『THE IDOLM@STER RADIO LONG TIME』発売記念 今井麻美&たかはし智秋ロング インタビュー



「たかはし智秋」編  ★ 「今井麻美」編


ジャケット写真『THE IDOLM@STER RADIO LONG TIME』発売記念ロングインタビュー~たかはし智秋編
アイマスレイディオの2人が語る、このCDと番組に対する想いとは?

 2006年4月に放送開始後、毎週アイマス、そしてアイマスファンと一緒に歩んできた『THE IDOLM@STER RADIO』が、7月末の放送でひとつの区切りを迎えることが、先週発表されました。その三年半の歴史と、想いの集大成である番組としては6枚目のアルバム「LONG TIME」が2009年7月15日に発売されます。ナンチャラエグゼクティブプロデューサーの今井麻美さんプロデュースの元、千早とあずさではなく「今井麻美とたかはし智秋の」アルバムとして、12ヶ月分の12曲の新曲を詰め込んだ1枚になっています。無事CDが完成し、そして3年半の番組が区切りを迎える節目の時、お2人の今の気持ちや作品についてのお話をたっぷりと伺ってきました。まずは、たかはし智秋さんのインタビューをご覧ください。

●『LONG TIME』たかはし智秋さんセルフレビュー!

──なるほど! それでは本日は声優さんとしてのお仕事であるCD『LONG TIME』について聞かせて頂きたいと思います。今日は12曲全曲についてお話を伺う予定なのですが、まず、この曲は、という強い印象のある曲を敢えて1曲、教えてもらえますか?

「そうですね……8月の“sunshine”という曲かな。番組でもよく言ってるんですが、私はレゲエが好なんです。特に私が一番好きなのはダンスホールレゲエといって、もうちょっとアップテンポの曲調なんですが、これはもっとルーツに近い、ボブ・マーリーとかがやってるようなルーツ・レゲエ。実はこの曲、一回で覚えちゃいました。本当に収録のときも不安はなく……あ、ちょっとキーが高めなことだけは気になってたんですけど、私のハートは間違いなく伝わると、安心して録りました」

──一番身近な今井さんのプロデュースを通していることもあってか、ファンの中にあるたかはし智秋さんのイメージにすごく近く感じました。

「楽曲の中では、Bメロがおすすめです。ちょっとラップ調というか、そういうパートがあるんですが、いろんな方にこの曲を聴いてもらった時に、Bメロのラップがいいねとほめてもらうことが多いです」

──この曲にはMCとしてstrさん(Realzというレゲエバンドの方)が参加していますね。

「私は直接の面識はないんですが、ミキシングをしてくれている方が“sunshine”には(男性ボーカルの要素が)有ったほうがいいんじゃないかって。レゲエという音楽は、男と女が愛を育み、そして子供が生まれる、生命誕生……そういう、男の人と女の人が愛し合うことはとても素晴らしいことだと伝える歌だと思うんです。だから女性は色っぽく、男性は強く。そういうルーツがあるので、男の人はやっぱり必要かなって。そこでstrさんの登場ですよ!!今回クレジットはできなかったんですが、素晴らしいレゲエラップをコラボレートさせて頂き、よりカッコイイ曲になりました。感謝です!」

──CD全体を見ると、“sunshine”のような燃え上がる情熱とはタッチやカラーは違いますが、女の子だったり、等身大の女性だったり、色々な立場からの恋の要素は多めに入っている印象です。

「そうですね。最初の“Smile Smile Smile”もそうだけど、女の子の視点から、の曲が多い気がします」

──それでは今話題に出た4月の“Smile Smile Smile”から、個々の楽曲について伺いたいと思います。

「女の子だけのガールズトークという感じですね。ただし昼間(笑)。そういうさわやかな印象があります。芯のある女の子が、未来の自分に対して恋も仕事も頑張りますみたいな。サウンドもガールズポップで、プリンセスプリンセスとか……このCD、全体的に懐かしいテイストですよね」

──僕らの世代にとって嬉しいというか、ほっとする感じはあります(笑)。

「アラサー向けの曲ですよね。今はちょっと昔のテイストが再評価される流れもあるので、若い人たちにもウケると思います」

──続いての“Lady☆Cake”は三重野瞳さんの作詞ですが、たかはしさんと今井さんのキャラクターやお約束が、やりすぎなぐらい盛り込まれてますね。

「三重野瞳ちゃんは、私たちのことをよく知ってるので。それと、ブログなどを見て、私達の口グセも歌詞に入れてくれましたね。 “Lady☆Cake”みんなでケーキ食べようって感じなんですが、なんでケーキか? それは私と今井さんの誕生日が5月なのにちなんでるんです。『THE IDOLM@STER RADIO』で私たちの誕生日をお祝いする日があるのですが、そんな時は、放送としてこれでいいの、大丈夫なのってぐらいのどんちゃん騒ぎになるので、その賑やかさも織り込んだ楽しい曲になってます」

Photo──すごくハッピーなパーティ、いやポーリィ感が出ていますね。

「曲に出てくるpartyという単語は、全てポーリィって発音してます(笑)」

 実はここ、CDをよく聞くとわかるのですが、ちょっと違いがあります。詳しくは後ほど今井さんのインタビューで。

──6月の“7 colors”は今井さんのソロなんですが、楽曲を聴いた印象を教えてください。

「彼女の持っているとてもかわいらしい部分が出ていると思います。すごく彼女らしい歌だなって。案外、こういう軽い感じの歌い方も素敵だなと思いましたね」

──そして7月の“エール”は青春ソングです。

「そうですね。最初聴いたときはかっこいいなって思いました。ブラスが入ってるところとか。ルパンみたいだなって(笑)。詞は若い感じの青春ソングですが、サウンド的なかっこよさも印象的ですよね。」

──詩は甲子園がテーマなんですが、作詞の貝田由里子さんの“隣に…”や“目が逢う瞬間”の壮大なイメージからすると、さわやかな感じで新鮮です。

「さわやかではあるんだけど、ところどころに貝田さんらしいテイストが入ってると思います」

──先ほど伺った8月の“sunshine”を挟み、9月の“JM-Justify Myself-”につながります。

「これはジャジーなナンバーですね。ハットをかぶって踊るイメージ。今井さんが8月からを大人エリアって言ってまして。私が得意とするオトナエリアです(笑)。この曲に求められているものをテイクを重ねながら作っていった曲なので、これだって形になったときは嬉しかったですね」

──歌詞がかなり強い楽曲ですよね。タイトルを直訳すると言い訳なんですが、もう少し堂々と、胸を張ったニュアンスに感じます。

「お酒を飲んで、何時頃でしょうこのテンションって感じですかね(笑)。詞に描かれているこの女性は、ワインバーみたいなところで一人でお酒を飲んでいる。貧乏でもないんだけど金持ちでもなくて。好きな男がいるようないないような感じなんだけど、その男性には女性の影がちらついて。気がつかないふりをしてるんだけど本当は寂しいんだよね、みたいな、本当の愛を欲しがっている人の詩かなと私は思いました。だけど素直になることを怖がっていて、その臆病さをお酒で誤魔化してるみたいな……アラサーぐらいで結婚してない人などには意外と共感していただけるのではないかと思います」

