A TIME IN NEW YORK

A TIME IN NEW YORK

大我進化論フロムニューヨーク〜
人種も世代も超えたジャズトリオの奇跡

全11曲収録
PVクリップ2曲
NYレコーディングドキュメント映像付

2008年10月22日発売

COZY-323/324 ¥3,000(tax in)
COLUMBIA / SAVOY


 大我 (ドラムス)
 ベニー・グリーン (ピアノ)
 バスター・ウイリアムス (ベース)

CD収録曲

  1. A Time For Love (Johnny Mandel) WMT | RA
  2. T's Prelude (original) (Tiger Onitsuka) WMT | RA
  3. Alice In Wonderland (Sammy Fain) WMT | RA
  4. Dear Mr. B (Piano Sonata No.8「Pathetique」) (Beethoven) WMT | RA
  5. SUKIYAKI (Hachidai Nakamura)
  6. Sir Duke (Stevie Wonder)
  7. Crazeology (Charlie Parker)
  8. I'll Remember April (Don Raye / Gene De Paul / Pat Johnston)
  9. Blues Etude (Oscar Peterson)
  10. 見上げてごらん夜の星を (Taku Izumi)
  11. Some Other Spring (Irene Kitchings)

録音:2008年6月20、21日 クリントンスタジオ

DVD

  1. Dear Mr. B
  2. ショートドキュメンタリー
  3. T's Prelude

60代の黒人ベーシスト、40代の白人ピアニスト、9歳の東洋人ドラマーという、世代も人種も超えた共演による、ピアノ・トリオ・アルバムの完成です。 発端は、昨年100 Gold Fingersで来日したベニー・グリーンが、大我の演奏を聴いて、「I Need You」と言ったこと。オスカー・ピーターソンを敬愛する大我にとっても、その直系ともいえるベニー・グリーンは、是非共演したいピアニストのひとりでした。
ベースのバスター・ウイリアムスは、大我と親しいベーシストのボブ・クランショウの紹介で、今回が初顔合わせ。アート・ブレイキーやエルヴィン・ジョーンズなどの巨匠ドラマーたちの感覚を既に持ち合わせ生まれ変わりのようだと噂になり、大我はアメリカの大物ジャズミュージシャンの間では知られた存在であったため、大ベテランのバスター・ウイリアムスにとっても大変興味ある共演相手だったようです。
1作目の「TIGER !」では、日本のトップミュージシャンを数多く迎えて、様々な編成でのアンサンブルを聞かせた大我でしたが、今回は、ニューヨークのクリントンスタジオで、世界のジャズシーンの最前線で活躍する二人とともに、じっくりとコクのあるインタープレイを繰り広げます。
セッション中何度も、大我のすばらしさに感嘆の声を上げたふたり。
シンバルレガートは黒人特有のスウィング感に満ち、特にバラードでの味のあるサポートに、「現役のジャズドラマーで、これほどねばりのあるグルーヴを聞かせるプレイヤーはいない」と大我の音楽性に驚愕し、掛け値なしの賛辞を惜しみませんでした。世代も人種も超えて、世界を笑顔にするジャズドラマー大我の本領を味わえる。リアルジャズアルバムです。

TIGER ! 大我

TIGER ! 大我

JAZZアスリート。大我、9才。 世界最年少プロジャズドラマー、衝撃のデビュー

今ジャズ界で、最も注目を集めるアーティストの一人、大我が、いよいよCDデビューします。
ジャズ好きの両親のもとで、幼い頃からジャズの生演奏に触れ、そのグルーヴを身体に染み込ませてきた大我。デビューアルバムは、そんな彼のジャズドラマーとしての本領が発揮された、ピアノトリオとのスタンダードチューンと、これからの幅広い可能性を感じされる、オルガンとホーンセクションをフィーチャーしたファンキーなナンバーで構成されました。
9歳であるという驚きで、既にメディアに取り上げられて、話題を呼んでいる大我ですが、このアルバムを聴けば、彼が既に表現力豊かな本物のジャズ・ドラマーであることが分かると同時に、その無限の可能性に惹きつけられるでしょう。
大我の音楽が持つ、人の心を揺さぶる不思議なパワーを、存分に味わえる、デビュー・アルバムです。

