音盤中毒患者のディスク案内

音盤中毒患者のディスク案内 インデックス

2013年5月スタート・クラシックメールマガジンにて配信中のコラム「音盤中毒患者のディスク案内」

メールマガジンのご登録(無料)はこちら


▼過去のコラムをご覧いただけます

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.51]

    ■2017年10月付 ~動的平衡の音楽 ~ 「エリック・サティ 新・ピアノ作品集」高橋悠治(P)~
    高橋悠治が40年ぶりに再録音したサティのピアノ曲集は、何かの映画を意識したのか、「エリック・サティ 新・ピアノ作品集」と銘打たれています。ディスクを初めて聴いたとき、私は、その「新」の一文字に思わず頷いてしまいました。確かに「新しい」、と。このディスクで聴くことができるのは、作曲家、演奏者といった属性をすべて削ぎ落とした匿名の音楽です。でも、それだけなら、高橋自身が言う「ありがちの表現や叙情のない『白い音楽』をさしだす」ことを目指して録音された旧盤と、基本的なスタンスはさほど変わりません。高橋は、旧録音から年月を経て79歳を迎えた今も、純白の音楽としての…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.50]

    ■2017年9月付 ~スティーヴィー・ワンダーの笑顔 ~ クセナキス/プレイヤード ストラスブール・パーカッション~
    それは、「音楽のノーベル賞」とも呼ばれるスウェーデンのポーラー賞の1999年の授賞式コンサートで、その年の受賞者ヤニス・クセナキスの「プレイヤード」の中の「Peux(太鼓)」を、クロウマタ・パーカッション・グループが演奏した映像。6人の打楽器奏者たちが、超快速テンポで激しくリズムを叩きつけながら、一糸乱れぬ超絶的なアンサンブルを聴かせています。その演奏以上に印象的なのが、何度か映し出されるもう一人の受賞者スティーヴィー・ワンダーの姿です。客席で演奏を聴いている彼は、「こんな音楽があるのか!」とでも言いたげな驚きの表情を…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.49]

    ■2017年8月付 ~表現者の刻印 ~ この世でいちばん優しい歌 小林沙羅(S) 河野紘子(P) 高木慶太(Vc)~
    最近、「歌」をよく聴きます。人の声を聴くことの喜びが、歳を重ねるごとに深まり、人肌ならぬ人声恋しいという感覚が、いつも心のどこかにあるからです。特に女性歌手の歌うものに目がなくて、面白そうな音盤を見つけると、つい手が出てしまいます。昨今は古楽系の歌手に素晴らしい人が多く、「当たり」に巡り合う確率も高いので、どんどん深みにはまり、興味も広がっていきます。ですから、都心のCDショップへ行くと、自然と声楽コーナーに足が向いてしまう。見知らぬ音盤を手にとり、麗しい女性歌手の歌声を想像しながら、さてどれを聴こうかと思案するのもまた愉しいものです…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.48]

    ■2017年7月付 ~公園のような音楽 ~「マチネの終わりに」福田進一(g)~
    私は、昼休みになると、気分転換のために職場の付近を散歩します。考え事をしながらブラブラ歩き回ったり、川のほとりの折々の景色に見入ったり、時には、公園のベンチに座り、そこに集まる人たちの姿をボーッと眺めて過ごすこともあります。 お昼どきの公園には、いろいろな人がやって来ます。一人で、あるいは、何人かで現れ、それぞれのやり方で、憩いの時間を過ごしています。
    木々の緑や、花壇の彩りの中で、気の置けない仲間と語らう人たちの声、遊具や噴水で遊ぶ子供達の弾けるような歓声などがシンフォニーのように混じりあい、風と共に公園を吹き抜けていく。それを見聞きしているだけで…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.47]

    ■2017年6月付 ~雲の彼方の音楽 ~ シューベルト/ピアノ・ソナタ第13番 田部京子(P)~
    とある週末の夕暮れ、普段は使わない駅で電車を降りてぶらりと散歩をしていたら、どこからともなくピアノの音が聴こえてきました。マーマレード色の夕焼け空に似合う、センチメンタルな趣の音楽に吸い寄せられるように歩いていくと、いつの間にか駅前の商店街に戻ってきたことに気づきました。
    だんだん暗くなってきたし、そろそろ帰ろうかと、駅の方角から来る人たちの波に逆行して歩きながらピアノの音を聴いていると、その優しい響きに心が和らぐような思いがしました。普段はその手のBGMのサービスは大嫌いで、音楽なんて流さないでほしいと思うくらいなのに、不思議でした…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.46]