──表面の強さと内面の弱さのギャップみたいなものが“言い訳”というニュアンスなのかもしれませんね。

「そうですね、そういううらはらさみたいなのが入った詞だと思います」

──10月の“赤い花咲いた”はボーカリストたかはし智秋の本気を感じたというか、かなりR&B系の本格的な歌唱になっていますね。

「R&Bはさっきの“エール”みたいなポップスソングや、このあとの“pinkのfebruary”のようなかわいらしい曲、それからあずささんとして歌うキャラクターソングなどと比べると、声の出し方が全く違うんです。私もまだ全然できていないんですけどね。習いたてのR&Bの発声法をちょっとばかり挑戦してみたので、 “赤い花咲いた”はまるで私の声じゃないみたいに聴こえると思いますが、これが私が今後磨いていきたい声の出し方、音域です。歌っていてとても勉強になりました」

──続いての11月“Melting season”から、ぐっとカラーが変わって冬に向かう雰囲気になります。

「ちょっと前の宇多田ヒカルさんみたいな感じで、好きな曲ですね。でもこの曲はR&Bテイストで歌うというよりは、ちょっとあずささんに近いところを使って歌いました。寂しそうでクールなあずささんというか、あずささんで歌っているわけではないんですが、あずささん寄りの声かなと思う方も多いと思います。 “Melting season”は、このアルバムで一二を争うぐらいすごく好きな曲です」

──12月、今井さんの“ギフト”の印象はどうでしょうか。フォークロアというか、民族系のテイストが強いですね。

「彼女も言ってたのですが、私が受けた印象は宮崎駿さんの作品の世界のイメージに近いのかなって。自然を大事にとか、壮大なテーマを伝える主題歌にはうってつけな感じです。主題歌になったらいいと思う。」

──淡々としたフレーズの繰り返しが、祈りのような感じで。エンディングのスタッフロールが流れていきそうでもありますね。

「そうそうそうそう! アニメの劇場版とかでね」

──そして1月の“てがみうた”は一気にかわいらしい感じになりますね。

「これはお正月の歌です。曲の中のてがみはおそらく年賀状。一番最初にレコーディングしたのがこの曲です。苦労したところは最後のぺったんぺったんと歌っている部分がうまくとれなくて。大変でした(笑)」

 “ぺったんぺったんおいものはんこ~”という最後のフレーズは、最初は歌詞を乗せることを想定していなかったところに、音に合わせて後から詞を乗せたので、なかなかたかはしさんは歌い方がはまらなかったようです。

──童謡のような仕上がりですね。

「そうですね、これもわりと柔らかい感じで楽しく歌いましたね。いつも『THE IDOLM@STER RADIO』の歌姫楽園というコーナーで、色々な曲を歌わせて頂いていて、童謡もよく歌わせていただいているので、そのイメージが強いと思います。年賀状が来て、うれしいな! こたつでゆっくりしましょう、そんな感じの曲だと思います」

──そして2月、“pinkのfebruary”は一番に直球でかわいらしい曲です。

「これはほんとにね、80年代のアイドルの歌。私的には松浦亜弥さんの「桃色片想い」っぽくかわいく歌いました」

──アイドルらしいアイドルの中の女の子! という曲ですね。

「アイドルソングはキーが高ーい曲が多いですね。アニメやゲームのキャラソンも一緒で、私の場合皆さんのはまるキーよりはちょっと低いんです。なのでかわいく歌うことはできるんですけど、自分的にはやや苦労するキーがたくさん出てくるなと思います」

──そして最後、3月の“また、はじめよう。”です。

「今井麻美さんの作詞の曲です。ラジオの方は発表されたとおり、7月いっぱいでひとつの区切りになります。でも当然コンテンツとしての『アイドルマスター』は続いていくし、私と今井さんのコンビでのラジオはひと区切りになるけれど、アイドルマスターをこれからも応援してね。終わりじゃなくて出発だよ、と、そういうメッセージが込められていると思います」

──この曲については、歌詞についても伺ってみたいです。

「歌詞に『階段駆け上がるあなたの足音に』というフレーズがあるのですが、アイマスレイディオを収録しているスタジオの階段なんです。一つ目の角というのは、駅からスタジオへ向かう道のことで」

──スタジオや収録の様子が詩の中に全て入ってるんですね。

「そうです。この詞を書けるのは今井さんしかいないですね。ひとつのマイクとか……1本のマイクでいつも一緒に歌ったり、ラジオを収録したりしてるので」

──最初に詞を見たときはかなり感動したと聞きました。

「実はこの詞を最初に見たときは、今井さんが書いたってことを、知らなくて。こんな細かいことまでわかっていてくれるなんて、本当に嬉しいなあ。こんなに私たちのことを調べてくれて、愛してくれている方は一体どなたなんだろう…と」

──そしてよく知ってるなと思ったら、実は今井さんだったと。

「そうなんですよ。本人だもん(笑)そりゃあ知ってて当たり前だと(笑)でも、ライヴなどで忙しい中、頑張ってよく詞を書いてくれたなぁと、感謝していますね」

Photo●ブックレットの“JPY帽子”や、“へそぴ”にまつわるエトセトラ。

──最後は笑って終わるのが『THE IDOLM@STER RADIO』らしいですね。さて、楽曲について一通り伺ったので、次はジャケットとブックレットの写真についてに伺っていきたいと思います。春・夏・秋・冬という4パターンのコンセプトがあるので、春からお願いします。

「4月5月は春らしい色というか、秋冬のようなダークな色ではなく、明るい雰囲気にしようねって、2人で相談してました」

──ジャケットは春のイメージですよね。

「はい。このCDが新学期の4月から始まって次の年の3月に終わり、また4月へとつながっていくコンセプトなので、春は大事なキーワードです。私も、ピンクと緑など、春の色を意識しました」

──続いて夏なんですが、なんと7月はJPY帽子を持ったたかはしさんの手だけ、という一枚です。

「実はこれ、スタッフさんが作ってくださった懇親の手作りなので、今考えれば記念にいただいてくればよかったと思ってます(笑)。かぶろうかと思ったのですが、私の夏の洋服がキャップには似合わなかったので、急遽手に持ちましょうということになったんです」

──ブックレット写真で、帽子と手だけ、というコンセプトは斬新ですね。

「斬新ですよ。これがジャケ写の中で一番強烈だと思います。やるな、と思いました」

──そして8月9月、夏の写真です。裏のジャケットが夏で、噂の智秋跳んで、ですね。

「智秋跳んで、そしてグランバザール開催中のイメージです(笑)。CMみたいにかわいく撮れたので、せっかくだから裏ジャケに使おうと」

 裏ジャケットは撮影中、今井さんがおもむろに腕を組んで「智秋、跳んで!!」とリクエストし、その場でのジャンプの中から生まれた名ショットです。

「いろんなショットがあるんですけど、8月からはなんと言ってもオトナエリアなので(笑)だからニコパチじゃない写真を選んでます。ちょっと遠くを見た、クールな感じの写真を集めてみました」

