猪野秀史 INO hidefumi
MILT JACKSON / SUNFLOWER

ダチョウは嫌いですが、動物モノのシルエット・ジャケは好きです。
ミルト・ジャクソンのCTIでの初リーダー・アルバムで、ジャケ
同様にビューティフルな作品。

小梶嗣 KOKAJI mitsugu (編集者・スクラッパー)
ビートルズ 『サジェント・ペッパーズ・ロンリーハーツ・クラブ・バンド』

 悩んだ挙句に選んだ一枚は、「レコード手帖。」の常連執筆者は、名盤すぎて、凡庸すぎて、誰も選ばないであろう、1967年のポップなこの一枚(発売から40年の月日が経っているのですね)。
 はずかしいですが、いいものはいい!と思いまして・・。
 アイデア一発勝負系や写真の美しいファインアートのようなレコードジャケットもいいけれど、ぼくは、本でいうと「ヴァラエティ・ブック」のような、深みがあって複雑な、何度見ても見飽きない、このレコードジャケットが大好きなのです。
 有名な一枚ですから、誰でもこのレコードジャケットの全体イメージを思い浮かべることができると思います。しかし、詳細に何が写っていたかを、あたまの中で完全に再現することが難しい、複雑な絵作りとなっています(福助人形まで置いてあります)。
 撮影には2週間もの時間を費やし、一番最初のカットが採用されました。カメラマンは「ヴォーグ」でも活躍した、マイケル・クーパー(撮影から数年後の1972年に32歳の若さで亡くなっています)。デジタルカメラで短時間に大量の部分撮影をし、PCで合成して一枚の絵を作りだしている現在では、全く考えられない贅沢な時間の使い方です。
 ジャケットの左側に写る、マダム・タッソー作のスーツ姿の4体の蝋人形は、現在、東京にあります。オーナーは東京タワーのろう人形館を経営する藤田元氏。オークションの競り値に運送費と保険料を加えた総額は2,000万円だったそうです(日本には何でもあるのですね)。
 この名盤のレコードジャケット、絵自体が複雑なだけでなく、背景にあるエピソードも満載で、複雑怪奇なのでした。

●追記:レコード棚から、このアルバムを捜してみたら、この通り(ジャケット写真参照 » 写真クリックで拡大)。スクラッパーなので、レコードジャケットにコラージュを施していました。忘れてました・・。

小島泰生 KOJIMA yasuo
デューク・エイセス / 三匹の仔鹿

 旧・三井銀行が新小学1年生のお子さまたちに無料で配ったと思われる片面ピクチャー・ソノシート。

 京都で入手したブツにはジヤケットがついていなかったので、企画の趣旨から外れてしまうが、両面に描かれた絵は素晴らしい出来映え。裏の絵の中の男の子は本当に楽しそうな笑みを浮かべている。

 作詞は室飛鳥、作曲・編曲は三保敬太郎。ボッサ・アレンジで、エレピとヴィブラフォン、フルート、ギター、ベース、ドラムなどで軽快に演奏。鳥の声などの効果音も入っており、最高に心地良い。

 お姉さんとデュークのメンバーによる語りもたっぷりとあり、和ませてくれる。

 ストーリーは「三匹の仔鹿たちが柿をもぐもぐ食べるたびに、お山に種をまいていたら、柿がたくさんなって良かったね」というたわいない内容。

 最後は、お約束の洗脳フレーズ「みなさんもお小遣いをもらったら、全部使ってしまわわないで、ポッポちゃんが柿の種を埋めたように、余ったお金は三井銀行に貯金しましょうね」でビシッと決めている。最高の音楽で、お子様たちへの刷り込みに挑んだものの、効果はどれほどあったのだろうか。

 ただ、厚紙にカラーのソノシートを貼り付けただけの粗末なレコードで、音が悪過ぎるのが残念でならない。


斉藤嘉久 SAITO yoshihisa
miles davis / the musing of miles / prestige

1955年、29歳のマイルス。
録音スタジオで撮影された何気ないポートレイト。
だけど、見るたびに、いつも不思議と引き込まれてしまう。
さびしげな眼差しと、何かを語りかけそうな口もと。
その物憂い表情は、そのまま、当時の彼の音楽を象徴しているかのような印象すら覚えます。


