最優秀作品受賞映画紹介(CD制作スタッフより) |
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'32「グランド・ホテル」
ホテルで出会った、舞台女優と、男爵を装う泥棒。二人は恋におち、それぞれの人生は大きく揺れ動く…超人気男優ジョン・バリモアと、同じく人気女優グレタ・ガルボの共演作。この映画のホテルの一室で、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の第3楽章の一番盛りあがるところが彼女の心を代弁するがごとく流れる。このCDでは、その部分から聴ける。 |
2. |
'42「ミニヴァー夫人」EDテーマ
巨匠ウィリアム・ワイラー監督作品の一番の名画は、「ローマの休日」でもなければ「ベン・ハー」でもなく、この映画と強くお薦めする。第2次世界大戦の最中に制作された作品で、イギリス人の戦争に対する感情のなんともいえぬせつない変化を描いている。反戦を強く訴える私もこの映画は戦争に対するいろいろな環境、考えを知ることができるので、現在だからこそ、見てもらい、各々の考えの肥やしとして欲しいと推薦する。現在テレビCMでも流れる「威風堂々」は映画のエンディングで流れる。
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3. |
'43「カサブランカ」
銀幕スターの美男美女、イングリッド・バーグマンとハンフリー・ボガードの不倫ともいえる恋愛。モロッコの街、カサブランカで繰り広げられるイツ軍とフランス軍の対立を舞台に2人の恋は…「フランス国歌」は、バーのシーン、盛りあがっているドイツ軍歌に対抗して客の合唱で始まる。
'81「炎のランナー」
1924年のパリ・オリンピックで、奇跡をおこした2人のイギリス選手の実話。「フランス国歌」も、印象的に流れる。 |
4. |
'44「我が道を往く」
ビング・クロスビーの美声のいたるところに登場するミュージカル調の映画。名優バリー・フィッツジェラルドの演じる老神父は本当に涙をそそります。決して暗くはない、前向きに感動する作品。そして監督レオ・マッケイの感受性の鋭さは、のちに、'57「めぐり逢い」のデボラ・カーとケイリー・グラントの純愛で頂点に。ビング・クロスビーと彼の合唱団の子供たちの美声の映えるシューベルトのアヴェ・マリアは、自動車のCMでも流れている。 |
5. |
'50「イヴの総て」
マリリン・モンローのデビュー作、あるいは、ベティ・デイヴィスの適役として有名なこの作品は、芸能界の表裏を描いたような衝撃作。トップスターを演じるベティ・デイヴィスの世話役として雇われた女性があっという間に彼女を乗り越える存在となっていく恐怖心と総ての自分への愛情も奪われてしまうという疑心暗鬼。その感情を表した曲としてリストの「愛の夢」はリクエストされピアノで奏でられる。 |
6. |
'72「ゴッドファーザー」
'74のPART2も、作品賞を獲得した、歴史的シリーズ。マフィアに決してなりたくてなったわけではない暗い過去をバネに飛躍する一族の生活の表裏を刻々と描く。人情、人間愛の深いキャラクターに感動をおぼえる。この映画のPART3で使われる「シチリア民謡」は、PART1のシチリアでのシーンでも登場。このCDには、その前奏曲だけでなく、オペラの歌唱で「野バラのように色じろのローラよ」も収録。 |
7. |
'77「アニー・ホール」
ここまではっきりと好き嫌いの分かれる映画を作る人もいないと思われるウッディ・アレン。アカデミー賞では好かれていて史上最多13回の脚本賞のノミネート。彼の怒涛のような話術は、一聴すると不快感を感じるものの、その内容を吟味すると非常に深く、そして、コミカルなエロティシズムで溢れている。モーツァルトのジュピターの疾走する感じの使いどころも凄い選曲。ジュピターは、現在、平原綾香で、No.1ヒットとなっているホルストのカバーとはもちろん異なるが、どちらも、非常に大きなスケール感のある曲。 |
8. |
'78「ディア・ハンター」テーマ曲
ヴェトナム人による恐怖のロシアンルーレットの印象の強さばかり残ってしまうが、このテーマ曲 カヴァティーナの美しい音色は、なんともいえない心の琴線に触れてしまう。アカデミー作品賞では、戦争をモチーフにした映画の受賞は多くこのCDにもいっぱい含まれている。戦争をどう捕らえるかというテーマを我々に問いかける映画を見ることによって、私は、反戦意識、平和に対する願いを強くしていっている。このCDは、この曲から6曲連続で、映画のオープニングでも使われたテーマ曲で綴られる。 |
9. |
'79「クレイマー、クレイマー」OPテーマ
こんな身勝手な奥さんだったらどうします?突然、家を出て行くからといって小さい子供をおいて、そして、しばらくたって、ひきとらせてくれと裁判をおこす。主演のダスティン・ホフマンの演じたシングルファーザーは、不器用だけど、子供を心から愛しく思う親の愛の深さを存分、伝えてくれている。マンドリン協奏曲は、この映画のオープニングであり、挿入歌である。最近テレビCMのタイタニック関連の週刊誌のバックでも流れている。 |
10. |
'80「普通の人々」OPテーマ
