結成わずか8か月にして、既にAVATARIUM はその名をシーンに響き渡らせている。JETHRO TULL, BLUE OYSTER CULT, BLACK SABBATH, RAINBOW などが持っていた瞬間の美、そして儚さを内包する彼らのサウンドが、現代のバンドと違うことはすぐに分かるだろう。60年代の音楽が持っていたポップ感覚さえもそこには感じられる。
Candlemass のLeif がソロ用に書き溜めていたデモ、それがすべての始まりだった。ギターのMarcus がセッションに参加。そのまま2人を中心として、月日は流れ、数カ月後にはRonny Lahti のエンジニアリングで、アルバムAVATARIUMが完成した。
すでにリリース済みのEPには、バンドの方向性を十分に知らしめる‘Moonhorse’, ‘Boneflower’ の2曲に加え、BLACK SABBATH のカヴァー、 ‘War Pigs’ がオリジナルトラックと聞き間違えられるようなアレンジで収録された。
アルバムは全7曲収録という、これも最近では非常に珍しい少ないトラック数だが、その密度の濃さ、各楽曲の持つ魅力に異議を唱える者はあるまい。
ディープ、かつブルージーなJennies の声こそ、 AVATARIUM の顔と言って差し支えないものであるが、それを支えるバック・メンバーのテクニックにも驚嘆せざるを得ない。 ‘Bird of Prey’ や ‘Lady in the Lamp’、アルバムのそこかしこにハイライトが現れる。鍵盤奏者のCarl Westholmが操る theremin や mellotrons といった楽器もアルバムに花を添えている。力強いドラ民具でバンドをけん引するLars Skold は最後に参加したメンバーだが、 ‘Moonhorse’ 、 ‘Pandoras Egg’ などの楽曲で、見事なグルーヴを炸裂させる。
Leif は CANDELMASS (and KRUX) の活動開始時からキャリアをスタート。ギターのMarcus は EVERGREY 、ROYAL HUNTのメンバー、 Dr Carl はプログレ・バンド JUPITER SOCIET、 CARP TREE 、そしてドラムの Lars は TIAMAT の出身というだけあり、その実力は折り紙つきだ。そして紅一点の Jennie-Ann が歌うことで彼らの類まれなサウンドは具現化した。
Doom Metal という言葉さえも超え、AVATARIUMの旅が今始まる・・・