NakamuraEmi

NakamuraEmi
一目惚れリリース記念
OFFICIAL INTERVIEW

2022年3月16日に「一目惚れ」のリリースを記念して配信されたインスタライブの生配信インタビューの模様をWEBで公開!
インスタライブならではの和やかな空気感をぜひお楽しみください。

MC:矢島由佳子(音楽編集者・ライター)
GUEST:カワムラヒロシ

「一目惚れ」MV

NakamuraEmiにとって、6thアルバム『Momi』以来、8か月ぶりにお届けする新曲“一目惚れ”。集英社の女性誌ポータルサイト「HAPPY PLUS」の公式イメージソングとして書き下ろしたこの曲は、誰かや何かに一目惚れしたときに「いや、でも……」と、高ぶる感情を理性で抑え込んでしまう人の背中をポンっと押してくれる。会社でも学校でも家の中でも、どうしても理屈や理由を追い求めてしまう場面が多いけれど、たまには直感で物事を選ぶのもいいじゃない。直感的に惹かれたものは、きっと、自分に新しいパワーを与えてくれる――NakamuraEmiの歌と、カワムラヒロシによる極上アレンジに耳を委ねていると、そう思わせてくれる。

“一目惚れ”リリース日の3月16日にInstagram Liveにて行った
NakamuraEmiさんとカワムラヒロシさんへの陽気なインタビューを、
特別に記事化してお届けします!

―“一目惚れ”が生まれた経緯から聞いていければと思います。集英社「HAPPY PLUS」さんから依頼があって作り始めたと思うのですが、最初はどういったお話があったんですか?

NakamuraEmi HAPPY PLUSさんの想いとしては「偶然の出会い」がテーマで。自分が最近はずっと暗い服を選んでいて、でもコロナで配信ライブが増えてからは明るい色を選ぶようになって「気分が変わるものなんだな」っていうことを実感していたから、HAPPY PLUSさんの求めているものと自分がリンクして、すごくやりたいなと思いました。

―そこからどういうふうに「一目惚れ」というテーマが出てきたんですか?

NakamuraEmi 私がその頃、ツアーをまわりながら、みんなにも楽しんでもらえる衣装を探すためにいろんなお店へ行っていたんですけど。ぱっと見て「あ、これは……ピンクだな」って思うんだけど、「でもこれを着たら華やかになれるかな」とか考えるようになって、お洋服の力を借りて楽しむことを自分が最近は知りだしていて。「買いたいけど、自分には似合わないかも。もう歳だし」みたいな葛藤ってあると思うんです。あと、たとえばお母さんになっている友達の家に行くと、子どものものを優先して買っていたり、自分のものは安く買ったり、そういう姿も超かっこいいなと思いつつ、自分の好きなものっていうのはやっぱりパワーをくれると思うから、大人の女性たちがどう一目惚れしたものと向き合いながら楽しめるかということを曲にしたいなと思いました。

―やっぱり、実体験を綴ってるんですね。

NakamuraEmi たしかに。それはもうずっと一緒かもしれないですね。

―“一目惚れ”を聴いて思ったのは、Emiさんの音楽の包容力がどんどん大きくなっているなということで。この曲を聴いて「Emiさんの音楽は私の味方でいてくれる」と感じる人がたくさんいると思うんですけど、そう思う人の範囲がどんどん広がってるなと。しかもそれをマーケティング的に「次はここをターゲットにしたいからこういう曲を書こう」ということではなくて、今話してくれたみたいにEmiさんのリアルな実感をナチュラルに歌にしているものがどんどん多くの人を包み込んでいっていることが、Emiさんの凄さだなと思います。

NakamuraEmi いやあ、嬉しい。同世代の女性の気持ちを持った人たちに届けたいと思ったときに、今回HAPPY PLUSさんという洋服とか暮らしを楽しもうとしている人たちと関われたことが自分にとって大きかったというか。自然といろんな方に繋げてもらえていることは大きいなと思いますね。

―でも男性にとっても、一目惚れでなにかを買うきっかけとなる曲なのではと思います。男性も、同じ色の服を選びがちだったりしません?「紺色の服ばっかり買ってしまうわ」とか。

カワムラヒロシ そうだね、めっちゃある! (一目惚れは)感覚的になくなっていくからね。

NakamuraEmi そうなんだよ。なくなっていくし、一目惚れしても経済的なものとか色々なことを考えて、一目惚れをシュッて消す能力が歳を重ねるとついてくるから。それを大事にするのもいいなと思ったんです。

―たしかに。買わない理由をいっぱい並べちゃいますもんね。

NakamuraEmi 素敵な言葉! それ、歌詞にしよう(笑)。

―(笑)。一目惚れをテーマに書こうと決めてから歌詞はすんなり書けたんですか?