──そして秋、落ち着いた装いの中にもセクシーな10月です。

「写真の撮影は春先だったので、秋冬物ってなかなか売ってないじゃないですか。だから秋冬物のタンスから引っ張り出してきました。今の流行もとり入れつつ、セクシーさも忘れない。それでいて秋っぽさも出せたら素敵だなぁと思いまして、この衣装にしてみました」

──冬の入り口の“Melting season”は、こちらは空気を変えてかっこいい感じの装いですね。

「これは私にとって、今は思い出のへそピアスの写真なんです。私はへそピアスを開けていたのですが、先日残念ながら取れてしまったんですよ(泣)。なのでこの写真が私のヘソピアス姿の最期の写真となってしまいました」

──ここでしか見られない貴重なショットなんですね。

「このへそピアス気に入ってたんですけど、ぶら下がるタイプだったので、重力で肉ごと千切れてしまったんですよね(汗)」

──いたたたたたた!

「なので偲びながらこの写真を見てます。あとは自分の好きなバギーパンツ。これもおすすめのファッションです。ヒョウ柄コートもお気に入りです」

──これはインナーの紫な感じも含めておなじみですね。

「そうです!やはりあずささんは忘れちゃダメでしょ~!私がアイマスコンテンツで仕事をさせていただけるのも、あずささんあってのこと!私の中にもあずささんは忘れずに押さえておく……という思いがあって、このインナーにしました。」

──そして話題が一番盛り上がりそうな“てがみうた”。横たわった2人の肩から上の素肌が見えているカットです。

「そうですね、やっぱりこういうヌーディなテイストの写真がお好きな方も多いし反響もいいと思うので(笑)」

──セクシーさもありつつ、“てがみうた”の童謡っぽい、無垢な雰囲気も表現できている気がします。

「そうなんですよ。逆にのんびりしてる感じがしません? お正月朝寝坊しちゃって年賀状待ってるよ、という空気がかもし出てるでしょう?こんな感じの、ちょいセクシーな写真の方が、アイマスファンの皆様には人気が高いらしいですね。私みたいな出しすぎは駄目みたいですよ(汗)」

──そんなことないですよ(笑)。

「中村(繪里子/春香役)さんに「正直智秋さんのムネは見慣れちゃいました」と言われちゃいました(笑)」

──そして3月、本当に仲のいい雰囲気の1枚です。

「そうですね、2人でにっこりという感じです。あと、次のページのワイングラスを持った2人の手も私たちなんです。私のはワインで、中身はもちろんおいしく頂きました(笑)今井さんのはぶどうジュースだった気がします。撮影したのがちょうど5月で、私と今井さんの誕生日が近かったので、皆さんにお祝いしていただきました!!その嬉しさをワインの手に込めてみました!!忙しい中、スタッフさんが誕生日を覚えてくださるなんて、本当にありがたいです。感謝感謝!」

Photo●今井さんはたくさんの世界観があって、みんなで作り上げるのが大好きな人。

──今回全体のプロデュースが今井さんということで、たかはしさんから見たハイパーナンチャラプロデューサーの仕事ぶりはいかがでしょう。

「間違ってるよね、フンフフフンフフプロデューサーでしょ」

──失礼しました、フンフフフンフフプロデューサーの今井さんについて聞かせてください。

「彼女は私のレコーディングに来てくれたとき、何も言わずに何か書いてるんですよ。それで、ふっとのぞくと、彼女絵を描いてるんですね。とても絵が上手なの。それで、世界観はこんな感じって。要するに口ではうまく伝えられないところを、こういう世界観だから、こんな風に歌って、と、絵で見せてくれるんです。それがすごく印象的でしたね。私だけでなく、スタッフの方にも絵を通して伝えている感じで」

──たかはしさんは前回のCD「歌道場」でジャケットをプロデュースされていますが、着眼点や演出の違いは感じましたか?

「世界観が全く違うので、直接の比較はしようがないです。私の場合は世界観がはっきりしていたでしょう。新しいことに挑戦!って感じで。今回のアルバムは新しい何かではなく、オーソドックスな私たちの原点に戻ろうっていう感じですね。あと、私はジャケットだけでしたが、彼女は中も全部プロデュースしているので、労力の違いに関しては恐縮してしまうぐらい、彼女の方が頑張っていましたね」

●感謝の場、やすらぎの場。

──今日はたくさんお話を聞かせて頂き、ありがとうございました。最後から2つ目の質問になるのですが、先日番組の区切りに関する発表があったことも含め、ファンの皆さんへのメッセージをお願いします。

「約三年間、『THE IDOLM@STER RADIO』を応援してくださって、本当にありがとうございました。私は声優としてはB系だしB級だし、そんな私とあずささんにはかなりギャップがあります(笑)本来アイマスを含め、こういうキャラと声優が連動したイメージがある作品の中で、はっきり言ってニーズに合わないこんな私を暖かく応援して下さる方もいらっしゃるということを知り、感激いたしました。スタッフさんも、本当は“アイドル”マスターでJPYだのクラブ系だののノリって、やっちゃいけないんじゃないの? と思うところを、いい感じに飼いならしてくださって。こんな珍獣を放し飼いで可愛がって下さって、本当に感謝です。動物愛護週間にはぜひまた楽しく騒ぎましょう!!がぉぉ(笑)、本当にすごく居心地がよかったし、皆さんの暖かさに支えられた3年間でした。コロムビアの植村さん、ディレクションの関口さん、構成作家の方、そして今井さん。自由にやらせて頂いた事で、自分に自身も出たし、その自身を与えてくれたのは、こんな私を応援して下さったアイマスファンの皆様のおかげだと思っております。感謝感謝!あずさ役にも力をいれて、たかはし智秋は今よりももっともっと素敵なパフォーマンスを魅せられる様、日々精進していきたいと思っています。そして『アイドルマスター』は、これからもまだまだ続きますので、是非、応援をよろしくお願いします」

──最後に伺います。『THE IDOLM@STER RADIO』という番組と、相方の今井麻美さんは、たかはしさんにとってどんな存在でしたか?

「感謝の一言ですね。三年間、本当にありがとうございました」

──本当にありがとうございました。7月最後の放送まで、楽しい放送をお願いします!

(了)

(インタビュー/文・構成:中里キリ)

「たかはし智秋」編トップへ  ★ 「今井麻美」編トップへ

ジャケット写真『THE IDOLM@STER RADIO LONG TIME』発売記念ロングインタビュー~今井麻美編
アイマスレイディオの2人が語る、このCDと番組に対する想いとは?

