カリフォルニア州オークランド出身のDeath Core / Metal Core 期待の星、All Shall Perish の通算4作目。新メンバー、ドラマーのAdam Pierce、そのギター・プレイが非常に注目を浴びている(今まではツアー・メンバーだった)Francesco Atsusato のお披露目でもある本作は、彼らの持ち味である凄まじいスピード感、切れ味鋭いリフと豪快な展開、タッピング、レガートを駆使した美しく流麗なギター・ソロ、そしてグロウルの嵐がこれでもかと直撃して来る一大傑作となった。いわゆるExtreme Metal の急成長株として全米での飛躍も期待される1枚。
“今回のアルバムは音楽的には勿論、ヴィジュアルでもリスナーの注意をひきつけるようなものが絶対に欲しかった。歌詞については俺たちの葛藤や苦闘をテーマにしているんだけど、アートのコンセプトはジャケットの男の過去、今も続く苦悩、それについての屈辱といったものを表現している。Brent のダークでヴィヴィッドなスタイルはこのアートを凄くリアルにしていると思うな。
Metallica のKirk Hammet や、Machine Head のRob Flynn がお気に入りのバンドとして名前を上げるなど、ここ数年でAll Shall Perish を取り巻く環境は激変したと言えよう。彼らの故郷であるカリフォルニア州オークランドを代表するアメフト・チームであるOakland Raiders 同様、彼らのファンベースは日に日に堅固なものとなっており、その数も増加の一途を辿るばかり。バッシングなどしようものなら、Die hard なファンたちから総攻撃を食らうことは確実だ。
2002年結成。すでに、ありとあらゆるジャンルが跳梁跋扈する中、単なる1ジャンルのフォロワーとして見られる事を拒否し、All Shall Perish はありとあらゆるベイ・エリアのクラブでギグを行っていた。セルフ・タイトルされた3曲入りのデモを制作、まずその可能性に注目したのは日本のインディ・レーベル Amputated Vein Recordsで、同レーベルから1st アルバム “Hate.Malice.Revenge” (2003)をリリース。 D.I.Y. スタイルで数多くのツアーを行ったバンドは2004年12月にNuclear Blast との契約をゲット、翌2005年初頭にセカンド“Hate.Malice.Revenge.”をリ・リリース。その後行われたツアーでは SIX FEET UNDER、AS I LAY DYING、BLEEDING THROUGH、 BRUJERIA、 DYING FETUS 、DIECASTらのサポートを務め、バンドを新しい、そして幅広いオーディエンスに認知させることになった。
“Hate.Malice.Revenge.”のアンダーグラウンドでの成功を受けて、バンドはセカンド・アルバム制作に着手。 そして2006年の“The Price Of Existence”のリリースにより、彼らの知名度はアメリカ産のエクストリーム系バンドの有望株として一気に注目を浴びることとなる。 その道のヴェテランである数々のバンド、AGNOSTIC FRONT、THROWDOWN、TERROR、 HATE ETERNAL、 RED CHORD、 DESPISED ICON、 SUICIDE SILENCE、 ARSIS 、THE FACELESSらとのツアーも経験。また、当時俄かに新しいメディアとして注目を浴びつつあったYouTube が彼らの名前を印象付けたことも忘れてはならない。アルバム収録曲 “There Is No Business to Be Done On a Dead Planet” を当時人気絶頂だったアイドル・グループNSYNCの“Bye Bye Bye”のPV にミックスしたパロディ・ビデオが話題となり、バンドの名前が掲示板上でやりとりされたのだった。 “The Price of Existence”の成功のプレッシャーも、ものともせず、バンドは2008年に新作“Awaken The Dreamers” を発表。より幅広い音楽性と魅力的な楽曲はすぐさま大きな話題となり、Billboard 誌でも念願のチャート・インを果たす(総合126位/ Heat Seekers 1位)。DANZIG、 WINDS OF PLAGUE、 EMMURE、 JOB FOR A COWBOY、KATAKLYSM、BORN OF OSIRISのサポート、及びパッケージ・ツアー the Summer Slaughter Tourへの参加も果たす。 しかし、リード・ギターのChris Storey、オリジナル・メンバーだったドラマーMatt Kuykendall が脱退、その後のツアーはサポート・メンバーを加えて続けられた。 バンドのキー・パーソン脱退を受け、その後を危ぶむ声も囁かれる中、彼らは楽曲制作期間に入る。
3年ぶりとなる新作“This Is Where It Ends” は新メンバー、Adam Pierce 、Francesco Artsusatoのお披露目であると同時に彼らの新たな決意表明でもある。 “Awaken The Dreamers”は実験的要素、そしてメロディにフォーカスを当てた作品であったのに対して、 “This Is Where It Ends”は生々しいエネルギー、グルーヴ、テクニックを重視している。フック、メロディに関しては当然彼らの最高傑作であることに間違いない。 Francesco Artusato がもたらした、ジャズ/フュージョンの要素、そしてAdam Pierce の凄まじいスピード感とフィル・インの嵐。シンガーEddie Hermida の更なる多様性に満ちたヴォーカルは勿論のこと、彼らの楽曲の根幹であるリフに関してはベースのMike Tiner 、ギターの Ben Orumがよりエクストリームなサウンドをもたらした。プロデュース、およびミックスに関してはバンドと旧知の仲である Zach Ohren (DECREPIT BIRTH, ODIOUS MORTEM, LIGHT THIS CITY)が担当、バンドのライヴが持つ凄まじいエネルギーをアルバムに封じ込めることに成功している。アートワークについては、Brent Elliott White (DEATH ANGEL, JOB FOR A COWBOY, WHITE CHAPEL) が担当。