1. 飛ばない鳥
「これはレコーディングする前にライヴでやってた曲です。『霙-mizore-』のキャンペーンでは弾き語りで歌うことが多くて、バンドでやりたいなって思ってたんですよね。昨夏にカホン+ベース+ギター+アコギ編成でライヴをやり始めた頃、メンバーとスタジオに入った時、『ジャムりたい』って言って、ジャムってたら自分の中で色々膨らんでいったんですよね。それを覚えて家で完成させ、次のリハで合わせて、ライヴでやった、みたいな。前バンドでやってた作り方で出来たので、瞬発力があるというか。お客さんが手拍子で乗れるようなイメージですね」
2. 霙-mizore-
「僕の代名詞になりつつあるのかな? きっとこの曲をもっと色んな人に届けるために、色んな曲を書いていくのかなと思っています。そしてこの曲を超える楽曲をみんな期待してるだろうし」
3. 桜咲く頃には
「自分の曲の中ではすごくポジティヴな、明日に向かって行こうと歌っている、数少ない曲だと思うんですけど(笑)。“影”の歌が多い中で、これは“光”の歌かな、と。この曲は実はバンド時代に歌っていて、音源になってないものから引っ張ってきていて。歌詞も最初は“君しか見えない”みたいな、もっと幼い歌だったんですけど(笑)。同じ曲で詞を変えるのは抵抗あったんですが、色々見てきた今、思うことを詰め込むことができました。自分でも一歩踏み出せたと思う曲ですね」
4. アマオト
「井手さんと2人で作業していく中で、プリプロの段階で面白いことしよう、と提案してくれた曲です。シングル候補として書いた曲で、『霙-mizore-』と同じ頃、一昨年12月には原曲があったんですが、保留になっていた曲なんです。井手さんがやってみたいというアレンジがあると言っていたので、聴かせてもらったらR&B調で、すごく新鮮で。歌ってみたら、意外と“いけるね”って話になって。聴いた人がサガユウキのキャラやイメージを壊すものではなく、逆に幅広さを見出せるようなものに仕上がっているんじゃないかと思います。もし『霙-mizore-』じゃなく、この曲がシングルになっていたら、またガラリと変わっていたかもしれない(笑)」
5. 水色の風
「『霙-mizore-』の次に井手さんに聴かせた曲じゃないですかね? 『霙-mizore-』が切ない冬の歌なので、テンポ感のあるものを、と、対比として書いた曲ですね。爽やかとは言え、ちょっと影があるところが僕の曲って感じですよね?(笑)」
6. 青い森
「CDを聴いてくれた人、これから聴いてくれる人、これからサガユウキに出会う人たちに向けた曲です。そのまんまの気持ちですね。東京に出て音楽をやってるんですけど、僕の居場所、生まれた場所は紛れもなく青森で、音が生まれてる場所も故郷だと感じてるので。自分の表現しているものを、ひとつの街として描いているものでもあるんですけど。目の前の人に、肩の力を抜いて歌っている感じですね」
7. へばな
「“へばな”は東北弁で“バイバイ”っていう意味で、2コーラス目に出てくる野球の情景は自分でも上手く書けたなって自信があるんですけど(笑)。ちょっと幼いかな?と思ったんですけど、いいや、振り切ろう!と。万年補欠くんでも“一人じゃないんだぞ、頑張れよ”っていうような応援ソング。“へばな”って方言を入れることによって、いつか勘違いしてしまった時の自分に向けて歌っているような感じです」
8. そういえば
「『へばな』があって、『そういえば』が並んだ時、流れがいい感じだったんですよね。時間軸を考えた時にも、ここで1回失敗を振り返ってるような……。ロックナンバーですが、季節も夏の終わりっていう感じが出ていると思います」
9. 銀河の夢
「これも時間軸、季節の流れを考えてここに置いた曲ですかね」
10. アイラヴユー
「思いきったどバラードを書きたいと思っていて、“ピアノと歌をテーマに、アイラヴユーって歌ってしまおう!”と。好きな理由も細かく表してるんですけど、素直にアイラヴユー……だと人の曲ですね(笑)。君が好きなんです、愛してますって言葉に全てを込めた方が、ピアノと歌だけのこの曲は一番いいのかなと思いました。歌詞も、今まで“君”という言葉を乗せることが多かったんですけど、あえて“あなた”って女の人が歌ってるイメージです。アイラヴユーと言う方の立場でも共感できるように。以前の自分では絶対歌えなかったでしょうね。でも今の自分で、自分の気持ちが全部乗っかっていれば何を言っていても歌えるので、このタイミングで歌ってしまおう!って思いました。絶望に立った時に、本当に大事な言葉として言えることはアイラヴユーなんじゃないかって考えながら」
