『さくら〜川口京子“櫻”を唄う〜
COCP-33079 \2,500(税込)

2005.01.19発売

万葉、古今の昔から、あまたの歌人たちによって詠まれ、今もなお人々の心を惹きつけてやまない“櫻”。
そんな櫻の曲を集めて 川口京子が唄う日本の心 ―もののあはれ―。
曲 目 [試聴]
1. 願はくは 詞:西行/作曲:島津秀雄
2. 櫻(さくらさくら) 作詞・作曲: 未詳
3. 見わたせば
作詞:柴田清熙/原曲:ルソー他
4. 作詞:武島羽衣/作曲:瀧廉太郎
5. 青葉の笛
作詞:大和田建樹/作曲: 田村虎蔵
6. 八幡太郎 作詞・作曲: 未詳
7. 児島高徳 作詞:未詳/作曲:岡野貞一
8. はなさかぢぢい
作詞:石原和三郎/作曲:田村虎蔵
9. 土投げ唄 作詞:野口雨情/作曲:藤井清水
10. 絵日傘 作詞:大村主計/作曲:豊田義一
11. 花かげ 作詞:大村主計/作曲:豊田義一
12. さくら 作詞:関原斉子/作曲:中田喜直
13. 作詞: 垣内磯子/作曲: 三平典子
14. さくら横ちょう
作詞:加藤周一/作曲:中田喜直
15. さくら横ちょう
作詞:加藤周一/作曲:別宮貞雄
16. さくら伝説
作詞:なかにし礼/作曲:湯山 昭

プロフィール<川口京子>
 
 子供の頃、歌手の上野耐之氏から歌を教わる。
 早稲田大学第二文学部中退。在学中は郡司正勝氏(歌舞伎、民俗芸能、舞踊史)に傾倒。
 その後歌唄いとなり小島美子氏講演「わらべ唄は生きているか」、藤田圭雄氏講演「唱歌事始」、阪田寛夫氏講演「童謡の天体」、松永伍一氏講演「子守唄」、小沢昭一氏、永六輔氏ライヴ、現代作曲家や詩人の新作展等に出演。「北原白秋」「野口雨情」「日本の唱歌」「戦後のこどものうた」「歌でつづる日本の自然」といったテーマによるソロコンサートやスクールコンサート等で全国各地を巡演。
 日本歌曲、童謡、唱歌、民謡、子守唄等レパートリーは多岐にわたるが、言葉を重視した歌唱を心がけている。1999年度日本童謡賞特別賞受賞。参加CDとして「子守唄ふるさとへの旅(キング)」「近代唱歌集成(ビクター)」「日本語を歌・唄・謡う(アド・ポポロ)」シングルCDとして「逢いたい(ビクター)」がある。e田恆存の評論、武田百合子の随筆を座右に置いている。

“歌唄い” 川口京子の歌

 川口京子さんの名刺には”歌唄い”と書いてある。つまり歌手でもなく、もちろん声楽家でもない、単なる歌唄いに過ぎないという意味だという。本人の意識としては、とても謙遜な心の姿勢を表しているのだが、しかし逆の側から考えてみると、歌手でも声楽家でもない本当の歌唄いをめざしているということかもしれないと私は思う。そしてこのCDをお聞きになった方は、成る程、本当にそうだと思って下さるに違いない。
 何がそう感じさせるかというと、川口さんはまず歌詞を、日本語の歌詞をていねいに、行間に漂うものまで読みとり、それをどう表現しようかと、今度は思いきって歌いきる。そんなことは歌手ならば当り前ではないかと思われるかもしれない。しかし実はそうではない。クラシックの声楽家たちは楽譜から入る。日本語の詩をまず詩として充分に読むということさえ、やられていないことが多い。ドイツやイタリアの歌曲から勉強し、その表現の型の模倣から習うからだ。その意味では演歌の歌手の方がはるかにことばを大切にしている。ただ演歌は経験のつみ重ね、つまり伝統があるから、表現が型にはまってきている。
 ところが川口さんは自由である。“歌唄い”だからである。それぞれの歌の日本語の歌詞に、まったくサラサラの素直な気持で向きあい、入り込む。そしてそこで考え込み、工夫を重ね、思いきって歌いきる。だから歌の心がそれぞれの歌らしい形で私たちの心に届く。ここには邦楽的な歌も、新民謡も、唱歌も、日本歌曲もあるが、それぞれ自然に響いてくる。それが”歌唄い”川口京子の歌なのである。
−小島美子(国立歴史民俗博物館名誉教授)

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