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2011年、世界のTOMITAが、自らの傑作群を最終形態に導く!
シンセサイザー・アーティスト&作曲家の冨田勲が、日本で初めてMOOGシンセサイザーを個人輸入したのはちょうど40年前、1971年のことでした。
「管弦楽曲の電子音による再創造」という独自の芸術として結実したその手法は全世界的なブームとなり、日本人で初めてグラミー賞にノミネートされるほか、
多くの音楽家・アーティストに多大な影響を与えました。
冨田のもうひとつのテーマである立体音響(サラウンド)の追求も加わり、トミタ・サウンドは更なる進化を遂げて今日に至ります。
このたび始動する「イサオ・トミタプロジェクト」は、過去40年にわたり新たな音楽世界を切り開いてきた冨田の代表作を、自らの手で再創造することで、不滅の最終版として再生させるプロジェクトです。
生誕80年を前に今なお驚くべき創造力を漲らせるイサオ・トミタ、その進取のスピリットに刮目せよ!
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SACD Hybrid(4,0chSACD/2chSACD/2chCD)
¥2,940(税込)
プラネッツ
冨田勲
シンセサイザー
Isao Tomita, synthesizer
使用機材:Moog55 NUENDO Roland JUPITER-80 / GAIA SH-01 / VP-7 / VP-770 / SD-50
「惑星 Ultimate Edition」に「イトカワとはやぶさ」が組み入れられて光栄です。「はやぶさ」は糸川博士の下で空を飛び、また私たち後進によって大宇宙を駆けました。通信という語りかけと返す鳴き声、そして地球に還るも己の身を焼くモチーフがよくちりばめられ、織り込まれているように感じました。「はやぶさ」はいま、地球の大気の中にいます。冨田勲さんと糸川博士の旧交に深く敬意を表したいと思います。
川口淳一郎 (JAXA 「はやぶさ」プロジェクト・マネージャー)
冨田先生のホログラフィクなシンセサウンドに、脳を直接触られたような気持ちになりました。 気持ち良い完璧なイリュージョンの創造主に脱帽。
TOWA TEI テイ・トウワ (DJ / ARTIST)
POINT、収録曲はこちら
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SACD 2ch/5.0chサラウンド
(ハイブリッド・ディスク)
¥3,990(税込)
千年の時空を超えて誕生した平安シンフォニー
日本コロムビア100周年記念作品
源氏物語幻想交響絵巻
完全版
作曲、指揮、立体音響制作
冨田勲
演奏:東京交響楽団
京ことば訳:中井和子/朗読:坂田美子/
京ことば指導:毛利ゆき子/台本演出:伊豫田静弘 (筝)野坂操壽
(琵琶)坂田美子 (篠笛)西川浩平 (篳篥)稲葉明徳 (笙)西原祐二
収録曲はこちら
冨田勲プロフィール
冨田勲 1932年東京生まれ。
慶応義塾大学在学中に平尾貴四男、小船幸次郎各氏に作曲を師事。在学中よりNHKの音楽番組の仕事をはじめ、1953年にはNHKラジオの第一放送と第二放送を同時に使用したステレオ音楽番組「立体音楽堂」等の番組に参加。1963年大河ドラマ第1作「花の生涯」の音楽を担当、現在までに「天と地と」「新平家物語」「勝海舟」「徳川家康」の計5本のシリーズを手がけている。また1966年には手塚治虫氏のTVアニメ「ジャングル大帝」「リボンの騎士」の音楽を作曲、従来のアニメ音楽を越える優れた音楽性が高い人気を呼び、交響詩版「ジャングル大帝」は同年の芸術祭奨励賞を受賞した。

1970年頃よりシンセサイザーによる作編曲・演奏に着手。1974年には米RCAよりリリースされたアルバム「月の光」が米ビルボード・クラシカル・チャート第1位となり、日本人として初めてグラミー賞4部門にノミネートされ、さらに全米レコード販売者協会(NARM)の1974年度クラシック部門最優秀レコードに選出されるという快挙をなしとげ、TOMITAの名は全世界的なものとなる。以降「展覧会の絵」「火の鳥」「惑星」から「バッハ・ファンタジー」(1996)にいたる多くのシンセサイザー・アルバムを発売、いずれもが世界的なヒットを記録している。