 アイマスの冠番組として、2006年4月より続いてきた『THE IDOLM@STER RADIO』。その6枚目のCD『LONG TIME』が7月15日に発売されることを記念して、たかはし・今井の両パーソナリティにお話を伺う面グインタビューです。たかはし智秋さんに続き、今回は『LONG TIME』で“エグゼクティブナンチャラプロデューサー”として、ジャケットのみならず、CD全体のプロデュースを務めた今井麻美さんにお話を伺いました。プロデューサーとして、歌い手として、パーソナリティとしてたっぷり話して頂いております。たかはしさんのインタビューと併せて読んで頂ければ、なお面白く読めるのでは、と思います。

●「彼女のパワーに私が巻き込まれつつ、私が手のひらで転がしているような関係です」

──それではよろしくお願いします。『LONG TIME』が7月15日に発売されるわけですが、今回のCDは“ほにゃららら”プロデューサーを担当されたということで。

「発音もしにくいし、文字にもしにくいですよね(笑)。はい。“ほにゃららら”プロデューサーに任命されました」

──CD全体をプロデュースされたということで、『LONG TIME』のコンセプトから教えていただけますか?

「今回私がやらせて頂く前に、1枚前の『歌道場』というCDでたかはし智秋さんがジャケットプロデューサーをやってくれて、すごく彼女のビジュアルセンスの高さとかを感じました。私だと、ここまで際どいのはありなのかな? と思う部分でも、彼女がやってみよう、と言うとなんとなくつられてしまう感じで(笑)。彼女のパワー感と仕上がりのインパクトで、さすがだなあと思いました。そして、次のCDの『LONG TIME』では、今度は今井さんがとなりまして。でもその時、果たしてジャケットだけで、自分はあれだけの効果を出せるかって思ってしまったんです。私が描きたい世界と、私と智秋が混ざった世界というのは、また違っていて。ラジオでもそうだったんですが、彼女のパワーに私が巻き込まれつつ。私が手のひらで転がしているような(笑)、お互いにそう思っているような関係性だったんです」

──たかはしさんは溶け合うというよりは、かっとある芯はぶれない感じですね。

「そうなんですよ。私はいつも智秋に限らず、一緒にいる方に合わせていく傾向がある人間なんです。だから“私がやりたいもの”と“2人でやりたいもの”も違っていて、ジャケットの中だけで表現できるかなって不安がちょっとあったんです。その時、全部トータルでやってみたらどうだろうと言って頂いて、それならできるかもと思ったんです。今まで通算5枚のCDを番組から出させて頂いてる中で、『VOCAL MASTER』なんかが特にそうなんですが、こことここを結びつけたらどうなるんだろう、ブックレットの写真と曲のシンクロ率を高められたら面白いんじゃないか、と考えるのがすごく楽しくて。そういう皆で作っていく楽しさを経験していく中で、こういう風にできたらいいな、という思いが漠然とあったんです。そこで全体をプロデュースする提案を聞いて、あ、ジャケットや写真と中身を一緒にやるんであれば、“2人でやりたいもの”がもっとはっきり出てくるかも、表現できるかもと感じて、やってみたい!と思えたので、ナンチャラPを引き受ける決心がつきました。」

──そこからCD全体のカラーはどう決まっていったんでしょうか。

「CDを出すよ、と決まったとき、実は『THE IDOLM@STER RADIO』が一区切りになることは決まっていたんです。ラジオをずっと聴いてくださっていた人、そして最近聴いてくださるようになった人もすごく増えていて。メールを読んでいても皆さんが番組を大切に思ってくれていることが本当によくわかって…。そうした感謝の気持ちを、どうにかして伝えたいと思ったんです。そんな時にCDっていう形で出せることになって。みんなに感謝の気持ちを伝えて、私とたかはし智秋のコンビがいつまでも続いていくものだなって思ってもらいたい。私と智秋って、不思議なコンビネーションだったと思うんです。性格は真逆だし、好きなものや考え方も、根本で似ている部分はあっても、表に出てくるものがここまで違う、でも似通った2人ってなかなかいないと思うんです」

──番組が発表された当時、最初はえっ、本当にこの2人合うの、と思いました。

「そうかもしれませんね(笑)。最終的にはこんな二人の関係性になりました。本当、面白いですよね。そんな二人の関係を盛り込みつつ、この『LONG TIME』という作品を皆さんにずっと聴き続けてもらうには何が必要だろうということを、一番考えました。実は今までずっと温めてきたアイデアがあったのですが、月1でラジオのオープニングを変えていけたらいいなというのがあって。それはすごく労力もお金もかかってしまうので、簡単にできることではないと思っていたんです。でも毎月の代表曲みたいなのがあれば、もしかしたら番組が終わってもずっと聴いてくれるんじゃないかなと思いました。一年分の12曲が入っていて、春なら春、冬なら冬のコンセプトを。このCDがあれば番組が終わってしまったとしても二人の歌声が聴いて頂けますから。」

──楽曲の発注などには、どの程度までタッチされたんですか?

「ほぼ全部です。そういうプロデュースをすることが初めてだったので、どういう風に曲が出来上がっていくかを知らなかったんです。今まではCDに携わるにしても、出来上がった楽曲を渡してもらって歌うって形だったので、ゼロから生み出す作業は初めてだったんです。どうやったら伝わるんだろうと考えて、まずはエクセル表にしてみました(笑)。一年の四季を通して曲をプレゼントしていくのがテーマなので、一曲一曲に贈るって想い・メッセージを込めたいんですと。だからあまり排他的な曲は必要ないし、一見攻撃的であっても、暖かみがあって、自分を表現しているものを作ってほしいというのを、大前提としてお願いしました。各月ごとにこういう曲がほしいんだという漠然としたイメージをになんとか言葉にして。4月なら疾走感のある、これから何かが始まる雰囲気にしてほしい。楽器構成がこれで歌詞はこういうテイストで、既存の楽曲で言えばこんなのがイメージです、と全部表にして。それを曲を発注する人にこんな感じですっ!! ってお渡しして。その後上がってきた曲たちを、コンペという形でイメージに合うように選ばせてもらいました。おかげで、熱弁してよかったな……と後から思える形になりました。自分がやりたかったものがピンポイントで上がってきたので、スタッフと神様に感謝しました(笑)。伝わったー!! って思って。曲によって指定がすごく細かい曲もあればアバウトな曲もあったんです。そこからやらせてもらったので、いろんな方に手伝ってもらいながらではありますが、思い描く完成図、お客さんが手にとって喜んでくれる姿を想像しながら、一曲一曲完成させていきました」

──2人でやるのはセルフプロデュース的な部分もあると思うんですが、2曲たかはしさんソロの楽曲もあります。そちらのプロデュースについても教えていただけますか。

「今までソロの曲も歌っていたんですが、やっぱり私が歌いたいもの、智秋本人が歌いたいものが主だったんです。今回は色々な雑念を取っ払って、一聞き手として彼女が歌っているのを聴いてみたいと思ったのがレゲエの曲だったんです。こういう曲をアイマスの中で歌うことはほとんどないと思うので。『THE IDOLM@STER RADIO』の中で歌う曲にしても、私の中にはレゲエソウルがあまりないので、2人で歌うことはなかったと思うんです。だからいつか絶対歌ってほしいとひそかに思っていました」

──僕ら聞き手の側の中にある“たかはし智秋さん像”にピッタリくるイメージがあります。

「嬉しいですね。彼女の声の中にある綺麗な部分と、情熱的な部分をどうやったら共存させられるかをずっと考えていて。特に8月の“sunshine”という曲に関しては、本当にドンピシャで。彼女の情熱的なところと、高いところの伸びやかさがマッチして、嬉しくて仕方なかったです。こういう曲が聴きたかったーって。自分でも嬉しかったんですけど、智秋が喜んでくれたらいいなって思っていたら、仕上がりを聞いた智秋がこの曲すごく好きだって言ってくれたので…ほんと嬉しかったですね」

●『LONG TIME』今井麻美さんセルフレビュー!

