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10/22(日)日比谷野外音楽堂で、デビュー20周年を記念するアニバーサリー・ライブ行ったTHE COLLECTORS。一貫してロックンロールを届けてきた彼らの20周年の軌跡をライブでたどることができたこの日の模様をリポートします!
  
Photo:柴田恵理 Text:山本祥子
あたり前の話であるが、20周年ということは、結成当時に生まれたBABYがすっかり二十歳。言わばコレクターズは成人式を迎えたことになる。お祝いせねばなるまい。できるだけ派手に、思いっきりハッピーに。集合はモチロン、日比谷野外音楽堂。10年前に10才のお祝いをしたあの場所だ。プレゼントは、んー、お祭り気分も甚だしい超破格2100円のチケットと、ザ・コレクターズというロックバンドに対する熱い思いと、お約束の“アレ”さえ持ってくればいい。それだけで十分楽しめるはずだから。
その証拠にってわけじゃないけど、加藤ひさしは最初のMCで口を開いた瞬間、「スバラシイッ」と嬉しそうに話した。2回目のMCでは、「最高の夜だよ」なんて言いながら満面の笑顔をこぼしまくっていた。なぜかやたらと会場入り口で販売してる焼きそばにこだわってみたりして、誰にだかわかんないけど隙あらば「負ける気がしねぇ!」って叫んでみたりして。10周年の3年後、要は7年前にやったワンマンより断然満タン詰まった野音の景色を素直に喜んでいた。
 コレクターズの熱狂的ファン、ローリー寺西による愛ある名(迷)呼び込みで登場したメンバー。ステージは『TOUGH』で力強く幕を開けた。むき出しのロックチューンの後は、奥野真哉(ソウル・フラワー・ユニオン)の弾む鍵盤を味方につけ、『Stay
Cool! Stay hip! Stay Young!』で踊らせる。開演少し前に降り出した雨で見事に地味な雨ガッパ集団と化していたオーディエンスが放つ軽やかなステップ。客席は失った色を取り戻し、じわじわと色めき立つ。その後はもう、ライブで揉んで、削って、育て上げた自慢のナンバーを新旧構わず次々にお見舞い。曲ごとにガラリガラリと表情を変え、空気を変え、ページを捲るように2006年10月22日日比谷野外音楽堂でしか生まれ得ない物語を描いていく。“どしゃぶりの雨の中〜”あいにくの空模様すら演出に感じさせた『Too
Much Romantic!』で始まる胸キュンメドレーが最初のクライマックス。その次が苦しくなるほど切実な今を落とし込んだ『未来のカタチ』で、その次が最強のロックバンドが振り絞った最高のラヴソング『嘆きのロミオ』。そんでもってお次はまるでサントラのような、いや、壮大で美しい映画を観ているようだった『2065』。その頃にはすっかり雨も止んで、ヒンヤリとした空気が気持ち良くて。そしたらもう『Thank
U』、『MAYBE TOMMORW』、『PUNK OF HEARTS』はどれも外せるわけがないもの。だってその流れで披露された本編ラスト『世界を止めて』のメロディが聴こえた瞬間、誰ともなく女子が次々と雨ガッパを脱ぎ捨ててましたから。いつの間にか自分も登場人物のひとりであったことを素直に快く受け入れちゃいましたから。
私たちがカバンやポケットからお約束の“アレ”を取り出し、ステージ向かって放り投げる。リグレイが舞う、舞う、舞う。立ち込めた甘い香りが今日のお話の終わりの合図。『CHEWING GUM』の演奏中、ずっと真っ黒な空からキラキラと降り注いでいたチューイングガムは、曲が終わった瞬間足元を覆い、まるで水たまりのよう。感動のエンディングはもちろん『僕はコレクター』で、客席から伸びた楽しそうな両手が、6万5千枚もあったというガムの雨に負けぬほど煌めいて美しかった。
コレクターズは甘くて聴きやすいバンドとか思われがちだが、実際は加藤ひさしの書く曲は多様な上に、メロディといい、構成といい、ものすごく複雑だ。いっこうに年を取ろうとしない、というか、10年前より確実に跳躍力を増している古市コータローのジャンプ。ガッツあるプレイスタイルとは裏腹に、この人もまた繊細なフレーズを流麗に奏でていたりする。逆に、表向きはクールにバンドを支える小里誠は、ベースもメロディ楽器だ!とばかり攻撃的なアンサンブルを仕掛けている。だけど本当のところ1番歌ってるのは阿部耕作のドラムだ。4人4様に奇々怪々。だけどポップ。まさにミラクル。
 「結局コレ(音楽=ロック)しかできないからさ」最近、加藤さんと話しているとよくこんな言葉を耳にする。諦めにも似た口調で、つい溢れた雰囲気で。
そういう時はいつも、“コレクターズはそういう4人でできてますけども!”なんて心の中でツッコミを入れつつ、「そうですよねぇ」と答えることにしている。
自分にとってのコレを未だに見つけられず右往左往してる人間からしたら羨ましい話だが、他に右往左往する場所が他にないというのも多分、相当な重圧があるのだろうと思う。だけど20年間続けてこれたってことは、コレからも愛され、求められてきたということだ。そのお祝いに3000人が駆けつけて、ステージの上のメンバーも、下のお客さんも、裏のスタッフも、一緒になって板橋区役所に届くくらい大きっな声で歌えたのはきっと、この先もずっと続けていいよってお許しが出たってことだ。びしょ濡れのみんなのあんな笑顔を見たら、神様も絶対言っちゃうもの、「もぉぉ、30周年も、40周年も、ここでやればいいじゃない!!」って。
「日本のロックシーン、世界のロックシーンに残るまでやります!」アンコールで真っ直ぐ前を見て自信満々にこう言い放った加藤さんはとても素敵で、そんなリーダーを見守るメンバーは誇らしげで、そんな4人の姿を見れた私たちは本当にシアワセでした。
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<セットリスト>
- TOUGH
- Stay Cool! Stay hip! Stoy Young!
- MILLON CROSSPOAROS ROCK
- 愛してると言う気にってる
- 悪い月
- 5・4・3・2 ワンダフル
- Too Much Romuntic!〜1・2・3・4・5・6・7DAYS A WEBY〜ぼくのプロペラ
- 未来のカタチ
- 問題児
- 僕は恐竜
- 愛まで20マイル
- 嘆きのロミオ
- ハッピー&ラッキー
- インスト
- A TRSTTE OF YOUTH
- 2065
- Thank U
- MAYBE TOMMORW
- PUNK OF HEARTS
- 世界を止めて
EN1. スタールースター
EN2. タイムマシーン
EN3. CHEWING GUM
EN4. 僕はコレクター
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