、最弱音から最強音まで完璧にコントロールされた強弱法と、独特のタッチとペダリングで生み出される色彩豊かなトーンであった。爆音ピアニストのように評されることもあるが、実際には、ホールの一番後ろでも美しく聴こえる最弱音にこそホロヴィッツの特徴があり、それゆえCDでは実際の演奏の魅力を伝えることが難しいと言われてきた。タカギクラヴィアの高木裕社長は、ニューヨークのスタインウェイ社で、ホロヴィッツの専属調律師を勤めていたフランツ・モア氏から、ホロヴィッツの「音の秘密」が、独特の調整が施された特別の楽器にあることを直々に教えられた、という。

長富彩が生まれたとき(1986年)、ホロヴィッツは既に最晩年。ホロヴィッツを生で聴くことはなかった長富だが、ピアニストになることを意識するようになった頃、録音でのみ接することの出来るホロヴィッツを、長富は何故か好きになれずにいた。本人は「食わず嫌いだった」と振り返るが、参考にしようにも所詮真似事のようになって自身の演奏に迷いがでるくらいなら、むしろ近づかないほうがいい、と無意識の判断をしていたのだろう。それだけ、ホロヴィッツが、あまりに圧倒的かつ特異なアーティストなのだ。

転機は急に訪れる。「ホロヴィッツが恋したピアノ」といわれ、彼がコンサートで使い続けたニューヨーク・スタインウェイのピアノ(製造番号CD75)が、タカギクラヴィア社の所蔵となり東京・渋谷やってきたのだ。
約1年間の徹底的なメンテナンスを施されたCD75の「お披露目コンサート」(ピアノ:江口玲、2012年6月19日浜離宮朝日ホール)を聴いた長富は、圧倒的な感銘を受け、自分もこのピアノで演奏をしたい、と強く願った。当時陥っていたスランプから丁度脱しようとしていた長富からは、ホロヴィッツを避け続けてきた自身の迷いが消え、オープンな心でホロヴィッツに接することが出来るようなったのだ。こうして、タカギクラヴィア社の全面的な協力のもと、本企画が生まれることとなった。長富の演奏活動を、CDデビュー時より、楽器面から強力にサポートを続けてきたのが同社の高木裕氏であった、というのは、なんとも運命的だといわざるを得ない。

ホロヴィッツが恋したピアノ、製造番号CD75のニューヨーク・スタインウェイ。唯一無二ともいえる独特のサウンドと圧倒的な表現のポテンシャルを持つこの特別な楽器は、まさにピアノのストディヴァリウスと呼ぶに相応しいもの。録音までの準備期間に長期にわたってこの楽器に対峙することで、長富はこの難しい楽器を弾きこなす術とともに、この楽器のもつ底知れぬ表現力から実に多くの音楽的インスピレーションを得た。ホロヴィッツの愛想曲を中心に集めたこのアルバムは、ホロヴィッツに挑戦するものでも真似するものでもなく、CD75との邂逅を糧に、自身の音楽性を更に高く飛翔させ、正に進化・深化をとげる真只中にいるアーティスト、長富彩の「現在」を生々しく表現するものだ。


New York Steinway CD-75

■1912年6月19日生まれ 製造番号#156975。
完成後すぐSteinway&Sonsのコンサート部に納入され、貸出用のピアノとして、いくつかのコンサートで活躍する。

■1970年代後半ホロヴィッツ専用のピアノとなる。
このいきさつについては、フランツ・モアの著書「ピアノの巨匠たちとともに」に詳しく記されている。

■1981-1982年、ミネアポリス、ボストン、ワシントンなど全米ツアーで使用される。

■1981.6.24-9.24、1982.10.19-1983.8.26の2度、自宅に運び込まれた。

■1981.11.1 Metropolitan Opera House (NY)
このコンサートはライブ録音され、CD「Horowitz at the Met」として販売されている。

■1982.5.22-23 Royal Festival Hall (London)
チャールズ皇太子(当時)がホロヴィッツを招待して開催されたこのコンサートでは、
ウィリアムズ 皇太子誕生間近なダイアナ妃に捧げる「トロイメライ〜シューマン/子供の情景」も奏された。
このコンサートは録音&録画され、「Horowitz in London」としてCDとVHSが発売されている。

■1983.6.11 NHK Hall (Tokyo)
ホロヴィッツ初来日の記念すべきコンサート。
このコンサート後、ホロヴィッツがなぜこの楽器を選んだのかを徹底的に研究するために、
CD-75はスタインウェイ社のResearch & Development部(研究開発部)に入った。

■2011年5月 タカギクラヴィア社の所蔵となる。