本当は、ウチの子だけに聴かせたい…(高嶋ちさ子談) 2009年5月に第2子を出産し、子どものための音楽活動にも積極的に取り組んでいる高嶋ちさ子が、自らの子育て体験をもとに、子どもの発育にプラスになるクラシックを集めたアルバム、クラシック音楽、オペラへの造詣も深い気鋭の脳科学者、池谷裕二氏の協力を得て、いまだかつてない親子向けコンピレーション・アルバムとなりました。アルバム1枚目は、3歳児までのお子様に最適の、「脳を育てる音楽」を集めたもの。「生まれたての子供が最も早くから認知するのはリズムである」という最新の研究をもとに、多彩なリズムを展開する音楽を有名・無名問わず選定しました。2枚目は子育てに追われるお父様、お母様向けの内容。「聴けば30秒でリラックスする」をテーマに、初めて聴いたのにどこか懐かしい、究極のリラクゼーション音楽を高島・池谷両氏がセレクトしました。 ホントに子どもの成長のためになるクラシックCDを企画したい! モーツァルトを聴くと頭が良くなる!? ―よく赤ちゃんがお腹のなかにいるときに聞いた曲を覚えている、とか、モーツァルトが情操教育に良いといいますけど、脳科学の観点からどの程度本当なんでしょうか。 高嶋ちさ子(以下、高):私は小さい頃からモーツァルトとハイドンを聴いて育ったはずなんですが、周りの人にいわせると、どうも、気性が荒いらしいのです(笑)。 池谷裕二さん(以下、池):モーツァルトを聞くと子どもがおとなしくなるのはウソだ、と(笑)。 高:自分のことを考えると、そうですね。 池:どんな音楽を聴くとプラスになるかは、脳の研究者も教育者も本当のところは誰も知らないし、だから何か言うと嘘になっちゃうと思うのです。 高:じゃ、嘘が氾濫しているということ? 池:極論すれば、そういってもよいですね。科学的にサポートされているわけではないので僕はそれでもいいと思っています。米国で一番有名なカリフォルニア大学のライシャー博士が90年代に発表した「モーツァルトを聴くとIQが高くなる」という論文があります。効果は一生続くものではなく、モーツァルトを聴いた直後、30分から1時間はIQがあがると書いてありました。あの頃、その論文に基づき、カリフォルニア州では、妊婦さん全員にモーツァルトの《2台のピアノのためのソナタ》のCDを配ったんですよ。胎教用に(笑)。 高:そうなんですか! 池:たしか、掲載されたのはネイチャーだったと思います。どういうわけか、ショパンやベートーヴェンもダメ。バッハが少しだけ効果があったようですが、なぜかモーツァルトを聴くとわずかな時間ですがIQがあがるのです。ただ、音楽に無関心な人には効果がないらしいんです。モーツァルトもただのノイズなんです。 高:そうですか! 残念…。ウチの息子は、音楽にまったく感心がないのです。 池:だから、なにが重要かというと、それなりの効果をもたらすためには準備、教育が必要だ、ということです。アフリカの原住民にモーツァルトを聴かせる、という実験がありました。 高:どうなったんですか? 池:「音楽」とすら認識できなかったんです。 ド・レ・ミ・ファの音階や拍子、ということまで理解しない人にとっては、モーツァルトである、クラシック音楽であるという以前に音楽ですらないのです。ということは、モーツァルトを聴いて頭がよくなる、というのはおかしな話なんです。 でも、我々だって同じなんです。ビートルズが登場したばかりのころは、「雑音」とまで言われていたそうですが、初めて聴く音楽を、「音楽」として理解できなかったのだと思います。でも、今は教科書に載るくらいの名曲といわれています。きっとビートルズが人類を教育した、と言っていいと思うのです。そもそも芸術の理解ってそういうものかな、と思います。 高:そうですか。少し安心。 私自身は、モーツァルトを聞くと緊張しちゃうんです。モーツァルトの音楽はとても繊細なので、弾くときのことを考えると、難しいところだけが頭をよぎり、妊娠中に聴いたら子宮が収縮してしまい、まったくリラックスできなかったんです。 私は、妊娠中は自分の好きなミスチルとかSMAPとかを聞いているほうが、ずっとリラックスできました。ということは、モーツァルトに限らずお母さん自身が好きな音楽を聞くほうがいいんじゃないかと、ずっと思っていました。 池:胎教にいい音楽というのは、お母さんのためですよね。今の話はすごく面白い。ビジネスとか勉強の場面でBGMは本当に効果的か、というのを調べた実験があるんですよ。で、音楽だったらやっぱりモーツァルトがいいらしいんですけど。難しいことをやっているときは音楽がないほうがいい。単調な作業をやっているときは音楽があったほうがいい、ということなんですね。でも、誰にでも効くわけじゃなくて、音楽があったほうがいいのはふつうの、音楽を愛でるタイプの人。まったく興味がない人は効果がない。そして、マニアには逆効果なんです。私もそうです。音楽を聞くと聞き込んじゃう。
はじめはリズム! ―では、いったい、子どもはどのようにして音楽を理解していくのでしょうか? 池:リズム、メロディにハーモニーでしたでしょうか?音楽の三大要素があるじゃないですか。その中で、リズムだけは、民族音楽まで含めてどの音楽もありますね。今日の一つのポイントになると思って、この論文を持ってきました!「赤ちゃんが一番最初に理解できるのは、メロディでもハーモニーでもなくリズムである。さらにどのくらいから理解できるかというと、生後2日目、3日目」であるという論文です。これはなんと2009年2月17日の論文です。 一同:ええ〜ッ! 池:どうやって実験をやっているかというと…
※この対談の全貌は、2/24発売のアルバム『高嶋ちさ子×池谷裕二 presents ベイビー・ブレイン・クラシック』で!
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