    ■2017年5月付 ~バービー・ヤールに激しい雨が降る ~ ショスタコーヴィチ/交響曲第13番「バービー・ヤール」 インバル指揮ウィーン響ほか~
    去る4月1日、ロシアの詩人エフゲニー・エフトゥシェンコが、移住先のアメリカで亡くなりました。 エフトゥシェンコは、1933年にシベリアのイルクーツクで生まれた詩人で、1950年代後半のいわゆる「雪どけ」の時代にデビューし、社会派詩人として絶大な人気をかち得ました。特に、1961年に「文学新聞」に掲載された「バービー・ヤール」は、ナチスによるユダヤ人虐殺の地をめぐって、帝政時代から続くソ連の反ユダヤ主義を告発した詩で、国内外で激しい論争を巻き起こし、1963年のノーベル文学賞にもノミネートされました。そして、この詩に感銘を受けたショスタコーヴィチは、1962年に発表した…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.45]

    ■2017年4月付 ~サウンドトラック・シンフォニー ~ 菅野祐悟/交響曲第1番~The Border 藤岡幸夫指揮 関西フィルハーモニー管弦楽団~
    今さらながら、又吉直樹のデビュー作にして芥川賞受賞の小説「火花」を読みました。面白かった、というより、深い感銘を受けました。これまで又吉という人にはまったく関心がなかったのに、彼の第二作「劇場」が掲載された雑誌を、発売日に早速購入してしまうほどに。昨年秋、ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランに続き、又吉のにわかファンになってしまいました。ああ、ミーハーな私。又吉の「火花」を読みながら、私は、最近聴いた菅野祐悟の「交響曲第1番~The Border」のことを思い起こしていました。二人の「デビュー作」には、いくつか共通点があると思ったからです…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.44]

    ■2017年3月付 ~無条件の音楽~「忘れな草/別れのワルツ~世界のワルツ集」ロベルト・シュトルツ指揮ベルリン響ほか~
    ゆるんでいいんだよ、と声をかけられたような気がして振り返ると、そこには私の大好きな女優さんが大写しになった広告ポスターがありました。彼女のやわらかな笑顔に射抜かれ、歩みを止めて暫し見入ってしまいました。今すぐそのポスターを剥がして持ち去りたいという暗い衝動が芽生えてハッと我に返った瞬間、傍らで私と同じようにポスターを見ている男性がいることに気がつきました。その顔はゆるみきってだらしなく、鏡を見てしまったような猛烈な恥ずかしさに襲われ、照れ笑いしながら慌ててその場を後にしました…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.43]

    ■2017年2月付 ~静寂の音 ~ ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番、パガニーニ狂詩曲 反田恭平(p)/アンドレア・バッティストーニ指揮RAI国立響、東京フィル~
    反田恭平とバッティストーニが共演したラフマニノフ・アルバムを聴いて、ピアノもオーケストラも音を出さない「間(ま)」が一番印象に残ったと言ったら、音楽家に失礼だと叱られるでしょうか?あるいは、何を聴いているのかと笑われるでしょうか? その「間」とは、「パガニーニの主題による狂詩曲」の第18変奏の終盤、トラック23の2分35秒付近からの休止を指します。パガニーニの「24のカプリース」第24番の主題を転回させてできた有名な旋律を…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.42]

    ■2017年1月付 ~映画音楽をめぐる冗長で散漫な随想~
    とある秋の夜、都心の小さな映画館で、古い映画を観ました。50年近く前の公開当時のフィルムを使っての上映で、映像は赤茶色にぼやけていて始終ノイズが入るし、音声も歪んで聞き取りづらい。挙句の果てには、機器のトラブルで10分ほど上映が中断される始末。 真っ暗闇の中で復旧を待つ間、狭い映写室の中で、映写機に絡まったフィルムと汗だくで格闘しているであろう映写技師の方の姿を想像しつつ、ついさっき見た主役の男女の熱いキスシーンの…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.41]

    ■2016年12月付 ~How Does It Feel? -ベートーヴェン/交響曲第9番 ~ バッティストーニ指揮東京フィル~
    ベートーヴェンの「第9」を聴くたびに思うことがあります。一体、何回聴けば、何度演奏すれば、何冊の本を読めば、私は「第9」を理解できるのだろうか、この音楽が私を子供の頃からずっと魅了し続ける源はどこにあるのか、そして、結局のところ、「第9」とは私にとって何なのだろうか、と。きっと答えはあるのだろうけれど、簡単には見つかりません。答え探しに疲れ果て、途方に暮れていると、どこからかこんな言葉が聞こえてきます…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.40]

    ■2016年11月付 ~楽譜の風景 ブルックナー/交響曲第8番 ~ スクロヴァチェフスキ指揮読売日響(2016)~
    スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮読売日本交響楽団の演奏による、ブルックナーの交響曲第8番の最新盤(2016年1月21日 東京芸術劇場でのライヴ録音、COGQ-92)を聴いて、しみじみと思ったことがあります。それは、この交響曲のスコアを前にした指揮者スクロヴァチェフスキの視界には、私が見ているのとは、まったく違う風景が広がっているのではないかということでした。その演奏は、あまりにも私の胸を強く打つものでした。今年93歳を迎えた老巨匠は、全体にゆったりとしたテンポをとり、聳え立つ音楽の偉容を、丁寧に、悠然たる足どりで明らかにしていく。ライヴ録音特有の熱気を孕みつつ、崇高とさえ言える境地へ…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.39]

