クレスト1000シリーズリリング/J.S.バッハ:オルガン名曲集商品情報

クレスト1000シリーズリリング/J.S.バッハ:オルガン名曲集

クレスト1000シリーズ<br>リリング/J.S.バッハ:オルガン名曲集

[ALBUM] 2006/12/20発売

クレスト1000シリーズ
リリング/J.S.バッハ:オルガン名曲集

COCO-70876 ¥1,100 (税抜価格 ¥1,000)

(1)トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
(2)小フーガ ト短調 BWV578
(3)前奏曲とフーガ ロ短調 BWV544
(4)幻想曲とフーガ ト短調 BWV542
(5)パッサカリアとフーガ ハ短調 BWV582

ヘルムート・リリング(オルガン)

録音:1974年
★宗教音楽の第一人者で、日本のバッハ愛好家の根強い支持を受けるリリングが、本拠地として活躍していたシュトゥットガルト記念教会のオルガンで収録したバッハの名曲集です。世界に先駆けてPCMデジタル録音を実用化した日本コロムビアの最初期デジタル録音の成果の一つであり、1997年にPCMデジタル録音25周年を記念してテクノロジーを結集した徹底的なリワークとリマスタリングがなされた作品です。

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デンオン・レーベルでは1972年から世界に先駆けてPCM録音機によるクラシック録音を行ったが、様々な制約から録音対象は海外演奏家も含め、日本で録音可能な対象に限られたため、レパートリーの偏りは否めなかった。
PCM録音レコードの演奏・音質の評価が高まるとともに、クラシックの本場ヨーロッパで録音という夢は膨らんでいったが、初代録音機(コンバーター、VTR、モニター)の総重量約500kgという物理的な壁が立ちはだかっていた。しかし日進月歩のデジタル技術の進歩により電子部品の容積は急激に小さく、反対に性能は幾何学的に上昇して、2年後に改良された2号機は重量、体積ともに半分となった。これならば、飛行機に乗せて海外で録音ができる!遂に制作スタッフはヨーロッパでの録音を模索し始めた。そして1974年11月のコロムビアスタジオの廊下は夥しい機材、補修部品、ケーブル、そして百科事典が並べられたようなVTRテープ箱で埋め尽くされ、技術陣は総重量1トンにも及ぶ第1回PCMヨーロッパ録音機材リスト作成と点検漏れがないか、入念にチェックしていた。
羽田!での壮行会の後、スタッフと機材はパリに飛び、日立のパリ倉庫の一角を借りて空輸された機材の異常の有無を確認し、まもなく迎える歴史的な瞬間に備えていた。 そしてパリ左岸のリバン教会に据付けられた機材は11月25日、録音を開始し始めた。曲目はモーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第1番で独奏はジェラール・ジャリ、伴奏はジャン=フランソワ・パイヤール指揮のパイヤール室内管弦楽団。 ゴシック様式の天井の高い、豊かな響きの会場はモーツァルトの華やかな音楽を更に魅力的なものにしていた。 ディレクターはこの共同制作のパートナー、エラート社のミシェル・ガルサン、 そして、エンジニアは、永らくエラートの名録音を手がけてきたデンマーク人、ピーター・ヴィルモース。彼は以降、20年以上もコロムビアの海外制作・録音に大きな功績を残してきた。 リバン教会で2LP分を収録し終えると、直に機材はパリ郊外のグリシーにある小さな教会に移動され、バッハの「音楽の捧げもの」の収録が始まり、マクサンス・ラリューのフルートでフリードリヒ大王のテーマがモニタースピーカから済んだ響きで聴こえて来た。 しかしながら、良い事ばかりではなく、問題も生じている。教会の周囲はバラの温室栽培用のビニールハウスが立ち並び、寒くなると一斉に暖房用電気ヒーターの電源が入る。すると220Vの電圧が急激に下がり、録音機の電子回路が不安定になり、録音不可能となってしまう。技術スタッフは電圧計を始終監視して電源の安定を図らなければならなかった。 フランスでの録音を終えたスタッフはデジタル録音の威力を発揮する音源、パイプオルガンの収録のためにヴィルモースと共に西ドイツ、シュトゥットガルトに向かった。 ヴィルモースは過去、エラートやVOXなどに数々のオルガンの名録音を行ってきた経験からオルガン録音のノウハウを心得ており、軽いマイクと床から10mの高さまで伸びるマイクスタンドを駆使して、最適マイク位置を見つけ出した。 トッカータとフーガの重低音、はたまたコラールの繊細な祈りの響きを捉えたPCM録音。このプレイバックにオルガン奏者ヘルムート・リリングは何度も耳を傾け、濁りの無い再生音を絶賛してくれた。
こうして予定された5LPの収録を無事終えたスタッフはオーケストラ録音に適したリバン教会と室内楽に適したグリシーの教会、シュトゥットガルトのオルガン収録など、日本では入手困難な空間と響きに改めて現地録音の重要性を痛感させられ帰国の途についた。  このツアーで収録された音源は翌年5月から順次「第1回PCMヨーロッパ録音レコード」として発売され、「PCM録音の威力が遺憾なく発揮された名演奏、録音」としてたちまちベストセラーとなった。また海外へも製品輸出され、PCM録音の優秀性を世界のレコード業界が認知することとなった。

■1974年録音 クレスト1000シリーズ/J.S.バッハ:教会暦によるオルガン・コラール集