白井俊哉 SHIRAI toshiya
CORNELIUS 「I LOVE LOVE / I HATE HATE」5INCH

2002年のツアー時に製作された複雑な見開き仕様のジャケットがたまらない5吋盤。

ライブ会場ではなくディスク・ユニオンで、しかも中古で買った僕が言うのもなんですが、この数年ロクに顔を出したこともないのに閉店したとたん「ありがとうCISCO」なんて平然とブログに書いてしまう元B-BOYや、小沢健二のことを小沢くんと呼ぶタイプの「昔はレコード屋でウン万円使ったけど最近は、ねえ」などとぬかす元渋谷系少女、『R35』などというヒドいコンピのCMを見てホントにもう一度妻を口説こうと考えてしまうダメ親父、、、つまり僕と同世代の“最近レコードを買っていない”人々は、たとえターンテーブルやポータブルプレイヤーを手放してしまっていたとしても再プレスされ手に入れやすくなったと思われる本盤を買い求め、ジャケットを手にとって見開き、そこに収められているであろうサウンドに思いを馳せて己の所業を悔い改めるが良かろう。


鈴木雅尭 SUZUKI masanori (April Set/Premium Cuts)
NEIL YOUNG / 渚にて (REPRISE RECORDS) LP

毎月10枚のレコメンド盤をチョイスするより圧倒的にこの企画の方が悩みますね。みなさん、きっと百年デザイン的素敵なレコードジャケットを紹介されるんだろうなぁ。。

ニール・ヤングは僕がロックに目覚めた頃にちょうど全盛期で、何度も何度もレコードに針を落とした僕にとって特別なミュージシャン。
武道館での「ライク・ア・ハリケーン」の10分間は衝撃でした。

この人のアルバムで一般的に評価の高いのは『ハーベスト』とか『アフター・ザ・ゴールドラッシュ』とかだと思うけど、その後の『ZUMA』とか本作とかの方がリアルタイム感が強い分思い入れも強く、特にジャケットはこの全然西海岸っぽくない色合いの海で撮られた『渚にて』のデザインが妙に好きです。

タイトルナンバー「渚にて」の歌い出しは「THE WORLD IS TURNING,I HOPE IT DON'T TURN AWAY」。カリフォルニア・ドリームの終焉を歌ったイーグルス「ホテル・カリフォルニア」と同様のテーマを込めて撮られたような構図にも見えますがどうなんでしょうか。

特に冒頭の「ウォーク・オン」「アバウト・トゥ・レイン」の2曲はいまでも部屋聴きレコードのスタメン・クリーンアップ。

アートディレクションはゲイリー・バーデン。
イーグルス的というかウェストコースト的な書体も懐かしい。
百年デザインと言う訳でも、自分の作品でパクりたいデザインと言う訳でも全然ないけど、学校帰り、早マセに毎日のようにレコード屋のロックのコーナーを漁っていた当時を鮮やかに思い出す一枚、と言うことで。


常盤響 TOKIWA hibiki
Jon Appleton / The World Music Theatre of Jon Appleton (Folkways Records)

モノクロの写真、2色刷り、ロゴデザイン、そこはかとなく雑なレイアウトと写真、表情。
俺的には完璧な1枚。


中村智昭 NAKAMURA tomoaki
(MUSICAANOSSA / Cafe Apres-midi)
A Fresh Viewpoint And Muriel Winston

ミュリエル・ウィンストンの慈しみに溢れた、ストラタ・イーストからの大好きな一枚。ピアノはスタンリー・カウエル。
“Children's Triogy”での子供たちのコーラスは、特に印象的。

そして、心から尊敬しているある編集者が、僕の部屋に初めて遊びに来てくれた時にかけたレコード。「ジャケットも良いんですよ」なんて話しをしながら。

それから数ヶ月後、その人からちょっと改まった呼び出しを受けたのです。「カフェをやろうと思うんだけど、手伝ってくれないかな?例えば、中村の部屋のような雰囲気のインテリアで、オレ達の好きなレコードがずっとかかってるようなカフェをさ」と。


橋本徹 HASHIMOTO toru
V.A. / FREE SOUL IMPRESSIONS

 好きなジャケットと言われてすぐに思い浮かんだのは、なぜかトーキング・ヘッズとロバート・ラウシェンバーグの例の限定LPだったが、例によって引っ越しのときに詰めたレコード箱のどこかに埋もれて見つからない。そこでフリー・ソウルの最初のコンピレイション。デザインの吸引力、ということだけでなく、僕が27歳のとき、もう小西さんの影響を受けずに歩んでいこう、という自信のようなものを芽生えさせてくれた一枚。このアートワークがなかったら、と思うと、いつも文句を言い合っているNANAの小野英作にも感謝してしまいます。人は誰も自分の道を進むしかないのだから。