2008年4月23日発売

通常盤 (CD) COCB-53706 ¥2,940(税込)
初回限定盤 (CD+DVD) COZY-307/8 ¥3,150(税込)
COLUMBIA / SAVOY

収録曲

  1. Introduction - Drum Solo  イントロダクション:ドラム・ソロ (Tiger Onitsuka)
  2. Tiger's Boogaloo タイガーズ・ブーガルー (Blue Smith a.k.a. KANKAWA)  WMT | RA
  3. A Night In Tunisia チュニジアの夜 (Dizzy Gillespie & Frank Paparelli)  WMT | RA
  4. Waltz For Monk ワルツ・フォー・モンク (Donald Brown)  WMT | RA
  5. Watermelon Man ウォーターメロン・マン (Herbie Hancock)  WMT | RA
  6. Backyard Blues バックヤード・ブルース (Oscar Peterson)
  7. Alright, Okay, You Win  オールライト、オーケー、ユー・ウィン (Mayme Watts & Sid Wyche)
  8. TIGER ! タイガー! (Blue Smith a.k.a. KANKAWA)
  9. Congeniality コンジニアリティ (Ornette Coleman)
  10. Ah, Domo  (Blue Smith a.k.a. KANKAWA)

Recorded on
8th January 2008 at Landmark Studio, Yokohama
9th January 2008 at Sony Music Studios Tokyo

*「タイガーズ・ブーガルー」映像はこちらへ>>>

MUSICIANS

大我 Tiger Onitsuka - Drums & Voice (on 'Ah Domo')

'A Night in Tunisia', 'Backyard Blues'
辛島文雄 Fumio Karashima - Piano
井上陽介 Yosuke Inoue - Base
James Mahone - Tenor Saxophone ('A Night in Tunisia')
'Waltz For Monk', 'Congeniality'
クリヤ・マコト Makoto Kuriya - Piano
安ヵ川大樹 Daiki Yasukagawa - Base
James Mahone - Tenor Saxophone ('Congeniality')
'Tiger's boogaloo', 'Watermelon Man', 'Alright, Okay, You Win', 'TIGER!', 'Ah, Domo'
Blue Smith a.k.a. KANKAWA - Organ
清水 興 Ko Shimizu - Base (except 'Alright, Okay, You Win', 'TIGER!')
ハル高内 Haru Takauchi - Guitar
カルロス菅野 Carlos Kanno - Percussion (except 'Alright, Okay, You Win', 'TIGER!')
James Mahone - Tenor Saxophone 
Neil Stalnaker - Trumpet(except 'Alright, Okay, You Win')
佐藤洋樹 Hiroki Sato - Trombone (except 'Alright, Okay, You Win')

Tiffany - Guest Vocal (Alright, Okay, You Win)

LINERNOTES

photo

これはまたとんでもない新人が登場してきたものだ。ジャズ・ミュージシャンの低年齢化はいまに始まったことではない。それでもこの作品の主人公である鬼束大我が1998年7月9日生まれの寅年9歳と聞けば、誰もが驚くに違いない。しかもそのキャリアはだてじゃない。6歳でプロ・デビューを果たし、7歳のときにはニューヨークでライヴも敢行した。9歳になった直後の2007年10月に開催された「横濱ジャズ・プロムナード」では、日本が誇る世界的なジャズ・ピアニスト、秋吉敏子のトリオでドラマーを務めている。同月は、日野皓正、山下洋輔、渡辺香津美など、わが国のトップ・プレイヤーに混ざってドラミングを披露するなど、とても小学校の低学年に在籍する少年とは思われない八面六臂の活躍をしたのである。

その大我が衝撃のCDデビューをこの作品で飾る。ジャズ〜フュージョン界の錚々たるメンバーが、その船出を祝うために集まった。それだけに、レコーディングは豪華な内容であることこの上ない。しかしそんな雰囲気に飲み込まれることなく堂々たるプレイを全編にわたって繰り広げた彼の底力に、聴くものは圧倒されることだろう。

大我はどんな少年なのだろう? 生まれは1998年であることは先に書いたとおりだ。料理人の父親と美術教師の母親は共にジャズ・ファンである。母親のお腹にいたころから大我はジャズを聴き、生まれてからも家で流れているジャズを子守唄代わりに聴いていたという。育った環境もよかった。父親が経営するレストランでジャズのライヴが行なわれていたため、生まれたときからライヴにも接することができた。

