「この夏、フジロックに出場します」
思い起こせば今年前半、上間のフジロック出場が決まってからというもの、
上間が日々のライヴやイベントのMCでそう告知するたび、いつもと異なるどよめきと歓声が沸き起こったものです。
そうはいっても、そんなにすごいの?フジロック。
・・・そう思ってました。
なめてました。
真の音楽好きが集まる年に一度の祭典。
能動的に音楽に気を傾ける、観客のオーラ。それがステージのアーティストたちに向けられ、幸福な循環がはじまる。
これが日本随一の音楽フェス、FUJI ROCKフェスの魔力・魅力・誘引力なのだと、私たちは強く思い知った一夜でした。
FUJI ROCK FESTIVAL 1日目。
GYPSY AVALONステージの幻想的なステージで、20時台に行われた、上間綾乃と最強のバックミュージシャンたちによるパフォーマンスは、いつもと様相がことなり、上間綾乃の「ROCK」のスピリットが全面開花したステージとなりました。
前半はソランジュはじめ、上間の「心震わせる」泣き歌などで感情を高ぶらせます。
そして、山の天気は変わりやすいとはいえ、「ソランジュ」のイントロが流れた瞬間でした。
山の神様がまるで曲の内容を知ったかのようなタイミングで降らせた、突然の豪雨。
すさまじいスコール。にもかかわらず、オーディエンスは誰一人立ち去ろうとはしませんでした。
上間は天を仰ぎながら、「空を降りてくる、雨が止められるなら」と歌います。
空と山と雨が、ともにソランジュを歌っている。
そんな感覚に襲われながら、自然の只中で聴くソランジュはまた、格別な想いをとともに響き渡ったのでした。
そして、後半、上間は三線を携える。その三線をエレキギターのように早弾きで弾きまくる、弾きまくる。
ステージを縦横無尽に飛び跳ねながら、
なおもまた、弾きまくる上間。こんな上間の姿は初めてでした。
間の煽りを受けて、観客は踊る。
沖縄の民謡に内在する、異彩を放つリズムの連なりが、私たちの身体の奥底に潜むDNAを呼び覚まし、身体を自然とつき動かすのです。
民謡は、タミノウタ。
彼女がいま伝えたい、民謡というジャンルの本来有するダイナミックで自由なあり方を、その渾身のパフォーマンスで提示してみせた上間綾乃、 その吸い込まれるような美貌をたたえながら、小学校2年生から鍛錬を重ねてきた相棒、三線を縦横無尽につまびく。
改めてこの沖縄が生んだ27歳の逸材のポテンシャルは末恐ろしいものがあります。
FUJI ROCK FESTIVAL '13
2013.07.26 20:10- 20:55 GYPSY AVALON STAGE
Ayano Uema , Vocal&三線
Taisuke Sawachika , Keyboard
Tatsuya Iju, Guitar
Mitsutaka Saito, Bass
Kahori Ono, Percussion
01 サーサー節
02 海のちんぼうら
03 ゆらりゆらら
04 アメイジング・グレイス
05 ソランジュ
06 豊年音頭
07 唐船ドーイ
08 やんどー沖縄
09 新川大漁節
10 ヒヤミカチ
なお、このフジロックでの記念すべきライヴの模様は、
フジロックの公式サイトでライヴレポートのかたちでかっこいい写真とともに、読めます!
http://fujirockexpress.net/13/?p=3266