──それではその流れで、個々の楽曲について伺って行きたいと思います。4月の“Smile Smile Smile”からお願いします。

「この曲って、一番最初に決まった曲だったんです。コンペで頂いたCDの中の01番に入っていた曲で、初聴でこれだ! って思って。私の聴きたかった音がここにあるって。すごくビビビッと来た曲ですね。私と智秋って、聴く人によってイメージが全然違うと思うんです。愛らしい女性と思ってくれる人もいれば、引っ張っていく姉御肌みたいに思ってくれる人もいるし。でも、ストレートに元気が出るような歌って、実は意外と2人で歌ってこなかった気がするんです。やっぱりいろんなものにチャレンジしたい流れがあるので、こういうタイプは“URGENT!!!(『THE IDOLM@STER RADIO~歌姫楽園~』収録)”以来になるのかな。原点に戻る意味でもこういう曲がほしかったんです。私たちの明るさ、元気さが表現できている曲だと思います」

Photo──日常というか、等身大の女性が描かれていて、このCD全体のイメージを象徴している気がします。

「一番最初に聴く曲だというのがあったので、こういう2人組が歌ってるんだなとわかってもらいたいというのがあったので、それが伝わっていればやった、狙い通り! という感じですね。歌詞も甘すぎず、現代の女性をすごく表現している感じになっていて。もっと甘々な、10代の感じにもできたと思うんですが、この曲は年齢設定も絶妙な感じになっていて。ディレクターの方には、OLさんの感じでって言われたんですが、実際そんな感じに聞こえていて。私たちの背伸びしていない感じが出ていると思います」

──今井さんの関わった曲では“蒼い鳥”イメージが強い森由里子さんで、こう来たかという感じです。

「歌詞を頂いて鳥肌が立ちました。そうなの、スマイルなの! って。『THE IDOLM@STER RADIO』最後のCDであることは皆さんご存知だと思うんですが、最後まで笑顔でいたい、という私たちのことをよくわかってくれている感じがして、うれしかったですね。すごいー! と」

──“Smile Smile Smile”にもお2人の個性が入っていますが、その意味ではそれをさらに悪ノリなぐらい色濃くしたのが5月の“Lady☆Cake”だと思います。

「このCDではどちらかと言うと、おちゃらけた色はあまり出してないんです。私たちのことを知っている人が聞いて楽しい曲というのもあるんですけど、私たちを知らない人が聴いてもいいなと思えるようにしたかったので。でもこの曲に関しては、そういう枠を取り払って、弾けた曲にしたい、私たちのパーソナルをわかってくださる方にお願いしたいんですと伝えたら、共通の知人でもある三重野瞳さんが書いてくださることになって。本当に私たちをよく知ってくれているのが出ているので……伝わった、って感じですね。どう伝えていいかわからなくて、私たちの絵が浮かぶ感じで、みたいなアバウトな注文になったんですが、それでここまで書いてくれたのは感動しました。今まで番組を聴いてくださった方がニヤリとできる曲だと思います」

──極上のHAPPYなPARTYの詩のテイストはたかはしさんですね。

「パーティを智秋はポーリィと発音するんですけど、私はほとんどパーティと歌ってます(笑)。最後だけ智秋の渦に巻き込まれて、流されてめちゃくちゃ大きい声でポーリィって言ってる設定です(笑)」

──たかはしさんは、麻美もポーリィって言ってるって信じてましたよ(笑)。

「はははっ(笑)。実は最後だけなんです。これも物語を感じてほしいですね。私は最初パーティって言ってるのに、番組が始まったら隣のお姉さんがポーリィって言ってて、そのパワーに私が巻き込まれて、もう、いいやーたーのしー♪ って感じの馬鹿騒ぎになってる、みたいなね。

──今井さんも「少しのお酒でぶっ飛んで」「毎秒変化のバスト」と狙い撃ちにされてますね。

「そうですね、5月は私と智秋の誕生日でもあるので、無礼講かなって感じで作りました。私たちを知らない人はどういうことだろって思うけど、知っている人ほどニヤリとできる曲になってます」

──後半に行くほど、合いの手の大騒ぎが激しくなっていきます。

「そうなんですよ。しかもその場にいるスタッフも呼び込んで一緒にやるよって感じで。パーティって感じでやりました」

──続いての6月は今井さんソロの楽曲“7 colors”ですね。

「智秋のソロは、みんなが聴きたい曲をと考えたんですけど、自分となると難しいなと思って。一歩引いて考えて、みんなが聴きたいであろう曲と、それをちょっと裏切る曲を一緒に持って来ようと決めたんです。この曲は今井麻美をボサノバに挑戦させてみようと思って、ボサノバ調で自分探しをしている曲がほしいですとお願いしました。歌唱に関してはチャレンジのひとつでしたね」

──世界を下ろしてくるトリップ系の曲に今井さんが誇りを持っている反面、違うチャレンジもしてみたい、という感じは以前から感じていました。

「私が普段、ボサノバを聴くのがすごく好きなんです。でも自分が歌うイメージはあまりなかったので、私に歌えるのかなって気持ちはありました。結果的に言えば、歌詞も曲も歌声も、表では表現していない私を出せたかなと思います」

──これだけシンプルな音、ささやくように一定なトーンだと、ごまかしがきかない分歌の力が問われますね。

「そういう意味でもプレッシャーな曲でした。私ってどんな人? って聞かれたとき、意外と答えられないところがあるんです。智秋といる時はこんな自分ってのがあるんだけど、相手が違ったり、ステージが違ったりすると、私の中で案外ころころ変わるところがあるんです。元気といわれればそう、考え込むタイプだねって言われるとそう。社交的な時も、そうでもない時もあって。たくさんの自分像がある中、この曲で違和感なく「あ、自分だ」、というものが出せたのは感動しました」

──先ほどたかはしさんから「麻美は言葉で表現するのが苦手だから、絵とかも使って表現してくれて」との言葉があったんですが、僕ら取材する側としては、今井さんはすごく表現する言葉を持っている方だと感じるので意外でした。でもどこか、わかる部分もあるのが色々な面があるということなのかなと。

