新作レコーディング後に突如勃発したメンバーの大量離脱、その後の活動に不安を覚えるファンも多かった中、新たに3名の正式メンバーとサポート・キーボード・プレイヤーを補充し、新たなる戦いの幕を開けたスウェーデンが誇るパワー・メタル・アクトSabaton。
バンド・コメント: "18歳でバンドをスタートさせた事は簡単だったが、その後12年同じメンバーで続ける事はそれとは比較にならないくらい難しかった。ついに分岐点に立ち、それぞれの道を歩む時が来た。
Pär Sundström (Vo) 、Joakim Brodén (B)の2人はこれからもSabatonのメンバーとしてステージに立ち、その旗を守る。これからも俺たちが強い絆で結ばれている事は間違いない。12年もの間、友情をはぐくみ、ツアーを続けてきた仲間だ。家族との時間を大切にして欲しいし、さまざまなプロジェクトや、音楽的キャリアでの成功を祈っている。
俺たち6人全員が輝くような未来を迎えられるように…"
スウェーデン北部の街、ファルン出身のバンド、サバトン初のライヴアルバム。フォーク・メタル、ヴァイキング・メタルなど細分化に細分化を重ねるメタル・シーンの中でもひときわ異彩を放つ彼らのサウンド。 いわゆる“War Metal”というジャンルで呼ばれるそれは、戦争を歌詞のテーマに織り込み、あくまでも力強さを前面に打ち出した脂ぎった漢(おとこ)メタル。08年リリースの“the art of war”はその原題が示す通り、孫子の『兵法』にインスパイアされたという独特なものであったにもかかわらず、世界中で非常に高い評価を得た。 2枚組のCD 1 は、昨年12月2日に開催されたSabaton Curise の模様をフル収録。何と、客船を借り切って、23時間の航海を行い、そこバンドがパフォーマンスするという前代未聞のライヴ。そして、ボーナスCD にはヨーロッパ各地で収録されたバンドの代表曲を網羅したライヴ音源を収録。 母国スウェーデンではIron Maiden のサポートを務め、65,000人を前に圧倒のパフォーマンスを披露したというウワサのSabaton、キッズの大合唱がサポートするその過激なライヴ、そのすべてが今明らかになる。
“何年もの間、沢山の人たちからライヴ・アルバムを作って欲しいと頼まれてたんだけど、ようやくその要求に応える事ができたよ。The World War Tour は最高の体験だったから、俺たち全員がその模様を永遠に記録したかった。そして、SABATON Cruise 2010はその集大成、正にマジカルな体験で、ショー全てをレコーディングした。ようやく初のライヴ・アルバムが出来たんだ。 またファンのために(それだけでは充分じゃないファンも沢山いるからね)ヨーロッパ・ツアーの中で多くのショーをレコーディングして、それをボーナス・ディスクにしたんだ。様々な土地でのショーの模様が楽しめるし、俺たちの歴史を知るにもうってつけの作品になったと思うよ。”
99年結成。デモ・テープの制作、小さなクラブ規模のツアーを国内で行い、母国スウェーデンでのファンベースを徐々に広げる。2002年に“Metalizer”というアルバムをイタリアのレーベルの援助のもと制作するが、結果的にそれがリリースされることはなかった。他のバンドとは少々異なるその苦闘の歴史をひも解いてみよう。
2004年、“Metalizer”アルバムのリリースが結果的にムダになったことに、バンドは大いにフラストレーションを感じていたのだが、最終的にすべてを忘れ新たなスタートを切る事を決意した。新しいデモ“Panzer Battalion”を制作、アルバム・レコーディング当時よりも遥かに進化した楽曲、そしてそれらを作りだすメンバーの技術向上、あっという間にSabaton の名前はヨーロッパに知れ渡ることとなり、最終的に7社の契約オファーを受けることになった。しかし、彼らとの交渉の結果、どのレーベルとも契約を交わさず、自分たちの手によってリリースする事を決める。“Primo Victoria”とタイトルされた新作は、レコーディングはもとより、制作費もすべてバンドが負担した。満足のゆく作品を完成させた彼らは、再びレーベルとの交渉に入り、結果的にスウェーデンのBlack Lodgeがその権利を手に入れた。レコーディングから約1年後にリリースされた“Primo Victoria”はインディー・レーベルからのデビュー作としては破格の成功を収める。
結成当初よりも遥かに大きなクラブでのギグを成功させ、彼らの名前はスウェーデン以外のヨーロッパ諸国でもビッグになっていく。
その後、“Primo Victoria”に続くアルバムの制作に入った彼らは、レコーディング終了と同時期に、Edguy 、Dragonforceとともに6週間のヨーロピアン・ツアーに出陣、大成功を収める。そして、2006年7月に新作“Attero Dominatus”をリリース。彼らの独特な世界観である“戦争を題材にした歌詞”もここで完成されたと言って良いだろう。 "Back in Control" (フォークランド紛争)、 "Attero Dominatus" (第2次大戦を収束に向かわせるきっかけとなったベルリンでの戦い)、 "Angels Calling" (第1次大戦下のいわゆる塹壕戦)などの楽曲でその特異さが存分に発揮されている。ヨーロッパでの人気を決定的なものとしたバンドは初のヨーロピアン・ヘッドライン・ツアーを敢行。最終的に2006年のみで3回のヨーロピアン・ツアーを行った。
07年冒頭には5週間のツアーをTherion 、Grave Diggerとサーキット。そして、“Attero Dominatus”の大成功を受け、2年間の交渉の結果、ようやく幻の作品となっていた“Metalizer”のリリース(2枚組)が決定。あくまでファン向けの商品としてリリースされた作品であったにもかかわらず、スウェーデン国内のロック・アルバム・チャートで1位を獲得した。その後開催されたヨーロッパ・ツアーでは勿論ヘッドライナーを務め、結果的に20カ国をサーキット、80回以上のギグをこなした。
2008年1月にバンドは新作のレコーディングのためスウェーデンにあるAbyss Studiosに入る。プロデュースはスタジオ・オーナーであるTommy TägtgrenとPeter Tägtgren (Pain / Lock Up)が 担当、新たなレヴェルに到達するためのリサーチも開始された。最終的にバンドは紀元前6世紀の中国の思想家にして武将である孫子の作品『兵法』をテーマとすることを決意。
さらにヘヴィ、パワフル、そして斬新なアートワークを兼ね備えたニュー・アルバム“The Art of War” は08年5月に発表された。バンドの念願であったアメリカでのショウもSouth by Southwest で実現、アメリカでの契約も手中に収めた。
09年夏までツアーに明け暮れていたバンドは10月に新作のレコーディングを開始する予定だったのだが、Dragon Force とのツアーのため延期。最終的にスタジオ作品としての最新作“Coat of Arms”は2010年5月に発表された。また同作からのPV、“Uprising”にはスウェーデン出身の有名俳優ピーター・ストーメアが出演していることでも話題となった。