長谷部千彩 HASEBE chisai
ピアソラ:ブエノス・アイレスのマリア(ギドン・クレーメル)

「ブエノス・アイレスのマリア」というタイトルと写真、マットな紙を使った三方背ケース、ピアソラとヴァイオリニスト・クレーメル、詩人オラシオ・フェレールの名前。ジャケットがすでにドラマティックだと思う。


馬場正道 BABA masamichi
V.A. / 心の歌と若者達

ああ、こういう若者達は今、どこにいってしまったのだろう。
素晴らしいレコード・ジャケットは、タイムスリップ(妄想)するためのオカズ。
ジャケットの世界に入るには、やはりLPが良い。
僕も今、このレコードを聴きながら、69年3月を走ってきたところです。
音、空気、匂い。
あの頃は良い時代だったなあ。
僕はまだ卵だったけど。
ハーモニイセンター、3枚目のLP、ライヴ盤。
長谷川きよしさんのデビュー直前、長谷川清志名義の「別れのサンバ」、「歩きつづけて」収録レコード。


濱田高志 HAMADA takayuki
『First Class』 Claude Bolling Big Band, Stephane Grappelli

 いわゆるジャケ買いの衝動に駆られる動機として「デザイン」、「写真」、「イラスト」の三要素あるが、ここでは「イラスト」に惹かれて購入したアルバムを一枚挙げておきたい。
 レイモン・モレッティの名を口にした時、「あぁ、あの」という人は、(少なくとも日本には)さほどいないだろうが、その作品を見れば合点がいくという人なら、いくらかいるかも知れない。
 ところが、彼が活躍したフランスではその認知度は高く、ある時期までは、好むと好まざるとに関わらず、誰もがその作品を日常的に目にしていた。街角に掲げられた看板やポスター、売店に並ぶ雑誌の表紙から舞台美術にオブジェ、レコードジャケットまで、その迸る才能はあらゆる媒体を通して人の目にふれていたのだ。惜しくも3年前に彼はこの世を去ったが、死の直前まで創作に情熱を傾け、晩年に手掛けたシャルル・アズナヴールの公演ポスターを見ても、その華麗な筆致に衰えは見られなかった。
 そんな彼が92年に描いたのが、ここに掲げたアルバム『First Class』のジャケット・イラスト。ステファン・グラッペリがクロード・ボリン率いるビッグ・バンドと共演した屈指の名盤で、未聴の方には是非ともお薦めしたいアルバムだ。なお、このジャケットはオリジナル盤のもので、再発盤では、モレッティが新たなイラストを描き下ろしている。
 この時のふたりのコラボレーションに嫉妬したミシェル・ルグランが、すぐさまグラッペリをフィーチャーしたオーケストラ・アルバムを録音するのだが、それはまた別の話。


バンヒロシ BAN hiroshi
JACKY-MOULIERE(4曲入コンパクト盤)MEDIUM432,882BE

京都WORKSHOPレコードにて購入。
はち切れんばかりの青春とロックンロール!そしてそうでも無いぐらいの楽曲…まさにジャケ買い。
アンリサリバドール氏のレーベルからの発売と言う事しか情報も無いが、エルビス以外は、すべてエルビスに憧れている。と言うことか…バンヒロシ


廣瀬大輔 HIROSE daisuke
JONI MITCHELL & JAMES TAYLOR / IN PERFECT HARMONY (ESCARGOT RECORDS) 1970 USA

JONI MITCHELLとJAMES TAYLORによるマニアの間では良く知られたブートレッグのライヴ盤。バックは2人のギターのみ。デュエットやMCでのあたたかい雰囲気に包まれた極上のライヴ・アルバム。当時2人は1組のカップル。ここからは私の想像です。仕事帰りにふとレコード・ショップに寄ったどちらかが「こんなレコードが出てたよ。」と言って家に持ち帰りました。ちょっとした腹立たしさと共に訝しげな2人。食事も済ませた深夜前に針を落とし聴いてみる。気付くと寄り添ってその時のライヴの話に花を咲かせ、ぺらっと入っているだけのジャケットとも呼べない1枚の紙を取り出し、「ステキだね。」なんて言ってキスをする。赤と白の1組の鳳凰。
小西さんと常盤さんでレコード・ジャケットにまつわる本を出版されるとの事。今から楽しみでなりません。


フカミマドカ FUKAMI madoka
ATOM HEART MOTHER / PINK FLOYD

モウーこの質問は酷。湧き上がるあのジャケこのジャケ、ああだこうだと考えさせられ、結局名ジャケといわれるものに逆戻りして。
作品としてどうかを超えてなにより好きなジャケット。

原子心母。プログレッシヴ牛。ピンク・フロイドの牛はプログレッシヴの牛なり!