「評価してくださる方によって色々な見え方があると思うんです。例えば智秋が私の事を口べただと思っているとしたら、それはきっと私が智秋には感性で受け答えをしているからだと考えています。繪里ちゃん(天海春香役の中村繪里子さん)だったらトコトン言葉で話し合ったりするし。(笑)言葉が欲しい人には言葉を、感覚が欲しい人には感覚を、というのを本能的に選んでしまうからだと思います。その中で、色々取っ払った素の自分に近いのが、“7 colors”という曲なのかと思っています」

──続いて6月、青春ソングの「エール」です。

「懐かしい雰囲気を残してほしいという熱い要望の下作った曲です。私と智秋はいろんな世代の方に受け入れて頂いている実感があって、だから私たちが子供の頃に見ていた野球アニメとかの雰囲気がいれたかったんです。でまぁ、7月と言えば甲子園だろう、甲子園と言えば三角関係だろうと」

──あだち充だろうと(笑)。

「安直でスミマセン(笑)。リクエストも明確でした」

Photo──続いて8月の“sunshine”については先ほども伺ったのですが、たかはしさん以外の男性ボーカル、strさんの参加というのは大胆なアプローチですね。

「このCDは関わってくれたスタッフの方皆さんが、情熱を持ってもっとクオリティを上げようって積極的に関わってくださってるんです。最初はこの曲はあそこまでがっつりレゲエを入れる予定ではなかったんです。かっこいい外国人さんのラップみたいなのを入れてほしいとは言ってたんですが、無理なのかなあとあきらめていたところ、スタッフの方がレゲエミュージシャンを紹介しましょうかって言ってくださって。まさに嬉しいの一言ですね」

──なるほど。そして夏コンボ、9月の“JM-Justify Myself-”です。ちょっと攻撃的な詞が印象的です。

「自分の中で、全部が全部きれいな感じでいいのかな? という漠然とした思いはあったんです。9月と10月作詞の柚木さんには直接お会いしてお話しさせて頂きました。柚木さんが最初に曲を聴いて感じて下さったイメージと自分のイメージをすりあわせていった結果、世界観がだんだん融合していって、あ、これはありだなと思ったんです。ジャズテイストの曲で、かっこよさを表現したいとは思ってたんですけど、このバンって投げかける感じは聴く人にとってもどっきりする曲になるなって。私一人で考えていたら、生まれなかった曲だと思います」

──終盤、間奏のスキャットが印象的ですね。

「歌自体はぱっと録ったんですけど、間奏に時間がかかって。実はこの曲に関して私が一番やりたかったのはそこなんです。歌ではないスキャットみたいなのが入るんですけど、最初はこの曲は全部スキャットでもいいって思ってたぐらいなんです(笑)。ただ、作っている時は自分が歌うことを忘れていて、いざ歌う時になったらこれどうしたらいいんでしょうみたいな(笑)。おかげで、歌自体は全部録り終わった後も間奏部分だけ保留! みたいな感じで後から録りました。自分でスキャット入れますって言っちゃった手前ね。あと、いざスキャットを無くすとなるともう間奏が長いので(笑)。びくびくしました、完成してよかったです」

──そして10月、“赤い花咲いた”です。

「これはもう、智秋の十八番の曲ですね。真骨頂というか。曲調も彼女が好きで得意とするR&B調だったので、いい女を歌ってほしかった」

──かっこいいですよね。このラジオのCDだから出来た曲だなと思います。

「8月の“sunshine”がひとつのチャレンジだとすれば、“赤い花咲いた”は絶対にはずさない、彼女が一番得意とする、伸び伸びと輝ける曲だと思います。写真もいい女でしょ。ここはずっといい女の写真って言ってたので、智秋からも「いい女の写真ってあんたさぁ」って突っ込まれました(笑)。うん、でもいい女で! ってずっと言ってました」

──11月、“Melting season”で秋から冬のイメージになっていきます。個人的に初聴で一番引き込まれた曲です。

「ありがとうございます。四季をイメージしてるので春の明るさ、夏の灼熱と来て、“Melting season”はトーンを落とした曲になっています。個人的には、この曲が私と智秋の歌の混ざりが一番美しいのかなと思ってます。夏の曲に比べると派手ではない控えめな曲なんですけど、ここですっと引くのがいい女だなと。自画自賛です(笑)」

──なんとなく8月~10月の大輪の花がたかはしさん、6月や11月の梅雨や寒空に立ち向かって輝いてるのが今井さん、なイメージがあります。

「曲の割り振りでもすごく悩んでいて、私と智秋の“Melting season”で表現したい方向性が意外と違うんです。それで両方を通して収録した後で、どこをどう組み合わせて仕上げるかにすごく悩みました。曲によってはパート分けが決め打ちの曲もあったんですが、これに関してはフルで歌って、一番いい組み合わせの試行錯誤でした。サビは2人でユニゾンで歌って、基本メインは智秋が1番、私が2番です。混ざり合いと組み合わせの妙を楽しんでほしいですね。何度も聴ける曲だと思います」

──12月の“ギフト”はフォークロアな感じですが、あ、千早だ、というか、今井さんの代表的なテイストに近いと思いました。

「ソロの中での、期待を裏切らない曲担当の方ですね。こういう曲調の曲って、私の歌い方と千早がリンクしている部分だと思うんですね。遠くを見据えているような、ちょっと神秘的な雰囲気。私が得意で好きであり、いろんな場面で皆さんに見せてきた、如月千早が得意で好きなものでもあると思うので。この曲をお願いした時には、人間というより壮大な世界が、景色や情景が透けて見える曲にしてほしかったんです。12月って神秘的な時期で、自分以外の色々なことに想いを巡らせられる時期でもあると思うので、万物を愛するイメージを込めました。作詞が岩里祐穂さんということで背筋がピンと伸びてしまう思いだったんですが、素敵な歌詞とタイトルをつけてくださって。私が12月という月に届けたかったものをすごく表現して頂いて……世界を愛する気持ち、あなたに届けたいんだって想いが心に伝わる曲になったんじゃないかと思います」

──年が明けて1月、“てがみうた”はとてもかわいらしい曲調ですね。

「1月はもう、お正月だなって思って。1月に送るものといえば年賀状でしょう、というシンプルな考えから生まれた曲です(笑)。ここでほっこりしたかったんです。今まで怒涛の展開で聞いてもらって、しかも“ギフト”が壮大なので、ふっと日常に戻ってほしい曲ですね。じつは“てがみうた”の曲は、最初クリスマスソングとして生を受けたんです。コンペの時点ではベルの音がたくさん入っていたんですが、メロディラインがとても好きだったんです。あたたかさがとても伝わってきたので、このメロディをCDの中に入れたいなって思って……。その時点では演奏の方向性が違っていたので、ほかほかした感じの音にして頂いていいだろうか……とお願いしたのが、この歌が生まれた経緯です。私の中でのお正月って、あまりアクティブなイメージではないんです。朝起きると、お雑煮の香りが漂ってきて、家族そろってあけましておめでとうございます、みたいなところから入って。目的もなくテレビをぽけっと見て、お年玉をもらって、メール返す、みたいな。私の時代は年賀状でしたけど(笑)。平和なイメージがあったので、そういう曲を作りたいと思っていました。そのあと作詞家の只野菜摘さんが詞をつけてくださったんですが、最初は詞がつく予定のなかった最後の三行。驚きましたね。

