"Thin Lizzy のことは皆が知っている通りさ。でも、このBlack Star Ridersには未知の可能性があるし、とてもエキサイティングだよ。ここ数年の中でいちばん楽しくプレイできているね。" Scott Gorham
"Black Star Ridersにはパッションと高潔さがあって、それをもとに前進して行ける。同時に、このプロジェクトはある種の“持続”という側面も併せ持っている。 Scott 抜きのThin Lizzyなんて考えられるかい? " Ricky Warwick
遂にその全貌を明らかにしたBlack Star Ridersと、そのデビュー作"All Hell Breaks Loose"。
タイトル・トラックで、"Alright Scotty!" とRicky Warwickが叫び、それを受けてGorham のあの当時そのままの流麗なギター・ソロがなだれ込む…
"アルバムをあのトラックで始めたのは最高だね。バンド信者の皆は'これは凄い!もう大丈夫だ.'って思うだろ?"(Ricky)
Black Star Ridersは新人とヴェテランという相反した側面を持ち合わせたバンドだ。 Marco Mendoza(B)、Damon Johnson(G) に Scott Gorham(G)とRicky Warwick(V)の4人は数年にわたり Thin Lizzy の名のもとにプレイを続けてきた。新作をLizzy名義でレコーディングすることも、ほぼ決定となっていたのだが、オリジナルのドラマーであるBrian Downey とGorhamの間には、ある種の違和感が残っていた。
"カードを全部テーブルの上に集めてみると、俺達にはどうもしっくり来ない感覚があった。Lizzy 名義でアルバムを作るために集まったはずなんだけど、これはPhilに対してフェアじゃないんじゃないか、と思い始めたんだ。"
Brian DowneyとLizzy後期のキーボード奏者だったDarren Whartonの2人がプロジェクトに参加することも発表された。そして、バンドはツアーにあたっての新たなバンド名を付けることを余儀なくされた。そこでWarick のアイディアが採用される。
"昔のウェスタン・ムーヴィーを片っ端から見て、そのタイトルや、せりふをメモしていったんだ。それらを全部切り取って、一斉に床に散らかしてみたんだ。まず目についたのが、Tombstone という作品からの'Black Star'で、それに 'Riders'を足してみた。‘これだ!’と思った。名前が音楽に、音楽は名前にそれぞれぴったりだしね。ギャングみたいな名前だし。"
LAでレコーディングされたAll Hell Breaks。プロデュースはLed Zeppelin 、AerosmithらのレコーディングにクレジットされているKevin Shirleyが担当している。
12日の間に12曲を録音したというこのセッション。
"ドラマーは結局Alice Cooper でプレイしてるJimmy De Grassoが担当した。ギターもAlice のバンドにいたDamonが弾いてるよ。" (Scott)
アルバムの完成度の高さには、誰もが驚かされるに違いない。中でも特筆すべきはRicky のPhil Lynottへのリスペクトをそのまま声にしたようなヴォーカル・パートだろう。
"Phil のフレージング、歌詞に関しては深く学んだよ。毎日彼を頭に思い浮かべるしね。" "数えきれないくらいのシンガーからPhilの影響'について聞いたけど、連中が演奏している音楽を聴くと、本気で聴いてないよな?と感じざるを得ない。一方で、Ricky は本当にPhilを理解しているんだと感じるし、彼の書く歌詞も素晴らしいよ。アイルランド人の血脈みたいなものなのかもね。" (Scott)
新加入のパートナー、Damon JohnsonについてはScottはこう語る。
"問題発言にはしたくないけど、Damonとのパートナーシップは今までのどのプレイヤーとのものよりも良い。彼の持つエネルギーが俺を燃えさせてくれるしね。"
Rickyと並んで、今作ではDamonの受け持ったパートは作曲面でも非常に重要だった。ツアー・バスの中、ホテルの部屋、さまざまなシチュエーションの中、2人のプレイヤーはそれぞれの持つアイディアを形にしていったのだ。
BBCラジオのプレイリストにノミネートされたばかりのデビュー・シングル"Bound For Glory"は、Scott&Damon のツイン・ギターが印象的な楽曲だが、その歌詞にもエピソードがあったようだ。
"サビのコードは、もう何年もキープしてたんだけど、それに見合う歌詞がぜんぜんできなかった。ある晩にScott、Marco の2人とプリマスでディナーに中華を食べに行ったんだけど、その店のウェイトレスが俺達に気づいた。'わたしの父があなた方の大ファンなのよ!!!' そして俺達は彼女の親父、Johnny Wongという中国人男性を紹介された。彼はScottに'Southbound! I わしはSouthboundが大好きなんだ!' [1977年、アルバムBad Reputation収録楽曲] と話してね。彼が話すストーリーはどれも非常に印象的だった。そして、Bound For Glory の歌詞、'Johnny Wong keeps trying to get it right' が完成したんだ。"
Black Star Riders は新人でありながら、その絆は兄弟のように固い。Scott とRicky の付き合いは既に20年になろうとしている。The Castle Donningtonフェスの会場までScottがRickyを送ってくれたのは、まだRickyがThe Almightyのフロントマンだった時期であり、Scottはその後Rickyのソロ、2003年作品の Tattoos And Alibisでもプレイしている。
"Rickyに初めて会った印象・・・ロングヘアで刺青が多かった・・・それでも彼が素晴らしい人間性を持っていることはすぐに分かったよ。" (Scott)
"Scott がいっしょにいることはとても頼もしい。彼は俺を信用してくれるし、それはとても名誉な事なんだ。"(Ricky)
"Phil は理解してくれてるんじゃないかな。そう、彼もこのバンドに参加したいと思ってると、俺は感じてるんだ。"(Scott)