3歳(2001年)のときに握手をしてもらったロン・カーターとの出会いも衝撃だった。それがきっかけでなにか楽器をやりたくなったこの少年は、家にあったフライパンをいくつか使い、CDに合わせて4ビートを叩くようになる。次なるステップが訪れたのは5歳(2003年)の誕生日を迎える直前のことだ。両親が子供用のドラム・セットを買い、父親の店に出入りしていたミュージシャンの紹介で、先生についてドラムスのレッスンを開始したのである。

プロ・デビューは思いのほか早くやってきた。「この子はほかの子と違う」。先生の言葉どおり。大我はめきめきと才能を伸ばし、6歳になった2004年9月30日、神戸「ホリーズ」で初めての飛び入りを体験する。そのときに演奏したのは「セント・トーマス」。続いて11月には京都でゲリラ的なストリート・ライヴを開始する。そして不定期で行なわれるこのライヴが人気を呼び、イヴェントの依頼が舞い込むようになってきた。

それに伴い、大我はライヴ・ハウスのジャム・セッションにも登場し始める。2005年1月にはベーシストの西山満と知り合い、才能に驚いた彼によって、小学校にも入学していない6歳のドラマー、大我の活躍の場が広がっていく。そして小学校に入学。翌月の5月22日には、西山の尽力で初の単独ライヴを京都の白糸で行なう。そしてこれを契機に、内外のさまざまな一流ミュージシャンとの共演が実現していく。エディ・ヘンダーソン、オセロ・モリノー、クリフトン・アンダーソン、日野皓正、北村英治、エヴァリン・ブレイキーなどと共演し、その活躍がフジテレビの「スーパーニュース」などでも取りあげられ、大我の名が広く知られるようになった。

次なる契機は7歳(2005年)のときに訪れる。ストリート・ライヴで貯めた資金を用いて、家族と共にニューヨークに渡ったのである。1ヵ月の滞在中。大我は「スモーク」や「イリディウム」などで飛び入り演奏を繰り返し、エリック・アレキサンダー、マイク・ロドン、グレッグ・バンディたちと共演。そのほかにも、ハーレムの「セント・ニックス・パブ」で、ニューヨークにおける自己名義の初ライヴも行なったのである。

8歳(2006年)になった大我は、自分の音楽を追求するため、「The Real Jazzシリーズ」を開始することにした。これは海外からアーティストを招き、全国各地でライヴを行なうコンサートとして定着。さらには翌年(2007年)7月、9歳になったのを機に、自己のグループ「Tiger, Burning Bright」を結成。この年の後半にはさらに活躍の場が広がり、10月にはピアニストの板橋文夫の推薦で「横濱ジャズ・プロムナード」に出演。11月には「銀座インターナショナル・ジャズ・フェスティヴァル」でも演奏をしている。そして、これらのライヴを通して大我を高く評価してきたオルガン奏者KANKAWAのプロデュースで、ついに待望のデビュー作(本作)が完成したのだった。

2008年1月、東京・六本木のスタジオにわが国のジャズ・シーンを代表するトップ・ミュージシャンが集結した。そのときに、2日間にわたって繰り広げられたセッションを収録したのがこの作品である。

驚くべきは、一切の録り直しがなく、すべてが一発録音でOKになったことだ。その完成度の高さはお手元にあるこのCDを聴けば実感できるはずだ。しかも多くの曲ではメンバーが替わり、大我がさまざまなスタイルのドラミングを披露してみせる。初レコーディングで初リーダー作。そのプレッシャーに加えて、トップ・クラスのミュージシャンが入れ替わり立ち代わりでヴァラエティに富んだスタイルのジャズを繰り広げる。それを見事に纏め上げた大我の才能には、天才という言葉以外に適切なものを見つけることができない。

ともあれ、冒頭を飾る「ドラム・ソロ」をお聴き願いたい。短い演奏の中で大我がさまざまなテクニックとビートを駆使してみせる。パワーも十分だ。その実力が次の「Tiger's Boogaloo」から存分に発揮されていく。これはKANKAWAのオルガンを中心にしたジャズ・ロック・チューンで、軽快なメロディに負けない乗りのいい8ビート・ドラミングが楽しげに響く。清水興が奏でるブーガルーのベース・パターンをキックで強調する大我のプレイが痛快だし、終盤の短いドラムス・ソロもダイナミックだ。

