
ジョン・レノン。1969年ビートルズ末期、当時28歳。こんなに生き生きとしたジョンは久しぶりだった―――。
1969年9月にトロントのフットボールスタジアムで「ロックンロール・リヴァイヴァル・フェスティヴァル」が行われた。ロックン・ロールの祭典であるこのイベントに当初ジョンの出演は予定されてなかった。しかし、コンサート前日に主催者がジョンのもとに突然連絡を入れてジョンがこれを了承。偶然とも奇跡とも言える成り行きでジョンとヨーコの出演が決まった。

そして、急遽メンバーを集め、ほとんどリハーサルもできずにステージに上がったのがこの演奏である。
しかしこの偶発的な勢いが功を奏したのか、ここでのジョンのパフォーマンスはとても素晴らしい!バンドの演奏もテンションも最高だ!
このコンサートの約2週間後にビートルズは『アビイ・ロード』を発表し、実質的に解散状態に入る。そして、約1年後の1970年12月に名作『ジョンの魂』を発表してジョンは生まれ変わるのだ。そのことを考えると、このプラスティック・オノ・バンドでの演奏が、ジョン再生の大きなきっかけとなったことがわかる。
このコンサートの模様を記録したのはD.A.ペネベイカー。ボブ・ディランの「ドント・ルック・バック」を監督した伝説のロック・ドキュメンタリー監督である。