11. 初雪
「『霙-mizore-』の時もそうだったんですけど、“名曲が出来ました!”という確信よりも“どうだろう?”だった曲で、曲としてはもちろんいい形に仕上がったけど、どういう風に届くのかな?っていう感じでした。また冬の歌が出来た、というか……(笑)。1stシングルで雨でもなく雪でもない曖昧さでの『霙-mizore-』で、2枚目の『水色の風』でその対比を描いて、3枚目ではその答え、みたいな流れが見えてきて。冬でも、クリスマスのような幸せな気分を歌うのか、恋愛に向かっていく気持ちの移り変わりを描くのか、別れを描くのかって考えた時に、この曲は完全に別れの歌だなと。光ではなく思いきり影の歌、失恋ソングだと。冬の始まりに2人が終わっていくという対比もあって、自分がテーマにしていることを描けたと思った曲です」
12. Iha(イーハ)
決意表明。「詞は井手さんが書いてくれたんですけど、僕の人生、僕そのままを描いているような……。時間軸で言えば『初雪』で一旦終わって、アルバムを総括する意味でも、今までのサガユウキを総括する意味でも、井手さんと一緒に音楽を作ってきたものをまとめた1曲なんじゃないかと思います。最後の『Hey
Jude』のようなコーラスの盛り上がりといい、仮歌を歌った時点で、アルバムの最後を飾るに相応しいなって思ったんですけど。<あの日降った初雪を君は今でも憶えている?>のワンフレーズですごい色んなことが思いめぐってきて、歌っていてすごい泣きそうになったくらいグッとくる曲です。自分への応援ソングとしても受け取れるし、スタッフの皆さんのコーラスが入ってるというのもあるし、今この環境にいる自分が歌うことで、同じような夢を追いかけてる人や何かを頑張ってる人たちにもリアルに響く応援ソングなんじゃないかと思います」
13. 小さな恋の物語
「『Iha』で飾ると思いきや……ラストは弾き語りです。ロック魂が爆発です(笑)。いらない“はい”とか咳払いも入ってますし。マイク2本だけ立てて、アコギと歌のみ、ホント“素”です、これは。家で作ってる時もこんな感じで歌ってるし。何も直してないし。実際ピッチも悪いんですけど。これも素なんですよね。曲を作ることも歌うことに対しても、ここには初心が詰まっています。甥っ子の恋愛を見て書いた曲なんですけど、もともと歌って、自分の目で見たものを感じて歌にしたものがスタートラインで、サウンドや言葉、楽曲のクオリティも含めて高みを目指してはいるんだけど、商業的なものになっていくのが嫌だったんですよね。なので、最後にこういう曲を歌うことによって、ブレない自分であろうっていう意志も込めているし、隠さない自分をみんなに見せようと思った。『Iha』まで全部終わって感じたこと、あとがき、みたいな意味合いも込めて。別れの歌とか歌ってますけど(笑)、最後に、みんな<ハッピーエンドであります様に・・・。>という思いも込めて」
◆『青い森』に込めた意味
「アルバムの中の曲『青い森』は、故郷の青森ということを意識して付けたタイトルではあるんですけど、アルバムタイトルの『青い森』には、アルバムで描いている対比を集約した言葉、青という冷たいイメージと、森という自然の温もりが同居している言葉。冷たさと温もり、ですね。まさにその言葉ひとつ取っても、青森の……冬だったらすごく寒い気候だけど、人間はすごく温かいっていう、そういう意味が込められてる言葉だと思うんですよね。自分のバックボーン、生まれて育って僕を作ってくれたのは青森なので、そこから発信していきますって意味もちょっとあるのかな」
◆ブレたくない思い
「正直、都会的な自分っていないですからね。発している場所はいつでもそこから、という気持ち、そこはブレたくないですね。たとえば、こっちではどうでもいいと思えることが、青森に帰ればどうでもよくなかったり。周りにたくさんのモノが溢れているだけに、大事なものを忘れたりしてのかなって感じたりもする。きっと青森にいたら小さなことも大事にするだろうなって思うんですよね。そこを忘れなかったら、ちゃんとみんなの胸に届く、サガユウキなりの歌が歌えるんだろうなって思ってます。これから発していく音楽もそこからブレたくないって思ってますね」