堀部篤史 HORIBE atsushi
"DAMAGED" BLACK FLAG

デザインとは目に見えないものを視覚化する技術である、とするならばこのジャケットは秀逸。「ハードコア」という概念を見事に視覚化している。


前園直樹 MAEZONO naoki
高石友也 / 想い出の赤いヤッケ〜高石友也フォーク・アルバム

緑色が好き。港が好き。煙草に火を点ける人の姿が好き。

昭和42年8月発売。写真撮影:水野イサオ。デザイン:原正次郎。この表1に浸った後は、見開き中綴じ頁を繰り、目に飛び込んでくる格好良い写真多数と歌詞の精緻なるレイアウト技まで堪能。座布団* の上で正座,、敬礼すること、しばし。

* 当店に備え付けの座布団は、モチロンすべて30センチ四方の紙製、となっております。ご了承くださいませ。


松永良平 MATSUNAGA ryohei (リズム&ペンシル/ハイファイ・レコード・ストア)
パーシー・フェイス「不滅の古賀メロディー」CBSソニー SOLL 31

美女ジャケとはあまり縁がないのですが、これは別格。
実は、この女性が髪をおろしたヴァージョンもあると知りました。
今、すごく探しているレコードのひとつです。


まつもとたくお MATSUMOTO takuo
キム・ヒャンヨル『きた!!ディスコ』

チープなディスコビートで韓国の演歌をメドレー形式で歌う「ポンチャック」というジャンルのカセットテープ。いい男、いい女、いいイラスト。これだけあればデザインがどうのこうのなんて、もうどうでもいいんです…。


三谷順一 MITANI junichi
美空ひばり / ひばりとマドロスさん

このLPは1963年に、美空ひばりさんの初の30cmLPとして発売されました。
当時、ひばりさんは大ヒットを連発中でした。当時、中学生だった私は広島の宇品という船着場の近くに住んでおり、港の街頭放送で、「港町十三番地」や「ひばりのマドロスさん」など流れておりました。
実に明るい軽快な歌が三谷少年は大好きでありました。
このLPのジャケットも実にすばらしく、45年の歳月をこえて、2008年4月に限定生産にてアナログLPとして復刻いたしました。大好評で予想をうわまる売れ行きで完売まじかです。

コロムビア最年長制作担当 三谷順一(61才)


横目山憲 YOKOMEYAMA ken
CYRIL LEFEBVRE ET SON ENSEMBLE MODERNE 『VIBRATO』(FLEAU 7006) ‘79

ツメの甘ーい異国情緒がウフフ&トホホ。書き割りチックなジャケットが全てを物語るお仏蘭西産・似非ワイハ音楽。ニューウェーヴの俺(僕)流チラ見具合が情けない内容込みで→イイな、コイツ。ベティ・ペイジ・ジャケで御馴染みの『THE BEST MUSICAL COMEDY SONGS』、細野晴臣『泰安洋行』と並べ&眺めたい。あ、大胆さに著しく欠ける加筆の塩梅も素敵です。


レモン LEMON
curtis mayfield / curtis

私は皆さんに語れる程レコードを所有しておりませんが、無類の「黄ジャケ好き」でして。
とにかく黄色のジャケを見付けると一度は手にしてしまいます。
とりわけ「ミュージカル・ヘアー」ものはサンシャインのイメージなのか、黄色率が高く、美しいものが多いです。「ザ・ボストン/ヘアー・ダンスセレクション」はポスターで欲しいくらい。
若い頃は「チャーリパーカー/ジャムセッション」と「カミンスキー/エスプレッソ・エスプレッソ」そして東京スカパラダイスオーケストラ/東京スカパラダイスオーケストラ」が黄ジャケベスト3だったんですが、今回この機会を頂いて久しぶりに吟味した結果、「カーティス・メイフィールド/カーティス」が1位になりました。
この黄色い世界のインパクトは昔も今も変わらず。セクシーなポーズ、さわやかな空、でも暑苦しいこのヒップラインとカーティスのチョコレイトな肌。
この絶妙なアングルが黄色の分量を増やし、私の心を捕えます。そしていつも私にMOVE ON UP!と激をとばしてくださるのです。
私の大切な黄色い御守りです。