'00.11.23発売
CD/COCP-31200

  1. ふれあい
  2. いつか街であったなら
  3. 時代おくれの恋人たち
  4. 海を抱きしめて
  5. 恋人も濡れる街角
  6. 想い出のクリフサイド・ホテル
  7. SILENT LOVE
  8. 70年代
  9. Sincerely
  10. Born Again
  11. 家路
  12. 心の地図 II

RealPlayer   RealAudioでそれぞれのサンプルを聴くことが出来ます。
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Director`s Talk 「STEPPING STONES」

ユーザーにとって中村の初期の作品は、それぞれの青春の1シーンと重ね合わせることができる、ノスタルジックな魅力を持っていると思います。フォークギターを抱えて下駄をはいて登場したデビュー時の中村は「カッコをつけないアイドル」の第一号だったのではないでしょうか。最近の70年代の再評価ブームや熟年層ターゲットの商品の活性化など、好材料が増えつつある環境の中で今回の作品のリリースとなります。

アナログが好きで悪かったな!
今回のアルバム制作で念頭においたことは、自分達の世代がいいと思うことをやり切るということだった。ウケを気にして作って、中途半端なものにしかならないのはつまらない。
ジャケットも70年代っぽいアナログなテイストで、俺はデジタルのチャカチャカした音嫌いだし。スペックが悪くてもカッコ良くて伝わる音楽はたくさんあって、それを聴いて育ってきた訳だから。グルーヴは大事だけどハーモニーも欲しいし、欲張りなんだ。ってこだわってる感じが作品全体の中の「質感」に出せたと思っています。アナログで録ったり、生ストリングスを多用したりと、やりたい放題やりました。

オリジナルを超えたか?
いい曲ばかりピックアップして、恋愛をテーマにアルバムを構成しました。 聴く人によってはオリジナルのほうがいいって言う人もいるでしょうが、とりあえず聴いてみてください。 かなりピュアに取り組みました。

M1:ふれあい(われら青春・挿入歌)
ご存知、74年のデビュー曲。オリジナルのテイストを最大限に生かし、リズムパターンのみいじった感じです。この曲のスケールの大きさを再認識できるはず。 M2:いつか街であったなら(俺たちの勲章・挿入歌)
75年リリースの吉田拓郎さんの作品です。CSN&Y風?
M3:時代おくれの恋人たち(ゆうひが丘の総理大臣・主題歌)
78年のヒット曲。今回はグッと渋めのアレンジです。でも「総理っ!」ってカケ声はちょっと無理かも。
M4:海を抱きしめて(ゆうひが丘の総理大臣・挿入歌)
シンプルに、シンセ・ハープと中村のふたりだけで同録しました。
M5:恋人も濡れる街角(蒲田行進曲・主題歌)
ご存知、82年の大ヒットナンバー。桑田佳佑さんとのコラボレーションで文字通りの代表作。アダルトなストリングスのラインと中村の歌が絶妙です。
M6:想い出のクリフサイド・ホテル(誇りの報酬・挿入歌)
86年のヒット曲。薄い楽器編成で、ウェットに仕上がりました。かなり大人っぽいです。(中村自身大人ですが)
M7:SILENT LOVE
95年リリースのベストアルバム「SONGS。」に収録された中村雅俊作曲のクリスマスナンバー。大編成のストリングスが聴き応えありです。
M8:70年代
87年リリースのシングル。中村自身の実話をモチーフに書かれた作品。今回はしっとりと歌っています。
M9:Sincerely
中村の奥さんである五十嵐淳子さん出演のCMで使われていたこの曲は、お聴き覚えのある方も多いはず。今回はウクレレ(タヒチアンウクレレ)をメインに構成。
M10:Born Again
93年リリースのアルバム「LoveSongを贈りたい」に収録されていた楽曲。"たとえ生まれかっても、君を愛してしまうだろう〜"キュンとくる名曲です。
M11:家路
88年リリースのアルバム「オーディナリー・ライフ」からの楽曲。今作中、最大編成のストリングスに圧巻。ドラマティックに聴かせます。
M12:心の地図
このアルバムと同時リリースのシングルの別ヴァージョン。シングルが“友情”をテーマにしているのに対して、このアルバムヴァージョンは“恋愛”をテーマにしています。

収録曲に関してはこんな感じですが、特筆すべきは“中村雅俊の歌唱の変化”ではないでしょうか。ゆったりと歌った今作からは、キャリアに裏付けられた一種の余裕を感じ取ることができます。 キーのハイエンドで強く歌うのも伝えるための一つの方法ですが、中村雅俊自身の自然な声の魅力にスポットをあててレコーディングは進められました。「ピュアに、新鮮に」をテーマにテイクを重ねました。一度自分の中にいれた楽曲をリセットして歌い直すことは容易なことではありませんが、今回、中村は本当に見事なまでに「今の歌」として過去の楽曲を歌っています。

なにかしながら聴いても、じっくり聴いても、邪魔になることもなく、退屈になることもないアルバムです。 いまどき、こんな作りのアルバムってないですよ。

日本コロムビア A&R 五十嵐 寿也