    ■2016年10月付 ~抵抗と連帯の音楽 フサ/「プラハ1968年のための音楽」~ ブラフネク指揮東京佼成ウィンドオーケストラ~
    チェコ出身のアメリカの作曲家カレル・フサ(1921~)の代表作「プラハ1968年のための音楽」を聴きました。 吹奏楽の世界では有名な曲なので御存知の方も多いと思いますが、「プラハ1968年のための音楽」は、1968年8月にソ連がワルシャワ条約機構軍(WTO)を率いてチェコスロヴァキアに軍事介入した「チェコ事件」への抗議を込めて書かれたものです。 恥ずかしながら、私にとっては縁遠いジャンルの音楽なので敬遠していましたが、限りある人生、未知の領域の音楽への窓を自ら閉ざしてしまうのはもったいないと思いたち…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.38]

    ■2016年9月付 ~ダンディズムに酔う ~ 福間洸太朗「モルダウ~水に寄せて歌う」~
    福間洸太朗の目下の最新盤、「モルダウ~水に寄せて歌う」。アルバム冒頭、福間自身によるピアノ編曲版、スメタナの「モルダウ」の力強いコーダに続いて、私の耳に飛び込んできたのは、打って変わって、そよ風のように爽やかな音楽でした。のびやかで人なつっこい旋律が、アルペジオの伴奏に乗ってサラサラと流れていく。ハ長調のハーモニーは刻々と移ろって淡く彩られ、音の景色も少しずつ変わっていく。強弱やテンポが揺らぎ、高揚と鎮静を繰り返しながら、憧れに満ちた思いが胸いっぱいに広がっていく。「青春」などという言葉を当てはめてみたくなる、はにかんだような初々しいロマンに満ちた音楽。何と美しい曲だろう!と…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.37]

    ■2016年8月付 ~ひとときの涼を求めて ~ イタリア合奏団、寺神戸亮、クリヴィヌ、自然音シリーズ~
    暦の上では立秋をとうに過ぎたというのに、毎日、暑い日が続きます。皆様、いかがお過ごしでしょうか。 今月は、残暑お見舞いということで、ひとときの「涼」を与えてくれる音盤をいくつかご紹介したいと思います。涼しい音楽と言っても、それはあくまで私個人の感想に過ぎませんし、音楽なんか聴かなくても、エアコンや扇風機、冷却グッズ、稲川淳二の怪談、ビヤガーデンがあるじゃないかと言われてしまえばそれまでですが、暫しおつきあいのほどお願いします…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.36]

    ■2016年7月付 ~アファナシエフの技法 ~ モーツァルト/ピアノ協奏曲第9、27番 アファナシエフ(P)円光寺雅彦指揮読売日響~
    尺八音楽の世界には「一音成仏」という言葉があります。「たった一つの音でも、徹すれば仏に通じる」という意味ですが、作曲家の武満徹は「ひとつの音の中に宇宙の様相を見きわめるというような音の在り方」と捉え、仏教とはあまり関係なく、日本人の音に対する感受性を表現していると書いています。 例えば、ヴァレリー・アファナシエフのピアノ演奏から、そんなふうに森羅万象すべてを包含してしまうような「一音成仏」の音が…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.35]

    ■2016年6月付 ~オルゴールは止まらない ~ 冨田勲/イーハトーヴ交響曲 大友直人指揮日本フィルほか~
    冨田勲の「イーハトーヴ交響曲」の第5楽章「銀河鉄道の夜」の中盤、こんな歌詞の賛美歌が歌われます。 いつなのか わかりませんが 主はわたしに いわれるでしょう もうよい おまえのつとめはおわった その地をはなれて ここにおいで どこなのか わかりませんが とわに平和に くらしましょう 御神とともに いつかどこかに この5月、冨田さんは「その地をはなれて ここにおいで」という主の呼びかけに応えられたのでしょうか…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.34]

    ■2016年5月付 ~敷居は低く 思いは高く ~ プラハ室内管弦楽団「プラハの夕暮れ」~
    随分前のことになりますが、自分の好きな曲をレコードからカセットテープにダビングして、「マイベスト」的な小品集を作るのに熱中していた時期があります。愛聴していた小品をレコードを交換せず続けて聴けるようにしたいと始めたのですが、やってみるとそのプロセスが面白くてハマッてしまったのです。まず、46分や60分のテープの両面に収まるように曲と演奏を厳選する。雰囲気が単調にならないようストーリー的な流れを作りながら、全体の構成を組み立てて曲順を決める…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.33]

