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COCP-50815 \3,150(Tax in)
1st Album1st Album
KNEW BUT DID NOT KNOW COCP-50815 \3,150(Tax in) 2004.10.20. In Stores
収録曲    
01. THEME
02. CRY MY HEART
03. CALL ME
04. DUST IN MY HEAD
05. I'M NOT LIKE YOU
06. THINGS
07. BLUE TURN
08. MAKE YOU HAPPY
09. NONE KNOWS
10. BACK HOME
11. YOU USED TO COLD TO ME
12. CARE FOR YOU
13. THEME
I'm Not Like You!...
これほどまでに、リアルかつ痛々しさを感じさせながら、でも、それでも、かように美しすぎる言葉を僕は知らなかったのである。

伝説という名のもと、そこに安住するのか。
はたまた伝説から抜け出し、あるいはそれを極限までに破壊して、現実という名の過酷なフィールドに戻ってくるのか。
いずれにせよシビアでヘヴィーな選択であったことと思う。

大江慎也.....言わずと知れた、ジャパニーズ・ロック・シーンに於ける孤高のカリスマ・バンド、ザ・ルースターズの初期のリーダー、フロントマン、ヴォーカリスト、ギタリスト、そしてコンポーザーだった男である。
当時から彼が描いてきた、歪んだ軌跡は、今ではもう神話の域に達しつつあるといえるかもしれない。
そんな大江が今回、ニュー・バンド、UN(アン)を率いて、実に15年近くの沈黙を破り、前線復帰を果たしたのだ。

かくいう僕にしても、そのニュースを初めて知った時、いささかの戸惑いを覚えたこと、この際だから、正直に吐露してしまおう。
はっきりいって、伝説は伝説のまま終わるほうが美しい。
なぜなら、現実には、そこにいなにもないからこそ、美化も出来るし、己の過去も投影できるのだから。
たとえばシド・バレットなんて、その最たる部類のアーティストだろう。

大江が再び音楽活動を再開する予兆は確かにあった。
2003年春リリースの、盟友ロックンロール・ジプシーズのファースト・アルバムへの詞作提供、発売記念ライヴへの飛び入り参加...etc,etc。
しかし、ここまで急転直下で、大江がバンドを組み、レコード・リリースすることなんて、おそらく誰も予想だにしていなかったはず。
それほど、急スピードで事は運んだのである。

ちなみに、2003年秋に結成された、このUN(アン)のグループ名の由来は、UNITED NATIONSの略だそうだ。
メンバーは、大江慎也(Vo/G)、元ロッカーズの鶴川仁美(G)、そして小串謙一(B)、さらには元サンハウスの坂田“鬼平”紳一(Ds)からなるラインナップで、すでに九州でのデビュー・ライヴ後、渋谷O-East、そして大阪と東京で開催のイヴェント“Magic Rock Out”などで、徐々にその全貌を現してきた。

そして、今回、コロムビアミュージックと契約、ファースト・アルバム『KNEW BUT DID NOT KNOW』リリースとなったわけだ。

それにしても、どうだろう、このアルバム。
きっと、多くのリスナーの方は、ルースターズの残照を求めるかもしれない。実際に、そういった箇所もあったりするのだから。
とはいえ、これは21世紀という今現在の時代に呼吸している大江、鶴川、小串、坂田...
そのブランド・ニュー・ロックンロールに他ならないのだ。
ロックンロールなんて言葉使っちゃったけど、それだけで片付けて欲しくない。
それこそ、サイケ、ノイズ、アヴァンギャルド、ヒーリング、いずれもがUNという体内の中で咀嚼され昇華された、
まさにUNならではのサウンドに仕上げられているのだ。
大江は言う、“UNの音楽は、あるようで実はどこにもない、Only Musicなのだ”と。

それを受け、僕は、個々のナンバーについての論評は、ここでは、あえて避けることにしようと思うのだ。

そう、UNのサウンドというのは、踊れる音楽でありつつ思索できる音楽である。それに疑いを挟む余地はない。
彼らが歌い奏でるのはラヴ&ピースな音楽である。
しかしながら、とてもラジカルでアグレッシヴ、呪術的なまでのラヴ&ピースなのだ。

ともあれ大江は戻ってきた。様々な季節を経て、ようやく、この時は来たのである!

すべてを忘れろ! すべてを白紙に! すべてを捨てろ! そして、UNの音楽にあわせて、とことん踊りまくれ! 

そう、結局のところ、あなたはあなたでしかない。僕とも彼とも彼女とも違うのだ。もちろん大江慎也とも。
I'm Not Like You...大江が歌ったこのフレーズを、あなたがおぼろげながらも理解しえた瞬間、あなたはあなた自身の主人公になるに違いない。

さて、次の季節には、大江たちはどのような景色を見せてくれるのだろうか? 
いや、今はそんなこと考える必要もないだろう、UNの極上のロック・サウンドをバックに、そう、とことん踊りまくれ!


小松崎 健郎/Takeo Komatsuzaki

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