NakamuraEmi すんなり書けない!

―(笑)。

NakamuraEmi すんなり書けることはほとんどないんですよね。2週間家から出っぱなしのツアー中(『Momi Release Tour 2021』)だったんですけど、とにかくここで作らないともう間に合わないという状態で。楽曲提供の制作と並行して作っていて、とにかく作る時間がなくて、移動の車の中でやりながら、時々酔いながら(笑)。その中で外の風景を見ながら歌詞を作ったりして。

カワムラヒロシ 車の中でよくそれやってたよね。ずっとベンベンやってんなと思って。

NakamuraEmi (笑)。エレキギターで作ってて。

カワムラヒロシ 車の中でエレキの音聴こえるんかな?と思って。

NakamuraEmi あのね、聴こえなかった(笑)。

カワムラヒロシ やっぱり!(笑)

NakamuraEmi なにせワンボックスの車で4人と機材も乗ってたから、どうにか薄いギターを持っていこうと思ってエレキを持っていったら、全然聴こえなかった(笑)。

―(笑)。

NakamuraEmi そんな中で作ったんですけど。そこで……私の歌詞のこだわりコーナー!

―コーナー始まった!(笑)

NakamuraEmi 実は最初に集英社さんからお願いされていたのは、ともわかさんのイラストアニメーションとともにお届けする2分間の曲で。私の歌詞のこだわりとしてはまず、2分の曲を作るときに、どこかに必ず衣類の言葉を入れたんです。

カワムラヒロシ 服に関連する言葉ってことね。

NakamuraEmi そうです。HAPPY PLUSでお洋服を扱っていたので、服に関連する言葉を入れたいなと思って。最初のフレーズの《同じ型に流し込むだけ》というところは、「自分はいつも同じになっちゃってる」ということを言いつつも、お洋服って「型」があるじゃないですか。

カワムラヒロシ 裁断するときのね。型紙。

NakamuraEmi そう! まずここが私にとって衣類ポイント。次は《着る糸口探してる》というところに衣類の要素を入れたんです。本当は「着る理由を探してる」という文章でいいわけなんですが、ここを「糸口」にしました。お洋服のサイトを見て言葉を探したりしましたね。次は《偶然に袖を通そうか》という部分です。これは一目惚れしたものに対して、いつもは理由をつけて買わないようにしちゃうけど、偶然出会った喜びに対して飛び込んじゃえという想いを《袖を通そうか》ということにしました。

カワムラヒロシ 《袖を通そうか》はたしかにいい言い回し。

―うん、素敵です。

NakamuraEmi 本当ですか。いつもはカワムラさんに歌詞チェックしてもらうときに直しがあったりするんですけど、今回はあんまりなかったです。

カワムラヒロシ ないない、全然ない。今回Bメロの歌詞が特にいい。《理性にちょっと怠けてもらって》とかさ。

NakamuraEmi あとはラップですね。ラップは作っていてすごく楽しかった。

カワムラヒロシ ちゃんとラップしたのは初めてじゃないですか?

NakamuraEmi 「ラップ」なんて言うのはちょっとおこがましいんですけど。2分の方で言いたいことを言い切っちゃったので、1曲にしてレコーディングするってなったときにどうしようと思って、ちょっとラップで遊んでみようかなと思ったらめっちゃ楽しくて。軽やかなラップは今まであんまりなかったので、これはライブでも楽しんでやりたいなって思いますね。

―いい感じに韻も踏んでいて。

カワムラヒロシ そう。踏み方がまたかわいらしい。

NakamuraEmi あと、サビの《HAPPY PLUS》のところは、実は広島産です。メイドイン広島の音なんです。広島のスタジオで録った私のデモテープのものが、質感がよくて採用されたんですよね。

カワムラヒロシ そうです。Emiちゃんの歌とギターが入った最初のデモをもらって、そこから僕がアレンジしていくんですけど、「こんなふうに録りたいな」ということで、Emiちゃんの《HAPPY PLUS》と言ってる声を切って音を加工してハモリも作って。普段それを採用することはないんですけど、レコーディングのときにエンジニアの奥田(泰次)さんが「これめっちゃいいですね」ってなって、「やっぱりいいですか?」って、即採用になったんだよね。狙って作ったわけではなくて。

NakamuraEmi レコーディングブースで歌いながら「あれ、この音アナログっぽくていいな?」と思って、「これいいですね」って言ったら奥田さんも「そう、いいと思った」って。

カワムラヒロシ 最初は全然採用する気なかった。

―じゃあレコーディングブースに入って一本も歌わなかったということですか?

