全世界で250万枚を売上げ、世界のトミタとしての名声を決定づけたシンセサイザー・アルバムの金字塔《惑星》が、冨田勲自身によってリニューアル。
四半世紀を経て2003年ヴァージョンとして蘇りました。
立体音響は冨田の本来のコンセプトであり、DVDによってついにその意図した世界が現実のものとなりました。

これからを担う新パッケージメディア、DVDオーディオの普及に大きく加速をつけるキラーコンテンツとしても、マイルストーンとなる作品です。DVDオーディオ・プロモーション協議会等、各方面からも熱い期待が寄せられています。

  原曲は英国の作曲家、ホルストによるオーケストラ曲ですが、冨田の《惑星》は原曲を損なうことなく、全く新しいアイデアを盛り込んだ再創造と呼ぶにふさわしい見事な作品に再構築されています。

その鮮烈なイマジネーション、そしてシンセサイザーから情感溢れる生きた音楽を紡ぎ出す天才は、YMOやスティーヴィー・ワンダーを始め全世界のミュージシャンに多大な影響を与え、その後のミュージックシーンを塗り替えました。

ミュージシャンのみではありません。《惑星》に深く感動したフランシス・コッポラ監督は、「地獄の黙示録」の音楽を冨田に要請したのです。契約の関係で実現には至りませんでしたが、このあたりのストーリーは完全版「地獄の黙示録」のサウンドトラック盤に、コッポラ自身が熱い文章で語っています。今回のDVDにも、当時コッポラと冨田の通訳を務めた字幕翻訳の第一人者、戸田奈津子さんのコラムが掲載されます。

  今回のサラウンド化にあたり冨田が選んだシンセサイザーは、やはりあの歴史的名器モーグでした。アナログ・シンセならではの マッシブな質感、不自由なようでいて冨田一流の裏技を可能にする表現の自由度は、より新しく多機能な現代のシンセサイザーでは代用できないものです。

冨田の意図したサウンドを忠実にディスクに収めるため、オーディオゾーンには、サラウンドの最高スペックである96kHz/24bitで記録されています。モーグはアナログ・シンセサイザーであるため、量子化ビット数 24 - サンプリング周波数 96kHzという画期的な高音質が可能となりました。

  冨田のサラウンドは、いわば音によるアニメです。自由な発想で、作曲の延長と
して音による空間デザインがなされているのです。クラシック系のサラウンドディスクに多い前方のステージと後方のホールトーンという、チャンネルの主従関係はここにはありません。自然界の音の中にいるように、前後左右どちらを向いて聴いてもOK。ただただこの素晴らしい音浴に浸るだけです。

正方形の4チャンネル+サブウーファーという4.1チャンネルのレイアウトを想定してサウンドデザインされていますが、スピーカーセッティングにはそれほど厳密さは必要ありません。気軽に楽しんでいただけます。

  冨田は常々、ラジカセで聴いても楽しめる作品作りを心がけている、と言っています。DVDオーディオというと、一部オーディ オマニア向けと取られかねませんが、このディスクもまさに冨田の言葉通り、普及価格帯の装置でも十二分に効果を発揮します。

また、サラウンドの再生には広い部屋が必要だから日本の住宅事情に合わない、自分には縁がないという声もよく聴かれますが、その心配は無用です。一番安いサラウンドアンプと数千円のスピーカー、そして一平方メートルの空間があればOKです。近い将来

サラウンド・ラジカセやサラウンド再生が可能なパソコンが登場したら、さらに多くの人がこのサウンドを楽しめるようになることでしょう。

もうひとつ忘れてはならないことがあります。それは、サラウンドの効果は迫力あるサウンドだけにあるのではなく、むしろ弱音の美しさにあるということです。例えば「金星」を暗い部屋で非常に小さな音で再生してみると、そのことがよくわかります。まさに、夢幻の世界に誘ってくれます。

  このディスクのビデオゾーンには、ドルビーデジタルによる4.1chサラウンド音声(センターチャンネルは無音)も合わせて収録されていますので、DVDビデオ専用プレーヤーしかお持ちでない方にも、トミタの素晴らしいサウンド・イマジネーションをお楽しみいただけます。 プレーヤーのダウンミックス機能により、オーディオゾーン、ビデオゾーン共に2チャンネルでも再生可能です。
 





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