1984年、オーストリア・リンツ市にてドナウ川両岸の地上・川面・上空一帯を使って超立体音響を構成し、8万人の聴衆を音宇宙に包み込む壮大なイヴェント「トミタ・サウンドクラウド」を催す。以後ニューヨーク(1986自由の女神百年祭)、岐阜(1988 中部未来博)、シドニー(1988オーストラリア建国200年祭)、名古屋(1997 中日ドーム)にて同様のイヴェントを行なう。また立体音響によるサウンドクラウド・オペラ「ヘンゼルとグレーテル」を渋谷オーチャード・ホールにて上演(1990)。90年代には再び映像音楽への活動を再開、NHK「大モンゴル」、松竹映画「学校」シリーズ、NHK「街道を行く」シリーズ、ビデオ「長嶋茂雄」シリーズなどを作曲。1998年冨田音楽の集大成とも呼べるオリジナル作品「源氏物語幻想交響絵巻」を作曲。東京、ロスアンジェルス、ロンドンにて初演の後ロンドン・フィルと録音し、2000年11月に日本コロムビアよりCDを発売。

2001年3月、NHK放送文化賞受賞。東京ディズニーシー、アクア・スフィアのエントランス・ミュージックとして3面立体音響のためのシンフォニーを作曲。NHK大型ドラマ「聖徳太子」の音楽を担当、東映映画「千年の恋〜ひかる 源氏物語」では日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞。
2002年はNHKスペシャル「アジア古都物語」の音楽を手掛け、松竹映画「たそがれ清兵衛」の音楽は日本アカデミー賞最優秀音楽賞に輝いた。

立体音響の集大成として4.1chサラウンドによる「惑星」(DVDオーディオ/ビデオ盤)を2003年3月にリリース。2009年には、「交響詩 ジャングル大帝 〜白いライオンの物語〜《2009年改訂版》」をリリース。2011年に「惑星 Ultimate Edition」、「源氏物語幻想交響絵巻 完全版」を同時リリース。
◎惑星(プラネッツ) Ultimate Edition
――――――― このアルバムを糸川英夫氏に捧ぐ
左から:冨田勲、糸川英夫先生、貝谷八百子先生
No.591 惑星 1977年帝国劇場
糸川英夫先生
No. 916 惑星 1977年帝国劇場
貴重な古い白黒の写真が出てきました。
中央が糸川英夫博士、左が私の若い頃(40歳)、右が貝谷バレエ団を主宰しておられた貝谷八百子さん。1977年の私の「Moog Planets」の初演でもある帝劇での写真です。ロケットの実験がうまく行かず、失意にあった糸川博士はその後ヴァイオリンやチェロなどの楽器を設計され、更にその後に60歳で貝谷バレエ團に入団されました。貝谷八百子さんは「有名な科学者でも、他の団員と同じように基礎から練習をしてもらいます」と。階位の下のクラスに入れられたにもかかわらず、糸川氏は日夜トレーニングに励み、上のクラスに昇進した時には とても喜んでおられたそうです。私は、モーグ・シンセサイザーで演奏した「惑星」を貝谷バレエ團で使っていただこうと、テスト録音したテープを、貝谷さんにお渡ししていました。糸川氏は、「この曲に合わせて、是非ぼくはバレエをしたい」と。しかし、ちょい役しか許されず、みずから「盲目の科学者」と名付けた、みすぼらしい学者の姿をした10分間のソロ・コーナーの振り付けをして、堂々と帝劇の舞台をやり遂げられました。

この組曲の原作曲はホルストですが、それをぼくが編曲しモーグ・シンセサイザーで演奏する際に、当時、世界的ベストセラーだったリチャードバックの「かもめのジョナサン」におおいに触発されました。それは噂に聞いていた糸川博士の生き方そのものだったのです。博士の脳裏にあったのは、ただひたすら「精密に空を飛ぶものを作りたい。」それだけだった。戦時中、敵機グラマンやB29に追いつき機銃掃射をあびせた日本の「ハヤブサ戦闘機」のなんと速かったことか。終戦後にその設計者が糸川博士であることを知りました。
その後、信州の山合いの町で、人知れずひっそりと亡くなられたことを知りました。 しかし、先生!あの帝劇から33年後の去年、先生の途方もなく広大な夢は、ついに実現しました! 「いやぁー、いつも失敗ばかりで」と おっしゃっていながら、先生の数式や論文は世界的に認められ、「小惑星イトカワ」という命名は国際天文学連合が承認するところとなり、永久に宇宙の天体図にとどまることになりました。そして、探査機はやぶさは、その小惑星イトカワからのサンプルリターン計画を成功させて世界を驚かせ、日本中に感動を与えたのです。

  この「プラネッツ」には、あの有名なメロディーの「木星」のあとに、「イトカワと はやぶさ」というトラックを加えました。第2次大戦下、軍国主義に翻弄されながらも、永遠の夢を抱き追い続けた糸川英夫氏。ヴァイオリン、チェロを設計し、挙句の果ては自らバレエに挑んだその一生は、それ自体が糸川博士にとっては長い夢であったのではないかと思います。霧の奥深い信州で、その夢から覚めたときが、現実であったのでは。

  このアルバムを、糸川博士を偲び、捧げたいと思います。

  2011年5月  冨田勲
月の光 Ultimate Edition