    ■2016年3月付 ~惚れたものの強み ~ ショパン/ピアノ協奏曲第1、2番 仲道郁代(P) 有田正広指揮クラシカル・プレイヤーズ東京~
    今月は、仲道郁代のピアノと、有田正広指揮クラシカル・プレイヤーズ東京(CPT)によるショパンのピアノ協奏曲第1番と第2番が収められたアルバムについて書きます。 2010年8月に東京芸術劇場でセッションを組んで録音され、同年12月の発売以来、評論家からもファンからも高く評価されている名盤。優秀録音としても知られ、今はSACDのシングルレイヤー盤、ハイレゾ音源としても発売されています。 リリース後5年も経ち、既に広く知られた音盤を…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.32]

    ■2016年2月付 ~父性と母性の黄金比 ~ ブルックナー/交響曲第0番 スクロヴァチェフスキ指揮読売日響~
    指揮者の仕事とは何でしょうか。 指揮する曲のスコアを読んで音楽の明確なイメージを持ち、それを手や体の動き、あるいは言葉や顔の表情を使ってオーケストラに伝え具体的な音にする。本番では、自分とオーケストラの両方をリアルタイムで臨機応変に制御して最良の結果を引き出す。少し考えただけでも超人的な質と量の仕事をこなさねばならないことが分かります。知力・体力・時の運、すべてが必要。 では、それらの仕事のうち一番重要なものは何かというと、「指揮台に立つ」ことではないでしょうか。指揮台なしで指揮をする人もいますし…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.31]

    ■2016年1月付 ~「聴くオペラ」の復権 ~プッチーニ/歌劇「トゥーランドット」 バッティストーニ指揮東京フィルほか~
    オペラを聴くのが好きです。 オペラは総合芸術、観ることの重要性を知らない訳ではありませんが、今ほど舞台上演に触れる機会が豊富でなかった頃にレコードやFM放送を通じてオペラの魅力を知り、オペラは聴くものという意識が身についてしまったせいか、今もオペラを聴くことに格別の喜びを感じます。 限界は自覚しています。視覚情報なしにオペラを聴いていると音楽に浸りきってしまうので、たとえあらすじが荒唐無稽であっても、登場人物のキャラクターや言動が共感を抱きにくいものであっても、それらを無批判に受け容れてしまうのです…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.30]

    ■2015年12月付 ~そこに哀愁があるから ~ 荘村&福田"Duo"、朴葵姫「フェイバリット・セレクション」、濱口祐自"Going Home"~
    山口百恵の「秋桜」の歌詞そのままのような、小春日和の穏やかな、とある日曜の午後のこと。自宅の居間でCDを聴いていたら、家族の熱い視線を感じました。 そうか、私もようやく家族から尊敬を得られる存在になれたのかと喜んだのも束の間。彼女らは、高校生の長女が紙に書いているものと私を見比べ、何やらニヤニヤと笑みを浮かべているではないですか。「君たちは一体何をしておるのだね?」とヘッドフォンを外し、サラサラと紙の上をすべる鉛筆の先をのぞきこむと、そこには、一見して私がモデルと分かる似顔絵がありました。 髪はボサボサ、無精髭は延び放題のむさ苦しいおっさんの絵…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.29]

    ■2015年10月付 ~夏休みの宿題 ~ 美空ひばり「一本の鉛筆」、石川セリ「死んだ男の残したものは」~
    戦後70年を迎えた今年(2015年)の夏、巷ではたくさんの言葉が飛び交いました。集団的自衛権、憲法、立憲主義、民主主義、デモ、そして戦争。 毎日のように耳に飛び込んでくる言葉たちに向き合っているうち、多くの人たちが同じことを口にしているのに気づきました。戦争を望んでいる人なんていない どんなに主張や立場が異なる人たちも、異口同音にそう言います。もっとも、その言葉の次に続く接続詞が「だから」なのか「だけど」なのかでまったく議論が噛み合わなくなってしまうのですが、ともかく、単刀直入に言えば、「戦争はいやだ」と誰もが思っているのは間違いありません…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.28]

    ■2015年9月付 ~突破力のピアニスト ~反田恭平「リスト」~
    反田恭平というピアニストの最大の魅力は何かと問われたら、私はその「突破力」にあると答えます。 「突破力」とは、困難を乗り越えて目的を達する力のことですが、サッカーの世界でもよく使われます。巧妙なドリブルやパスで敵の守備をくぐり抜けシュートする能力、というような意味でしょうか。私は、反田というピアニストには、例えばスーパースターと称されるエースストライカーだけが持っている強烈な「突破力」があると思うのです。 それは、彼が子供の頃、サッカー少年だったという情報から生まれてきた連想では…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.27]

    ■2015年8月付 ~泣きたくなったときは 音盤を聴く ~ 加藤知子「朝の歌~エルガー/ヴァイオリン曲集」~
    ある日の仕事帰り、職場の最寄駅につながる連絡橋のたもとに、一人の女性が立っていました。スマホを見ているのかと思いましたが、どうやらそうではないらしい。時折目のあたりを手で拭きながら、橋の下の絶え間ない車の流れをじっと見つめているようでした。 既に夜9時を回っていましたが、眠らない街の駅は、まだ宵の口とばかり、うつむき加減に黙々と家路を急ぐ人たちや、次の呑み屋へ繰り出そうと気勢を上げる人たちでごった返していました。少し脇にそれた目立たない場所ではありましたが、賑やかな場所で人目を憚らずにさめざめと泣いていた女性は、一体何があったんでしょうか?…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.26]