恐ろしく暗く憂鬱な映画。ロバート・レッドフォードの監督としての才腕を発揮した映画。そういう人間の暗の部分を見事に描いている傑作ともとれる。カノンという曲は、聴いても聴いても飽きのこない不思議な曲だ。ポップスの曲に最も多く引用されたクラシックといえる。この映画では、オープニングで使われている。
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11. |
'84「アマデウス」OPテーマ
この映画の主人公は、モーツァルトではなく、あくまでも、彼に嫉妬心を抱き続ける年配者のサリエリ。サリエリの作った曲を、一聴で覚え、ピアノで演じ、さらに、天真爛漫に曲をよくしてしまうというモーツァルトの才術とサリエリの技量の差を本気で悩む。交響曲25番は、オープニングやこの映画の宣伝でも使われた激しい曲でこの映画をきっかけにファンになった方も多いと思う。私もその一人だ。 |
12. |
'85「愛と哀しみの果て」OPテーマ
アフリカの素晴らしい景色。これにつきる映画。実体験を描く不倫物語であるけれど、その美しい場所では、すべては、美しい想い出に描かれる。オープニングで使われるクラリネット協奏曲のほか、モーツァルトの曲は、サルたちが、蓄音機に針をおとして、耳にする曲「ディヴェルティメントK136」ほか多く登場。 |
13. |
'86「プラトーン」テーマ曲
映画のオープニング、そしてエンディングで使われるバーバーのアダージョは実際にヴェトナム戦争を体験したオリヴァー・ストーン監督のこの映画で、叙情的に流れている。重く重く人々の心に戦争のその悲惨さを伝える映画をじっくりと噛み締めてほしい。 |
14. |
'87「ラストエンペラー」
3才で満州の皇帝となった溥儀の自伝を基にした映画。ここで出てくる日本は、なんと残忍なことか。その象徴として坂本龍一は演じているが、口を開かず、じっと睨みつけてばかり。それと対照的に溥儀の心の温かさのじーんとくる映画。皇帝円舞曲は、10分くらい映画では長々と使われている。このCDでは、実際映画で使われている出だしと同じところから収録をしている。 |
15. |
'89「ドライビングMissデイジー」
高齢化社会をうまく表現して、人間愛の本質を描いている。孤独、そして、頑なになってしまっている心の氷を静かに溶かす温かみに溢れた映画。それを象徴するかのごとく、ドヴォルザークの歌劇「ルサルカ」
から<月に寄せる歌>の美しい歌声はスクリーンに響きわたる。この曲は、ほかのコンピレーションでは収録を類に見ない曲の一つだ。
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16. |
'91「羊たちの沈黙」
スリラーの名シリーズとなっているこの作品。通常のクリミナルものとは違い、インテリジェンスを強く感じさせるのは、このバッハのゴルトベルク変奏曲から<アリア>を使っているあたり。
'96「イングリッシュ・ペイシェント」
砂漠の美しさ、その強烈なオープニングから始まるこの映画でも、この曲はピアノでなぞられている。爆弾の仕掛けられてるかもしれない壊れたピアノを弾いているのを回想するシーンで流れるこの旋律は、見事なまでに美しい。 |
17. |
'93「シンドラーのリスト」
オスカー・シンドラーの実話である。ユダヤ人を救った彼が秘書にする女性の面接を行っている際に流れる曲、エルガーの気まぐれな女。この曲もこういうコンピレーションでは類を見ない。非常にコミカルな曲であり、ほっとするのに、感情の激しいヴァイオリンの音色。スティーヴン・スピルバーグ監督映画の使っているクラシック曲では一番と思う。 |
18. |
'97「タイタニック」
賛美歌である「主よ御許に近づかん」は、タイタニック号から逃げる客の横で、演奏される曲。客の不安を和らげるという指示で明るい曲を何曲か弾いたあと、演奏隊はこの曲を奏でる。無情なまでも悲しい旋律に、涙する人も多いという。 |
19. |
'98「ライフ・イズ・ビューティフル」テーマ曲
映画の宣伝曲としても、ホフマンの舟歌は使われた。映画ではオペラの舞台で流れる曲でもあるが、タイタニックでも演奏隊は弾いていた。これも、また戦争映画であり、ナチスの残虐さを、思い知らされた。子供を思いやる親の感情を深く表現している名画と思う。 |
20. |
'02「戦場のピアニスト」
イラク反戦ムードの最中に行われたアカデミー賞で、最もインパクトの強かった映画の一つ。これも、ナチスから逃れるポーランド人ピアニストの実話の映画化。ショパンのバラード一番を屋根裏の部屋でしみじみと聴かせるシーンは、感動そのもの。 |
Bonus
Track |
21. |
'39「風と共に去りぬ」テーマ曲
ハリウッド映画のみならず、全ての映画史上最高のヒット。アメリカのチケット売上枚数だけで2億204万4569枚を記録。ヴィヴィアン・リーの情熱、クラーク・ゲーブルの紳士的な態度に圧倒される。カラー映画のヒットのパイオニアとしてその撮影技術も、素晴らしく、色あせることのない名画。 |
22. |
'61「ティファニーで朝食を」
テーマ曲
ムーン・リヴァーを作曲者のヘンリー・マンシーニの指揮によるクラシックアレンジで収録。ニューヨークにあるティファニーの店のエントランスでパンをかじるという朝食を気分転換としている主演オードリー・ヘップバーン。この曲は、そんな彼女をムーディーに彩る名曲として、オープニングから全編に流れている。このCDの締めくくりとして、全ての映画ファンにとって、最適の曲と判断した。 |