NakamuraEmi 《HAPPY PLUS》というサビのところはそうです。広島LIVE VANQUISHでツアーやったあとのヘロヘロの状態でスタジオに行ったときの音。

カワムラヒロシ そうか、ライブ後か。歌ったあとだからよく声が出てたのか。

―広島産の声と、カワムラさんの編集技術を聴けるのが、あの1小節だということですね。

カワムラヒロシ そうですね、現代テクノロジーが生んだものです。

NakamuraEmi あと、こだわりはカワムラさんのアレンジですね。かなり急展開で色々と変えてもらったことをよく覚えてます。

カワムラヒロシ 最初に作ったものはトラックが全然違って。もっと今風の音が色々入ってた。EDMまでは行かないけど、前半はちょっとEDMっぽい感じで、サビの部分がもっと「ドチドチドチ」みたいな4つ打ちっぽい、もうちょっとテンションの高い、NakamuraEmiの音楽でいうと“チクッ”のもうちょっと今風な感じ。一番最初はホーンが入ってなくて。ツアー最終日の鹿児島でホテルから空港に向かう中、「あ、これホーン入れた方がいいわ」と思って。それで東京に戻ってきてできたものをEmiちゃんに聴かせたら、すごい微妙な顔してて。

NakamuraEmi すっごい険しい顔して「うーん」って言いましたね(笑)。そういうの、いつもはあんまりなくて。

カワムラヒロシ 1つ目のデモはたしかにEmiちゃんの曲調にあんまりないくらい、わかりやすい曲調にしてたんですよ。それでEmiちゃんが渋柿食ったみたいな顔するので(笑)。話を聞いていくと、どうやらEmiちゃん的にはもうちょっとシンプルな、ヒップホップの印象が残る感じにしたいというのがあって。それが好きなことは今までの流れからわかるけど、一緒のものを作っても面白くないじゃん、みたいな話をして。でも、どんな感じのグルーヴがいいんかなって聞いたときに、Emiちゃんが携帯のアプリで「こんな感じ」ってリズムを叩いてくれたら、「あ、全然違う方向」ってなって(笑)。

―できあがった曲は、EDMのイの字もないですもんね。

カワムラヒロシ いや、そうそう!

NakamuraEmi でもそこから早かったですね。

カワムラヒロシ 「そっちか」ってなって、2、3時間で全部組み上げて。僕の家のリビングで聴いてもらっていたんだけど。

NakamuraEmi 夜7時くらいに聴いて、「違う」ってなって、10時くらいにはもうこれができあがってました。

―早い。さすがカワムラさん。

NakamuraEmi だからこの“一目惚れ”のアレンジができたとき、めっちゃ嬉しかった。「これです!」って。

―Emiさん的にはなんでシンプルアレンジにしたいモードだったんでしょうね?

NakamuraEmi 《HAPPY PLUS》という言葉を、多分、自分だけで作っていたら歌詞に出さないんですよね。今回HAPPY PLUSさんと一緒にやって、「HAPPY PLUS」という言葉やサイトを広めたいという気持ちが素直にあるから「HAPPY PLUS」って入れたんです。それですでに私の曲にはないハッピーさがもう完成されていて、それ以上私にとってハッピーは必要なかった(笑)。あとは低音とか、ハッピーはすでにあるから低い部分をいっぱいほしいし、「ハッピーさはいらないです」みたいな状態だったのかもしれない。

カワムラヒロシ 明るい音をやるとトゥーマッチだということだよね。

―トゥーハッピーになっちゃうんですね。

カワムラヒロシ そう(笑)。トゥーハッピーだとリアリティにちょっと欠けるなっていう。主人公はそういう人じゃないっていうのもあるよね。

NakamuraEmi そうですね。主人公がキラキラしてないですよね。

カワムラヒロシ キラキラしてない人が、自分なりのキラキラを見つけていくという話だから。

―あとこの曲、トランペットが最高ですよね。

NakamuraEmi 佐瀬(悠輔)くんのトランペット!

カワムラヒロシ かっこいいよね。

―Gentle Forest Jazz Bandというビッグバンドでもやってたり、KID FRESINOさん、Answer to Rememberとか、King Gnuメンバーの界隈ともよくやられているトランペッターですが。今回どういう経緯で佐瀬さんにお声がけしたんですか?