    ■2015年6月付 ~ただ憧れを知る者だけが ~モーツァルト/クラリネット五重奏曲 プリンツ(cl)ウィーン室内楽合奏団~
    アルフレート・プリンツとウィーン室内合奏団によるモーツァルトのクラリネット五重奏曲のディスクを聴いていて、ふと口をついて出た言葉は「ああ、なつかしい」でした。この曲の代表盤の一つとして親しまれてきた1979年録音の名盤(原盤は独オイロディスク)を聴いたのは、それが初めてのことでした。昨年、惜しくもプリンツが亡くなったと知って彼の演奏を改めてじっくり聴いてみたくなり、モーツァルトとブラームスの同じ編成の2曲がカップリングされた音盤を購入したのです。ウィーン・フィルの首席クラリネット奏者を長年務めた名手プリンツと…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.25]

    ■2015年5月付 ~魂の歌 ~ 「スマイル-母を想う」/幸田浩子(ソプラノ)~
    幸田浩子さんの新盤「スマイル-母を想う」を今月の「音盤中毒」で取り上げようと、自分なりの考えをまとめた段階で、いくつか確認したいことがあったのでライナーノートに改めて目を通していたら、幸田さんの親友で、フリーアナウンサー、エッセイストとして活躍する住吉美紀さんの文章が目に留まりました。彼女は、職業を超え、人生の不条理や人間の強さ弱さに悩み、葛藤し、それでも前向きに日々を歩もうとする、ひとりの女性だ…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.24]

    ■2015年4月付 ~音楽と出会うということ ~ 「アビイ・ロード・ソナタ」1966カルテット~
    最近、ビートルズにハマッています。 いや、これまでもビートルズの音楽は好きだったのです。愛聴する曲もいくつもあります。でも、音盤はベスト盤を1枚持っているだけで、彼らのオリジナルアルバムを集めたり、現役メンバーのファンになったりというようにビートルズにのめり込むところまでは行っていませんでした。 そんな私が、わざわざ「ハマる」というほどにビートルズの音楽に魅せられるようになったきっかけは、ある日、1966カルテットの目下の最新盤「アビイ・ロード・ソナタ」を聴いていて、これはビートルズの「アビイ・ロード」を何としても聴かなければならない!と…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.23]

    ■2015年3月付 ~座右の響(きょう) ~ ウェーベルン/弦楽四重奏のための緩徐楽章(Langsamer Satz) カルミナ四重奏団~
    コロムビアのHPを見ていたら、「デビュー」に関連する話題が二つ掲載されていました。一つは、既に活躍が注目を浴びているピアニスト反田恭平のデビュー盤発売の告知、もう一つは、クラシカル・クロスオーバーの新人オーディション募集開始のお知らせ。 反田恭平については、ピアノレンタルや調律、アーティストマネジメントなどの事業をおこなっているタカギクラヴィアの社長である高木裕氏が、彼のことを絶賛していたので聴いてみたいと思っていたところでしたから、7月に発売されるというデビュー盤と、同時期のバッティストーニ指揮東京フィルとの共演(ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」)が俄然楽しみになってきました…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.22]

    ■2015年2月付 ~虹色の音 ~ イタリア・オペラ管弦楽・合唱名曲集~
    昨年、レスピーギの「ローマ三部作」で鮮烈なCDデビューを果たし、第二作のマーラーの「巨人」と併せて評論家からもファンからも大絶賛を浴びた、イタリアの若手指揮者アンドレア・バッティストーニの通算3作目となるアルバムが発売されました。 今回は、彼が首席客演指揮者を務めるイタリアのジェノヴァにあるカルロ・フェリーチェ歌劇場の座付のオーケストラとコーラスを指揮してのイタリア・オペラの管弦楽・合唱名曲集。ヴェルディ、ロッシーニ、プッチーニ、マスカーニらの代表的な歌劇の序曲・前奏曲や間奏曲、バレエ音楽、そして合唱曲が計10トラック、アリアや重唱のナンバー以外のあらゆるスタイルの名曲がたっぷり70分収録されたもので、いわばイタリア・オペラの「特上盛り合わせ」的なアルバムと言って良いでしょうか…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.21]

    ■2015年1月付 ~「人」を聴く喜び ~ イリーナ・メジューエワのグリーグとメンデルスゾーン~
    あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。 先月の本欄で、最近「レコード芸術」誌に日本コロムビアの広告が掲載されないケースがあると書きましたが、最新の2015年1月には広告が出ていました。今月は、川瀬賢太郎指揮東京佼成ウィンドオーケストラの演奏するマーラーの「巨人」(吹奏楽版)、もうすぐ発売されるバッティストーニ指揮のイタリアオペラ管弦楽曲集と並び、コロムビアのおなじみの廉価盤シリーズ「クレスト1000」に追加された15点が紹介されています。 かつて一世を風靡した名盤や、高く評価されながらも諸々の事情で廃盤になってしまっていた「幻の名盤」が…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.20]