ワン・ホーン・カルテットの「A Night in Tunisia」では、一転してフリー・リズムから演奏が始まる。この大胆なアプローチにもセンスのよさが感じられる。リズム・パターンが何回も変るため、ドラマーにとっては難曲である。ここではジェームス・マホーン〜辛島文雄〜井上陽介の強力メンバーと共に、大我のドラムスが縦横無尽に暴れまくる。それにしても、この度胸のよさには感心させられることしきりだ。3人のメンバーも手加減は一切しない。プレイ中は大我が9歳の少年であることなど忘れていたに違いない。

ドラマーにとって、ピアノ・トリオはその力量が問われるフォーマットのひとつである。しかもクリヤ・マコトと安ヵ川大樹で構成されたトリオとなればなおさらだ。このメンバーで演奏される「Waltz For Monk」では、その上にワルツのリズムも加わる。大我は敢えて難しいアプローチに挑戦し、それを見事クリアしてみせた。しかも用いるのはブラシである。終盤のドラムス・ソロも含めて、彼がこの時点でさまざまなテクニックをきちんと身につけていることが、この演奏を聴くと改めて実感させられる。

次の「Watermelon Man」は、2曲目の「Tiger's Boogaloo」と同じグループによる演奏。お馴染みのハービー・ハンコック作曲によるジャズ・ロック・チューンである。ここではカルロス菅野のパーカッションと一体になったダイナミックなドラミングを楽しむことができる。大我は単に8ビートでプレイするだけでなく、ソロイストに合わせてさまざまなサポートを試みる。そこに非凡さが認められる。

今度は「A Night in Tunisia」からテナー・サックスが抜けたピアノ・トリオによる「Backyard Blues」。オスカー・ピーターソンが作曲したブルースだけに、スインギーな演奏である。それを、メリハリの利いたドラミングで大我が最後まで引っ張っていく。このあたりは立派なリーダーシップを発揮していて頼もしい。大我は収録2週間前のクリスマスイブにオスカー・ピーターソンの訃報を聞いた。この曲は、彼との共演を夢見ていた大我の「ピーターソンさんに捧げたい」とのたっての希望で選曲したそうである。

 この作品で、大我はヴォーカルの伴奏まで披露する。それがティファニーを迎えた「Alright, Okay, You Win」だ。バックはオルガン・トリオ+テナー・サックスというオルガン・ジャズの定番的な編成で、ここでもいい味のドラミングを聴かせてくれる。

オルガン・トリオ+3ホーンで演奏される「Tiger!」では、アップ・テンポの流麗なドラミングを大我が展開する。そういうときでもリズムをきちんと強調しながら、流れをさらに盛りあげるプレイに徹してみせる。そこに末恐ろしい才能を感じずにいられない。

クリヤ・マコト・トリオ+ジェームス・マホーンのワン・ホーン・カルテットで演奏される「Congeniality」は、オーネット・コールマンが作曲したナンバー。それだけに、4ビートでありながらなかなか複雑な構造を持っている。それにもきちんと対応し、ソロイストをプッシュしていく大我のサポートが素晴らしい。そして、最後のドラムス・ソロ。構成力に優れた内容で、いったいこの少年はどんなことを考えながらこのプレイをしているのだろう? と思わずにはいられない。

アルバムのクロージング「Ah Domo」では、再びKANKAWAを中心にしたグループが演奏する。途中で大我の「Ah Domo」というかけ声が入るが、この子供っぽい声と見事なドラミングとのギャップが奇妙な気分を味わわせてくれる。

それにしても凄い才能が登場してきたものだ。同時に、他レーベルからはライヴ・アルバムも発売されるという。そうした動きからも大我に寄せる期待の大きさがわかる。それだけに、この素晴らしい才能を業界は責任を持ってきちんと育てていくべきだ。こちらも長い目で彼の成長を見守っていきたい。でも、このライナーノーツ、9歳の大我が読んでくれるだろうか?

[ © WINGS 08022587:小川隆夫/TAKAO OGAWA]
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