──とてもいいお話の流れで大変恐縮なんですが、違う意味で最後の三行は話題になりそうな気がします。

「ありがとうございます(笑)。ほんとにそうですよね。只野さんは私が演じているキャラがぺったんぺったん言われているなんて知らないと思うので、本当に曲を聴いて、おいものはんこをついて、おもちをついて、のイメージでぺったんぺったんって音を入れてくれたんだと思うんです。最初は(かっこ)がついていて、合いの手みたいな感じで。ご存知ないはずなのにこういうのが入ってるのは、もう運命としか思えないと思って(笑)。このまま行きますかと。(かっこ)なしで歌っていこうと。みんな引っかかるだろうなと思いつつ、こういう奇跡が起こるのは流石『THE IDOLM@STER RADIO』だと思いました」

──そして2月、“pinkのfebruary”です。

「80年代アイドルソングが一曲ほしかったんです。ここまで正統派のアイドルソング、女の子ソングを2人で歌ったことってあまりないんです。やはり私たちの声のパワーの問題なのか、力強い曲とかが多かったので。きゅんきゅんしちゃう曲って、そんなにないんですね。“てがみうた”でほっこりしたところで、照れちゃうような華やかなアイドルソングがほしかったんです」

──10代の。

「はい。きゃあ、みたいな。ははは(笑)。でもこの曲すっごくかわいくて好きなんです。作曲してくださった佐藤和郎さんに当日お会いしたんですが、この曲はユニゾンで、私が上ハモの担当なんです。それで私が担当する上ハモが、信じられないくらい高いんです! ひええみたいな。出ない音ではないんですが、かわいらしい曲調の中での高さなので、頑張ります、という感じで録ったんですが……録り終わったら佐藤さんが、この音が出るとは思わなかったからラッキー、って(笑)。私も上ハモがやりたかったので絶対頑張ろうと思って歌ったので、おかげですごいキュンキュンソングになりました。でも帰りはぐったりしてました。こんな一面もあるのよというのを感じ取ってください」

──そして3月、今井さん作詞の“また、はじめよう。』”です。

「このCDの曲は全て同時進行で進めている中、3月の曲は長い間保留になってたんです。全体像が見えてからにしようって言っていて。そんな中、私が作詞をすることになってしまいまして……(笑)。全部の曲がプレゼントなんですが、自分で作詞をするのなら、もっとストレートに言ってしまってもいいんじゃないかって思ったんです。私たちの出会いから今に至るまでを18行の中に詰め込みたいなって思って。情景が浮かぶような曲が作りたかったんです」

──このスタジオの場所や風景、収録の様子が入ってるんですよね。

「初めて『THE IDOLM@STER RADIO』の収録が決まったのが3月で、春先に集まって新しい番組を作っていこうって始まった番組で。このスタジオが、駅から降りて本当にひとつめの角を曲がったところにあるんですね。いつも決まった時間から集まって収録をするんですけど、どちらかが先に来てスタジオで座ってるんです。結構急な階段をテクテク昇ってくるんですけど、夏はゼハゼハ言ってたりして。スタジオに先に来ていると、階段をカンカンって昇る女性の足音がすると、智秋来た、麻美来たってお互いにわかるんです。そんな感じをストレートに歌詞に織り込みました。ずっとひとつのマイクで歌姫楽園で歌っていることとかも。2番ではすごく悩んだところがあって、皆さんから毎日送られるたくさんのメールへの感謝の想いを込めているんですが、その文を“想い”にするか“メール”にするかでギリギリまで迷ったんです。ただ、メールって書いてしまうと、お手紙をくれた人も、聴いているだけの人もたくさんいらっしゃるので、聴いてくださってる方々の想いも全部私達に伝わっているんだよってことを全部織り込みたかったんです。

──後半、歌詞カードにはありませんが、2人からのメッセージの語りが入ります。

「この曲は実は、語りありきで作られたんです。でも、語りがそもそもいるのかいらないのか、というのも割と悩みましたね。台詞を録ってから、どうしようって。今回は全編歌で来たんですが、やっぱり私たちは声優だって誇りがあるんで。この曲の間奏をお借りして、私たちの喋り声も届けたい、そして私たちの想いがストレートに伝わればいいと思って……敢えて言葉にして伝えました。これで終わりなんかじゃない、このアルバムを聴いて下さった人の中で今井麻美とたかはし智秋というコンビの存在が、生き続けてもらいたいし、みんなが私たちを覚えていてくれてるんだって思えること、みなさんの想いや笑顔にありがとうと伝えたいのが、この曲に込めた気持ちです」

──5年たってまた聴きたい曲ですよね。

「そうですね。その時にはまた智秋とのコンビが復活できるかな?で、CD的には3月まで聴いて、実はまた4月に戻ってほしいんです(笑)。また一緒に始めようって言ってるので、次は4月の“Smile Smile Smile”でまた笑顔で始まるんです(笑)。エンドレスで聴き続けてください」

●「私たちの本当の姿が垣間見れる写真だと思います」

──それでは、ジャケットを含む写真について伺っていきます。まずは表ジャケット+春というところからコンセプトを聞かせてください。

「最初は衣装の用意を考えていたんです。でも何かしっくり来なくて。このアルバムを聴いてくださる方は、私と智秋のいろんな面を知りたくて手にとってくれてると思うんです。それをひとつの衣装で表現できるかな? という部分があって。試行錯誤を重ねた結果、智秋に相談して、こういうアルバムだけど、私と智秋の私服でジャケットに載るのはどうだろうって相談したんです。偽らざる自分たちを出すというか、与えられたものではなく、にじみ出るものってあると思うんです。私たちの個性をより表現して、そしてラジオがずっと続いているように感じてもらうためには、4着用意してほしいな、どうだろう……って伝えたら、彼女もふたつ返事で乗り気になってくれたんです。お互いのらしさを出しつつも、2人がセットになってるのは、うまくはまったと思いますね。本当に私服なので、ひょっとしたらどこかで見たことがあるかもしれません。それが私たちの本当の姿が垣間見れるって意味では、このCDにはいいんじゃないかと思います。前回の『歌道場』が、作りこむ方向でぶっ飛んだところまで行ったので、今回は素の自分達を追及してみようと考えて、このアルバムができました」

──そして夏。たかはしさんはJPY帽子が大のお気に入りでした。

「これ、スタッフの方が徹夜して作ってくださったんです。ほんと感動しました。野球なんで帽子がいいだろうと帽子を用意はしてたんですが、スタッフの方が誰にも言わずに、こんなものを作ってみました、て言ってこれを持ってきてくれたんです。現場で抱きついちゃいましたもん。こんなところにもスタッフさんの愛を感じますね」