    ■2014年12月付 ~「それから」と「これから」~最近の新譜から(吉松、福間、スクロヴァチェフスキ)~
    早いものでもう12月。あっという間に2014年も終わりです。 この時期になると毎年同じことを思うのですが、今年もいろいろなことがありました。 消費税、集団的自衛権、解散総選挙。STAP細胞。号泣議員。噴火や土砂災害。民族紛争。エボラ出血熱、デング熱。青色LED、私はマララ。オリンピックとW杯。ありのままに。 そして、あのこと。 もうずっと前のことのように思えてしまいますが、あれは今年の2月のことでした。と言っても、私は今ここで、「あのこと」について書くつもりはありません。コロムビアの「それから」について書きたいと思います…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.19]

    ■2014年11月付 ~教室とコンサートホールをつなぐもの ~「あの日教室で歌った 思い出の合唱曲」~
    ある日、CDショップで、何気なく、ふと手にした音盤。ジャケットのイラストは、夕陽の射し込む、誰もいなくなった放課後の教室。黒板には「合唱コン ぜったい優勝!!朝レン来ること!」の文字と、その左下に相合傘の落書き。オビにはこんなコピーが。“みんなで、放課後の教室で練習したね。いつも指揮者だったボク、ピアノ伴奏だった私。男子が歌ってくれなくて、女子はいつもしかめっ面。まとまらなくて大変だったけど、最後はみんな頑張ったよね!…誰の心にもある、懐かしい青春の1ページ。”苦笑しつつ、ぽっと頬を赤らめずにいられないポエムチックな言葉に…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.18]

    ■2014年10月付 ~サウダーヂの正体~
    朴葵姫(パク・キュヒ)のニューアルバム「サウダーヂ」が発売されました。発売以来、上々の売れ行きとのこと、既にお聴きになった方も多いのではないでしょうか。そして、聴く人それぞれの方法で、この魅力的なアルバムを楽しんでおられることと思います。 私にとってはまさに待望のアルバムでした。偏愛してやまないエグベルト・ジスモンチの「水とワイン」が収録されることが予告されていたからです。 「水とワイン」は、時折ピアノで…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.17]

    ■2014年9月付 ~本職は、人間。-濱口祐自「フロム・カツウラ」-~
    濱口祐自というミュージシャンをご存知でしょうか? 6月にコロムビアからメジャー・デビューとなるアルバム「フロム・カツウラ」が発売された新人ギタリストなのですが、ピーター・バラカンや細野晴臣といった人たちが彼の音楽を絶賛していることもあってメディアで取り上げられる機会が多く、ライヴ活動も活発に展開しています。かく言う私も音楽雑誌で彼の記事を読んで俄然興味を持ち、CDを購入して早速聴いてみたのですが、これがとても良かった。世間一般に濱口はブルースギタリストと呼ばれていますし、「フロム・カツウラ」はコロムビアのHPではジャズ/フュージョンの…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.16]

    ■2014年8月付 ~楽しいクラス替え ~「原子心母の危機」モルゴーア・クァルテット ~
    モルゴーア・クァルテットのプログレッシブ・ロックのカバーアルバム第2弾、「原子心母の危機」のディスクをプレーヤーのトレイに載せた時の私の心持ちは、クラス替えを翌日に控えた小学生のそれに近いものがありました。 明日から通う新しいクラスの名簿を見ると、名前と顔くらいは知っているけれど、まだ一度も同じクラスになったことのない子がいる。彼はとても早熟で頭が良く、いつも難しいことを言ったり突飛な行動をして周囲を驚かせることが多く、みんなから「プログレ君」と呼ばれて一目置かれている。私は、これまで接点のなかったプログレ君と仲良くなれるといいなという期待に胸を膨らませる一方で…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.15]

    ■2014年7月付 ~私の好きな歌 ~ さとうきび畑 鮫島有美子(ソプラノ)~
    時の経つのは早いもので、本連載を開始してから1年余りが経ちました。読者の皆様のご愛顧に、心より御礼申し上げます。 ところで、私はここで一体「何」を書いているのでしょうか?タイトルに「ディスク案内」を謳っているのでコロムビアのディスクの紹介をしているのは間違いないのですが、「評論」ではなく「読みもの」であるのは自明として、「コラム」と「エッセイ」のどちらなのでしょうか?コラムニストの小田嶋隆氏の定義に従えば、前者が、対象に対していろいろな距離をとって職人的に文章を書ける人の手によるもの…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.14]

