AKIOとは、パンチある楽曲に泣きの和メロを駆使する、
スネイル・ランプ作曲の要であったギター&ヴォーカリストである。



約2年前、彼が突如スネイルを辞めたと聞かされた時は非常に驚いたものだったし、残ったスネイルの2人のことも含め、当時は心配もしたものだった。ただ、床がたわむ程のレコードや器材を所持すると言っていたロック・マニアのAKIOが音楽自体を辞めるとは到底思えなかったし、実際彼はその後もプロデュース業や楽曲提供などを続けていたわけで、彼がいつか自分主導のバンドを始めるだろうということに関しては全く疑っていなかった。

むしろ、バンドは絶対にやってもらわなくてはイカン!と勝手に切望していたのである。

というのも、私は彼の作る曲も好きだが、それと同じくらい彼の声が好きなのだ。あの、ちょいと掠れた、そして鼻にかかった、どこか猫を思わせる少年声。そして「それは演歌違いますか?」と思わず突っ込みたくなるコブシぶん回し系の唱法ときたら、極めて独特にして超キュートというか、とにかくもう身をよじるほど最高なのである。

で。今年に入リ、スネイルが長期休止期間からの復活を果たし、こうなってくると当然気になるのがAKIOの動向。

いい加減「とっとと復活すれよ。つうか声聴かせろ!」と半ば怒りかけていた矢先だったので、コロムビア冨永女史からの突然の電話、すなわち「あのう、AKIOが音源作ってるんですが……」には、思わず「ギャー、きたーーっ!!」と返事にならぬ返答をする自分がいたのであるがとにかく。

そんなこんなで思いっきり制作途中の音源を奪取するに至り、そしてコレを書いている現在。

長い前置きだったが、結論として言いたいのはつまり、祝・AKIO完全復活!ということなのである。

サウンドは、ぶっちゃけスネイル時代に比べると若干シブ目だ。だが根本はやはりアッパー。

スネイル加入以前に彼が在籍していたサイコビリー系の要素が随所に垣間見られ、跳ねまくるビートが気持ちいい。

また、ブルーズ等を踏まえたガレージ調、スウィンギンなジャズ&ソウル調、さらには得意のコブシぶん回し唱法を生かしてロックと日本民謡を無理やり合体させたかのような「何ですかコレ?」調に至るまで、新鮮なアプローチが目立ち、全体的にトラディショナルにして攻撃的。大グッドだ。

加えて、注目のヴォーカルは、楽曲のムードを反映して骨太さをかなり増強し、先に記した独特ぶりを生かしながらも男性的魅力を大きく加味。つまり全体的に大人イメージを前に打ち出す方向だ。でも、可愛い系の歌い方も出来る人なので、そのうち子供声全開曲も作って欲しいと思ったりもするのだが、まあそれは2〜3年後でもいいのでよろしくお願いします。

また、それに付随する歌詞に関しては、今現在はまだハナモゲラも多いので細かな記述は控えるが、とりあえずメロとリズムに合わせた、歯切れよいアッパーな語感が生かされそうである。

さて。音と一緒にいただいた手書きの資料によると、このAKIO初のソロ・プロジェクトの名前はKOOLOGI〜コオロギ。

なにゆえ昆虫の名前なのかはサッパリ分からないが、とりあえず筆者を始めとする仮面ライダー・ファンには受けがよかろうし(まああれはバッタとかだが)、何よりもうAKIOの曲とヴォーカルが聴けるなら名前など何でもいいので以下略。

むしろ今回特筆すべきは参加メンバーで、Wベースは何と元東京スカンクスのKATSUYA.N、ワン・トラック・マインドからドラムでBAGI、ゲスト・ヴォーカルにZAKO、そしてギターで元ミッシェル・ガン・エレファントのアベフトシが参加。

サイコビリー、スカ、そしてガレージの覇者たちが集う非常に豪華な顔合わせとなっているが、単に豪華には留まらず、サウンドを通じて説得力のある編成となっているのがまたよいのである。