芝居好きの若旦那、父親にその芝居三昧を叱られ二階で謹慎となりましたが、どうにもうずく芝居の真似魂。結局は丁稚の定吉を相手に「仮名手本忠臣蔵、七段目」を始めてしまいます。
歌舞伎を題材にした噺は落語に多いのですが、たい平さんの場合、何と言っても当代の人気役者、団十郎と福助の絶品物真似が入りますからまた格別です。
講釈師“不動坊”の未亡人を嫁にもらうことになった吉公はもう有頂天。面白くないのは同じ長屋の独り者連中、この縁談をこわそうとあれこれ算段したあげく、不動坊の幽霊を出そうとしたが、連中どこか間抜けでうまくいきません。
そんなドタバタをたい平さんは爆笑ギャグをふんだんに挟みながら明るく聴かせてくれます。
年の瀬を迎えた魚屋夫婦の情愛を描いた、落語中興の祖、円朝の名作人情噺です。
魚屋勝五郎、腕はいいがこの暮れにきて毎日酒を飲み仕事に出ずじまい。女房に諭され、寒さの中をいやいや出かけた芝の浜で大金入りの財布を拾います。魚勝はこれでもう仕事もせずに遊んで暮らせると家に帰ってドンチャン騒ぎ。ところが翌朝になり女房からは「何故あんな散財をしたんだい」と咎められ、さらには財布を拾った夢でも見たのかと泣き出されてしまいました。さすがにこれで魚勝は心を入れ替え、酒を断ち、働きに働き、借金も返し、とうとう三年目には表通りに店を構えるまでになりました。そしてそんな年の大晦日がまた暮れようとしています。
たい平さんはこの夫婦の愛情溢れるやり取りを丁寧に描き、ほろりとさせてくれます。
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