    ■2014年6月付 ~あの頃の未来 ~ マーラー/交響曲第1番「巨人」 バッティストーニ指揮 東京フィル~
    コロムビアの新譜、アンドレア・バッティストーニ指揮東京フィルハーモニー交響楽団の演奏するマーラーの交響曲第1番「巨人」のディスクを聴きながら、私の脳裡を駆け巡っていたのは、かつての大ヒット曲の歌詞に出てくる「あの頃の未来」という言葉でした。 ここで、マーラーが「巨人」を作曲していた当時のことを「あの頃」と呼ぶとすれば、彼の死後100年以上が経った21世紀を生きる私たちは、マーラーにとっての「あの頃の未来」についてよく知っています。しかし、当然ながら…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.13]

    ■2014年5月付 ~星に願いを ~ スメタナ/連作交響詩「わが祖国」 ノイマン指揮 チェコ・フィル~
    あなたが最初に聴いたコロムビアのディスクは何ですか? そんなアンケートをしたら、きっと面白い集計結果になるでしょう。世代や男女によって多彩なディスクが挙げられるはずですが、私の世代なら、ゴダイゴや榊原郁恵、河合奈保子、あるいは仮面ライダーの主題歌などを歌っていた子門真人が多いでしょうか。クラシックだと、70~80年代に人気のあったチェコや旧東独の演奏家たちのディスクが強いのではないかと予想します。 私の場合も…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.12]

    ■2014年4月付 ~おいしいお米、ごちそうさん 伊福部昭/プロメテの火 広上淳一指揮 東京交響楽団~
    今年、生誕100周年を迎える伊福部昭は、私にとっては「近くて遠い」作曲家でした。 どうして近いかというと、私の先祖代々の墓が、伊福部が学長をつとめていた東京音楽大学の隣の墓地にあり、また、私の大学時代の下宿が伊福部の自宅のすぐ近くだったので、もしかしたら私はどこかで伊福部とすれ違っていたかもしれないからです。しかし、なぜか私はこれまで伊福部の音楽をちゃんと聴いて来ませんでした。「ゴジラ」の音楽を書いた人、日本古来の土俗的な音楽を取り入れた作品を残した人、芥川也寸志や黛敏郎の先生、そして一部熱狂的なファンがいる、というくらい程度の認識。だから…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.11]

    ■2014年3月付 ~リッチの逆襲 バッティストーニ指揮 東京フィル~レスピーギ/ローマ三部作~
    少し前のことですが、発泡酒のテレビCMで「リッチ」という言葉が使われていました。バブル崩壊後の長い不況とデフレ経済の時代を通して、リッチなんていう言葉は聞かなくなって久しく、ほとんど死語かと思っていたのでとても新鮮に響きました。デフレ時代の申し子のような発泡酒にもリッチを売りにした商品が出るということは、もしやこれは景気が上向いていることの表れなのかと、ほとんど実感はないながらも、ちょっと気持ちが浮き立ったりしました。そんな「リッチ復権」ともいうべき気運にぴったりのディスクを聴きました。コロムビアからリリースされたイタリアの…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.10]

    ■2014年2月付 ~私の人生を変えた一枚 マーラー交響曲全集~インバル、フランクフルト放響~
    「私の人生を変えた一枚」なんていうと大袈裟かもしれませんが、そう呼びたくなるくらいに思い入れの強いディスクは誰にでもあるのではないでしょうか。音楽との出会いとなった一枚、自分の意志で初めて買った(買ってもらった)一枚、あるいは何か特別な個人的な思い出の詰まった一枚など思い入れの種類にはいろいろあるでしょうが、もしこれを聴かなかったら別の人生を歩んでいたかもしれないと思わずにいられないもの。音楽を聴く醍醐味はナマにこそあるという考え方も理解しつつ、音盤に触れて豊かな時間を過ごし、時に「人生が変わる」くらいの体験を得られるからこそ、私たちファンはせっせと音盤を買い続けて…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.09]

    ■2014年1月付 ~空(くう)のショパン~「バラードの音魂(おとだま)を求めて -ショパン作品集- 」福間洸太朗(P)~
    あけましておめでとうございます。昨年5月より連載を開始した「音盤中毒患者のディスク案内」ですが、おかげさまで無事(?)年を越すことができました。本年は、昨年よりは内容のある文章をお届けできるように精一杯努力致しますので、おつきあいのほど何卒よろしくお願いします。さて、2014年最初のディスク案内として、昨年11月発売の、ピアニスト福間洸太朗のコロムビア移籍第二弾となるショパンの作品集を取り上げます。2013年3月に岩舟町文化会館でのセッション録音で…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.08]

    ■2013年12月付 ~上岡敏之指揮ヴッパルタール響ほか ベートーヴェン/交響曲第9番~
    早いもので12月になりました。ベートーヴェンの「第9」のシーズン到来。今年も今月だけで全国津々浦々の会場で180回近く(筆者がフリーペーパーで調べた結果)「第九」が鳴り響きます。 私はと言えば、もう既に11月から「第9」シーズンに突入しています。さすがに180回も聴いてはいませんが、ほぼ毎晩のように「第9」を聴き、通勤電車の中で「第9」に関する書籍を読み、歩いている間も「第9」を脳内再生という状況で、今、私の血液検査をすれば、「第9」の血中濃度が高くて要検査となることでしょう…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.07]

