image

image
「なーくにー」(「みゃーくにー」ともいう)は、沖縄諸島を代表する叙情歌で
ある。この楽曲は「山原汀間当」と組み合わせて演唱されるほか、「はんた原」
「かいされー」「仲島節」「汀間当」などと組み合わせることもある。
即興性に富んでいるので演唱者の独特な節回しや三線の奏法で個性が
発揮される。

image
「いちゅび」とは、野苺のこと。舞踊曲としてよく用いられる恋の歌。
「じっそう節」は、めでたい歌詞をうたっている。

image
金持ちで、女性に縁のなかった還暦の爺様のコメディーをリズミカルに
うたっている。曲は「あやぐ節」。

image

「海のちんぼーら」の本歌は、伊江島の「前海すんぼーら」といわれ、この民謡は
沖縄本島の遊郭でうたわれて広まったようだ。「海のちんぼーら」は舞踊曲としても
用いられ、その場合は収録のように「赤山節」と組み合わされることもある。
「ちんぼーら」とは貝の名。ウミニナ科巻貝で、殻は塔型。

image

image
沖縄の盆踊り「エイサー」でよく演唱される民謡を収める。旧暦七月十五日、
盆の送り日の夜、念仏歌をうたうものであったが、現在は多くが省略され、
断片的にしかうたわれない。更に内容も時代が下るにつれて豊饒予祝の民謡や
恋歌などがうたわれるようになった。現在のエイサー歌の構成は、はじめは
スローテンポの曲を演唱し、後半はテンポアップした曲で、おしまいは
本土と関わりの深いと言われている民謡曲の「唐船どーい」や「嘉手久」などの
カチャーシーの曲が演唱される。嘉手苅林昌は、戦前からエイサーの地方を
担当しており、戦後のエイサー復興にも尽力した。

image
稲の豊穣予祝を歌っている。この三曲は、盆踊りのエイサーにも用いられる音曲である。

image
テンポの速い曲であるために、カチャーシーに用いられることがある。主に沖縄
本島中・南部地域でうたわれる。「舞方」という曲目で、古典音楽の
「かぎやで風節」にのせて、棒踊りや空手舞踊を演じることがある。
「舞方」というのは、舞い手、踊り手という意。

image
稲・粟の豊穣を予祝した歌詞を歌っている。緩やかなテンポでうたうこともあるが、
今回は速いテンポでうたったものを収録してある。

image
「嘉手久」「多幸山」ともに速いテンポの民謡で、やはりカチャーシーに用い
られる。琉球古典音楽に「本嘉手久節」と「昔嘉手久節」があって、
「嘉手久」は「昔嘉手久節」系の旋律を速テンポにのせたものであるといわれる。

image
「かいされー」は、モーアシビ(野遊び。月夜の晩などに若い男女が野や浜辺に
出て、三線に合わせて民謡を歌ったり、歌掛けをしたり、恋の語らいをして遊ぶ
こと)でよくうたわれた民謡である。歌詞は即興性に富み、掛け合いでうたう
ことが多い。歌詞の「ジントヨー」とは、本当に、真実に、という意。

image
「ちぢゅやー」とは浜千鳥の方言呼称である。舞踊曲としても人気のある「浜千鳥節」
をアレンジした曲というが、「下千鳥」は一段と哀愁をおびた曲調となっている。
沖縄芝居の愁嘆場に相応しい曲として用いられることもある。

image [試聴]−
昭和初期、川田松夫作の歌劇「西武門哀歌」の挿入曲としてうたわれた民謡。
曲はもとからあった「屋我地節」で、それに川田が作詞した。西武門とは、
那覇の辻遊郭の入口の称。客と遊女が名残を惜しんでいる様をうたった民謡である。

image
男女の恋をうたった民謡。


解説(財)国立劇場おきなわ運営財団企画制作課長 大城 學氏 (抜粋)