NakamuraEmi それこそKID FRESINOくんのライブを見て、「なんだこの人の音は」ってなって、「佐瀬くんが気になります」ってカワムラさんに言ったらカワムラさんも「めっちゃいいなあ」って。この曲のアレンジにラッパが入るってなったときに「これは」と思って、佐瀬くんに即お願いしてやってもらいました。初めてお会いしたんですけど、この人にお願いしてよかった、ってすごく思いましたよね。優しさとか人間力だけじゃなくて、音楽のセンスと判断力の早さとかが、レコーディングで光り輝いてた。素晴らしかった。

カワムラヒロシ 今回リズムは打ち込みだけど、ギターは生だし、ベースはシンプルなベースラインだから大陸的なベースが弾ける人をということで僕が信頼してるZak Croxallにお願いして。ちょっと光もほしくてグロッケンを加納里奈ちゃんに頼んで。その上にくるものがトランペットだから、相当音に個性がないと埋もれるし、質感としても難しいなっていう。結構大変な位置だったんだけど、素晴らしかった。

NakamuraEmi すごかった。レコーディング中、こっち側はヒューヒュー言ってましたよね。

カワムラヒロシ 佐瀬くんは「大丈夫ですか?」ってすごく謙虚な感じで。大丈夫もなにも、って感じよな。

―いわゆるJ-POPでよくあるような飾り的に管楽器の音を入れるというものではなく、すごく個性のある、人間臭さが生々しく出てるようなトランペットですもんね。

カワムラヒロシ そうそう。結構責任重大で。でも、ようやってくださいましたわ。

NakamuraEmi 生でライブを一緒にやりたい!

―生で聴いてみたいです。結果、世界中のどこを探してもないような、唯一無二のヒップホップができているなと思います。

NakamuraEmi 嬉しい!

―ジャケットも素敵ですよね。今までのEmiさんのアートワークとはまたちょっと違う感じで。

カワムラヒロシ シンプルなのにインパクトがあるよね。

NakamuraEmi いつもジャケットとかアーティスト写真とか全部やってくれているNEWTONEの健ちゃん(高橋健一)に今回もお願いして。6種類くらいジャケット候補を挙げてくれたんだけど、即「これ!」って。いつもはすごく迷っちゃうんだけど。このとんでもなさ!

カワムラヒロシ ぶっとんでるよね。毎回ぶっとんでるんですよ、あの人。品のよさと、そこのバランスが、やばいよね。

NakamuraEmi そう、健ちゃんってすごく品があるのよ。だけどどこかかなりぶっとんでるんだよね。だからこういうことができるんだなと思う。

―Emiさんは最近、一目惚れして買ったものはありますか?

NakamuraEmi 向井太一くんがBLANC IRISとコラボしてるピアス。向井太一くんが素敵な写真で写ってて「なにこれ、かわいい」ってなって。いつも私、ゴールドばっかりなんですけど、シルバーを買ってみようと思って。

カワムラヒロシ たしかに珍しいかも。

NakamuraEmi 自分のご褒美として買いました。

カワムラヒロシ いつも頑張っとるもんね、Emiちゃん。

―カワムラさんはなにか一目惚れして買ったものありますか?

カワムラヒロシ 今日着てきたこの服(ブルーのセーター)。これを見にいったときに、それこそ一目惚れで。俺、あんまりこういう色着ないんですよ。

NakamuraEmi そうですね、こういう服着てるイメージ、意外とないかも。

カワムラヒロシ 意外とこういうの着ないんです。でも、買ったった。

NakamuraEmi かわいい!

―今後のご予定はどんな感じでしょう。

NakamuraEmi ライブがめっちゃあります。直近だと、藤原さくらちゃんと一緒に広島と大阪のクアトロをまわります。そのあと、『突然ONEMAN』ということで名古屋と岐阜にまわります。

カワムラヒロシ 突然すぎますね!

NakamuraEmi そう。広島、大阪と行かせてもらうので、そのままどうにか東京帰るまでにライブができないかっていうところから、たけしマネージャーとカワムラさんと色々考えまして、『突然ONEMAN』という名で色々なところをまわろうと。今回タイミングが合ったのが名古屋と岐阜。岐阜はカワムラさんの地元でもあります。そのあとも、最高なみなさんとの2マンがたくさん続くのでぜひチェックしていただけたらと思います。



※3/16にInstagram Liveにて行ったインタビューを一部編集して構成しました

2022.03.16(wed) Release

NakamuraEmi デジタル配信「一目惚れ」
配信シングルCOKM-43781
<配信限定>
配信サイト情報はこちら

NakamuraEmi特設サイト