    ■2013年11月付 ~音楽の人格 ~『ロマンティック・メロディーズ』高嶋ちさ子(Vn)~
    音楽に人格があると言ったら笑われるでしょうか。そもそも音とは空気の振動でしかないのですから、音がいくら集まったところで何かを考えたり行動したりする主体にはなり得ず、音楽が人格を持つはずはありませんが、人格があるかのように見なすことはできる。音楽を人格化する、つまり「仮に意志のある人間と見なす(新明解国語辞典)」ということ。 考えてみると、私が音楽を聴く時には、いつもその人格化を無意識のうちにやっています。聴こえてくる音楽自体を人間に見立て…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.06]

    ■2013年10月付 ~インテルメッツォ(間奏曲) ~ライナーノート雑感~
    来年(2014年)の消費税率引き上げが正式に決まりました。きっと音楽ソフトの値段も上がるのでしょう。コロムビアの新譜CDの値段は通常税抜き2,800円、税込2,940円ですから、増税後も本体価格が同じだとすると、税込価格は3,024円、最終的に税率が10%になれば3,080円という計算。CD一枚3,000円は高いか安いか。私の感覚では、海外メジャーレーベルの新譜CDの輸入盤の価格…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.05]

    ■2013年9月付 ~私に似合う音楽 -田部京子CDデビュー20周年に思う-~
    私はピアニストの田部京子のファンです。コロムビアからCDデビューした翌年(1994年)に発表されたシューベルトのピアノ・ソナタ第21番を聴いて深い感銘を受けてからのことですから、ファン歴はほぼ20年となります。・・・と書いたところで、ふと手が止まってしまいました。私が田部京子のファンだと書きましたが、一体何をもってファンだと言えるのか、考えているうちにだんだん分からなくなってしまったからです。確かに私は彼女がリリースしてきたCDは全部…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.04]

    ■2013年8月付 ~クール・ジャパンの原風景 『ふるさと~日本のうた~』 幸田浩子~
    「日本人の心の原風景を映す懐かしいあの歌、この歌」 幸田浩子さんの6枚目のニュー・アルバム『ふるさと~日本のうた~』のオビには、こんな宣伝文句が書かれています。 なるほど、御意です。確かに、幸田さんの歌う19曲の日本のうたを聴いて、「私の心の原風景」を見た気がします。 「私の心の原風景」とは何かというと、実は、歌そのものとは関係のないものです。なぜなら、私は、山で兎を追ったことも、川で小鮒を釣ったこともないし、ペチカも見たことはないし、「姐や」なんて呼ぶ人はいないし、私の周囲では15で嫁には行けない。せいぜい白黒の映像で見る昔の日本の風景くらいの距離感で…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.03]

    ■2013年7月付 ~15秒の鮮烈 ~ 日下紗矢子『リターン・トゥ・バッハ』~
    新人の作品には一言半句の鮮烈があればよい。(芥川賞 ~ 「風に訊け」開高健 集英社) これは、1980年代に某週刊誌で開高健氏が担当していた読者対象の人生相談(ライフ・スタイル・アドバイス)のコーナー「風に訊け」で、読者からの「芥川賞の選考委員の中であなたの選評が一番厳しい。あなたが満点を与える基準は何か?」という質問に答えて述べた開高氏の回答の一部です。氏は、新人の作品には満点など…

    続きはこちら

  • [音盤中毒患者のディスク案内 No.01]

    ■2013年5月付 ~歌が結ぶ点と線 ~ 朴葵姫『スペインの旅』~
    不覚でした。こんなに素晴らしいアルバムが既に半年前に出ていたのに聴かずにいたなんて。最終的に聴くことができたのだからそれでいいかという気もしますが、これまでこのアルバムを聴かずにいた時間がもったいないとさえ思える。あの時、このアルバムが自分の傍にあれば、立ち直りも早かっただろうにと悔しく思えたりもする。何を大袈裟なと言われるかもしれませんが、日々、音盤を聴いて活力を取り戻すことの多い私にはよくあること。私は昨年(2012年8月)に発売された…

    続きはこちら

  • 粟野光一(あわの・こういち) プロフィール

    1967年神戸生まれ。妻、娘二人と横浜在住。メーカー勤務の組み込み系ソフトウェア技術者。8歳からクラシック音楽を聴き始めて今日に至るも、万年初心者を自認。ピアノとチェロを少し弾くが、最近は聴く専門。CDショップ、演奏会、本屋、映画館が憩いの場で、聴いた音楽などの感想をブログに書く。ここ数年はシューベルトの音楽にハマっていて、「ひとりシューベルティアーデ」を楽しんでいる。音楽のストライクゾーンをユルユルと広げていくこと、音楽を聴いた自分の状態を言葉にするのが楽しい。

    http://nailsweet.jugem.jp/