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DVD-BOX 2 封入解説書「シルバーランド・ファイル」より

―はじめに―●虫プロ初の少女アニメ、堂々の完結●
 時に勇壮に、時に可憐に――主人公サファイヤのめくるめく活躍を心待ちにしていた皆さん、『リボンの騎士』DVD-BOX、いよいよ後編の登場である。
 本BOXでは、シリーズ後半にあたる第26話から第52話(最終話)までを収録。この第26話は、本作のストーリー全体を俯瞰した場合、ちょうど折り返し点にあたる重要な位置にあり、スタッフ編成上からも節目の回となっている。
 前半(第1〜25話)の物語が、サファイヤの正体を暴き、王国の権力を我がものにしようとする家臣たちの陰謀との戦い(=内憂)を縦軸に置いていたとすれば、後半(第26〜52話)の物語は、クールランド、X連合といった外敵たちの理不尽な侵略に対する抵抗(=外患)を縦軸に置いた展開であるといえるからだ。
 少女向けアニメの出発点としてさまざまな名作童話、伝説、神話の要素をとり込み、華麗な中世的ファンタジーの映像化に工夫を凝らして来た本作は、後半に入り、どちらかと言えば男の子向けの題材である“冒険”や“戦乱”の重々しさをはらんでいく。サファイヤもまた“リボンの騎士”に姿を変える機会が増え、自ずと活劇の度合いが高まっていく。だが、それゆえに、サファイヤが一人の少女としてフランツ王子との間に育む恋愛はより一層、瑞々しく清廉な輝きを放つのである。  作品カラーの変化は、新たに加わったメインスタッフたちの個性によるところも大きい。第26話以降、チーフディレクターに就任した勝井千賀雄氏。機同じくして、制作終了した『悟空の大冒険』の班から移籍してきた宮本貞雄氏(作画監督)、藤本四郎氏(レイアウト)、丸山正雄氏(設定)。さらには第40話以降、脚本監修に携わるようになった演劇界の重鎮・熊井宏之氏。そして、これら新規スタッフのエネルギーと、能加平(平見修二)氏、坂口尚三氏、内田有紀彦氏、北野英明氏、赤堀幹治氏、中村和子氏らスタート時から本作を支えてきた脚本、演出、作画メンバーたちのエネルギーとが一種の相乗効果を生むことで、シリーズ終盤のクライマックスは大きな盛り上がりを見せていくことになる。

DVD-BOX2の特色
 さて前BOXでは、本作の本放映時のオープニング、エンディングの調査を徹底的に行った。その結果、さまざまな証言と状況証拠から、シリーズ後半ではオープニングが「歌入り・王女版」に変わったであろうことがほぼ確実となった。そこで、本BOXでは、第26話から第52話までのオープニングに「歌入り・王女編」を配している。映像マスターには、発見された本放映時のプリントを使用したかったが、退色が激しかったため、やむなく比較的状態の良い(しかし再放映以後に焼かれたと思われる)LD「虫プロ TVアニメ主題歌大全集」使用のマスターを選んである。
 映像特典には、前巻の解説書でも触れた本作のパイロットフィルムを完全収録したほか、1968年ごろに8ミリフィルム商品として販売されていた『あばれ王子』、スペイン輸出版のオープニング・エンディング、と貴重な映像を集めてみた。  静止画特典についても、5円ブロマイド、朝日ソノラマのソノシート絵本、同じく朝日ソノラマのウルトラブックス、すずきの絵本など、本放映当時に販売されていた紙媒体商品を可能な限り収録している。楽しんでいただければ幸いである。





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