──“sunshine”と“JM-Justify Myself-”のページは、中村(繪里子)さんが(胸の谷間に)大興奮でした。

「だから、あるんだって! ほんとにもうみたいな。これが真実の私、素の私はここにいるのよと、声を大にして言いたいところです。次の10月の智秋のメロンのようなバストに瞬殺されるんですけどね、なんじゃこりゃあと。表情とかもナチュラルに表現できていて、私は気に入ってます。今回は絵コンテみたいなのも切っていて、カメラさんやスタッフさんもイメージを共有して総力を挙げて絵作りに協力してくれました」

──そして秋から冬に向かう写真です。

「ある意味今の私たちに近い、無理をしない写真ですね。さりげなくこの2ページで秋から冬に移行してるんですけど。師走が近づくにつれ、季節が早くなる感覚も表現して……すいません後付です(笑)」

Photo──そして冬なんですが、見開きで“ギフト”の着込んでる感と、“てがみうた”の何も着てない感のコントラストがすごいですね。

「12月は私の私服で、“ギフト”に合う服にしようとしました。“てがみうた”は割と偶然の産物で、こんなのはどう? というアイデアが現場で出て。ほっこりした、一番ナチュラルな自分たちが出ているのではないかと思います」

──無垢な空気感が出ていますね。撮影の時はどうでした?

「床が冷たくて、あまりにも冷たくて冷たくて、ダンボールを敷いて撮影したんです(笑)」

──ちょっと夢も希望もないですね(笑)。

「ひやーって言いながら撮影しました。床が石だったんです……楽しかったです。カメラマンさんが上からがーっと撮影してるんですけど、カメラ降ってこないかなって思いました」

──そして3月。

「春に戻ってくるということで、再び春の衣装です」

──3月は衣装というより、表情や2人の関係性が写真のテーマなのかなと感じます。

「そうですね。今は3月にぼんって大きく写真が載ってるんですけど、最初はここにも歌詞が載ってたんです。でもこの表情がすごく良かったので、これだけで伝わるんじゃないかと、目立つ配置にしてもらいました。私たちがずっとやってきた『THE IDOLM@STER RADIO』を象徴する1枚になったと思います」

──最後に乾杯する写真があります。

「かんぱーい、おつかれさまーっていう、打ち上げ的な写真です。シンプルでわかりやすく、これだけで私たちの気持ちが伝わるかななんて思いながら。実はこれ、わりと大変だったんです。どう持ったらきれいに手が見えるかを相談して。彼女はきっちりした爪で、私は普段からヌーディティな爪なので。そこもまたお互いの個性が出ていていいかなと思います」

──そして裏ジャケットは、噂の“智秋、跳んで!”です。夏の衣装ですね。

「智秋、跳んで、って言ったら、最初はみんな何を言ってるんだろうって空気だったんですけど。いいから、跳んで? って(笑)。どうしても入れたかったんです」

──アイデアは現場で?

「いや、元々イメージがあって、彼女がこの服にするって聞いた時点で跳んでもらおうって思ってたんです。逆に私は別に跳ばなくてもよかったんです。智秋の弾けるような写真、弾けるような表情がほしかったんですけど、決めポーズではないものがいいなと。それで考えると、彼女のエネルギッシュさ、躍動感を出せるのはジャンプかな、って。それで撮影現場で跳んでってリクエストすることにしました。ちゃんと撮れるかわからなかったんですけどね、ぶれちゃったりするかもって。でもカメラマンの人がめちゃくちゃうまくて、撮った写真が1枚もぶれてないんです!! すごーって。調子に撮っていっぱい跳んでもらったら、疲れるっつーの、ごめーん、みたいな(笑)。想像以上に躍動感が出たので、ためしに今井さんも跳んでみたら? って言われて、せっかくだから跳んだ1枚目……が実は裏ジャケットなんです。現場で生まれた奇跡の一枚で、すごく私たちらしさが見えてると思うなと思います」

●「愛情に私たちが応えたもの、感謝の気持ちを贈り届けるものだと思っています」

──『THE IDOLM@STER RADIO』ならではですね。さて、8月には『LONG TIME』発売記念イベントラッシュが始まります。

「前回『歌道場』からプロデューサー制になりまして、今回は私がナンチャラエグゼクティブプロデューサーを担当することになりました。前回からプロデューサーが責任を持って回りましょうということになったので、色々な所を回ることでようやくプロデューサーとしての責任を全て果たすことになるのかなと思っております。いらっしゃる方は楽しみにしてほしいです。」

──ハードスケジュールですががんばってください! それでは最後の質問です。今井さんにとっての『THE IDOLM@STER RADIO』はどんな番組だったか。そしてたかはし智秋さんの存在について、聞かせてください。

「『THE IDOLM@STER RADIO』が始まって3年と4ヶ月、本当にたくさんの方に後押ししてもらいながら、楽しく番組をやらせて頂いて、みんなの声が直で伝わる番組だったので……アイマスを応援してくださる方と、私たちのパーソナルを受け入れてくださることをすごく力強く感じていて。もっともっと色々な表現をしていいんだ、もっと新しいことにチャレンジして行こうと思わせてくれる、素敵な番組でした。私一人では、きっとできない番組だったと思います。もちろん一緒にやってくれる智秋がいて、スタッフがいて、番組を作り上げてくださった全国のリスナープロデューサーの方がいて、私たちの想像を超える作品作りができたと思います。今回私はプロデューサーを担当していますが、これは私たちが作ったものではなく、リスナープロデューサーさんたちが私たちに届けてくださった愛情に私たちが応えたもの、感謝の気持ちを贈り届けるものだと思っています。愛情を持って見守ってくださった方々に届けたいなと思うので、より多くの私たちを愛してくれた方々に伝わればと思います。そして3年半も智秋と一緒にやってたんだなって……一番組としては非常に長いんじゃないかと思います。その中ここまで新鮮な気持ちでラジオと向かい合ってこれたのは、彼女が持っているものと私が持っているものが、絡み合いながら私たちを成長させてくれたんだと思います。始まりがあれば、終わりがあるのは承知の上で、2人のトークや歌声にはもっと違う形、もっと違う未来があるのではと思っていたので。このコンビが終わってしまうのは、すごく残念ではあるけど、彼女にもらったパワーは、私の中に根付いてると思います。そういうパワーをくれた智秋には、本当に感謝しています。私の魅力を引き出してくれたのは彼女だし、彼女の面白さを見つける楽しさもあったし。期待に応えてくれるサムカワであり、何が出てくるかわからないびっくり箱のような存在でした。番組は終わりますが、『アイドルマスター』というコンテンツは続きますし、一盟友として色々やることはあると思うので……彼女のパワーに感化されながら、これからもやっていきたいと思います」

──おつかれさまでした。そして3年4ヵ月の間、本当にありがとうございました。

(了)

(インタビュー/文・構成:中里キリ)


「たかはし智秋」編トップへ  ★ 「今井麻美」編トップへ