INTERVIEW



interview_1

 

<結成とバンド名>

----VITAMIN-Q結成のいきさつは?
加藤:
みんなちょっとずつ違うと思うんですけど、共通項として言えるのは、非常にシンプルに、“ロックをやりたいと”。僕の場合は、イギリスの一番いい時代というか70年代のようなロック・バンドをやりたくなって。それを小原(礼)に話したら、“いいね”と。小原が他の仕事で(屋敷)豪太と話してたら盛り上がって、じゃあギターは土屋(昌巳)くんしかいないということになって。男4人じゃムサいなって、僕がANZAを。

----確かにブリティッシュ・ロックを基調にした作品ですね。
加藤:
小原は多少アメリカンなんだけど、他はバリバリのブリティッシュ。そういう意味で、自分のルーツを隠さず普通にやったらどうなるか、と。

----原点回帰ですか?
加藤:
結果論そんな感じですけど、いい意味で深く考えず、各自が3曲ぐらい持ち 寄って作ろうよ、と。そしたら結果こうなって。方向性はだいたい同じでヴァラエティに富んだものができた。それぞれ個性が強いから、バラバラになるのをさけたかったんで、バンド感はキーワードとして保ってるようにして。

----全員で曲をお書きになっているところがポイントでしょうか。
加藤:
うん、みんな持ってきたのをそのまんま。みんな感じが決まってるからね、そんなにいじらないで。多少バラバラな感じはあるけど、それはそれでいいか、と。

----皆さんの歴史的な体験が、凝縮したかたちで曲に表現してらっしゃるようで。
加藤:
体に入ってるから、考えなくても勝手に出ちゃった(笑)。

----敢えてシンプルさにこだわるのは?
加藤:
バンドって、生で再現可ってところが、キーポイントだから。レコーディングは河口湖で合宿して生でやってる。ごく当たり前な方法で、特に凝ってるところはなにもないんです。これは他のみんなはどう思ってるかわからないけど、僕の中にはBLONDIEがあって。あれはNYだから、アメリカのロックとは違いますよね。ポップだけどバンクの方では、すごくカルト。TelevisionとBLONDIEは、すごいバンドだな、と。下敷きにさせていただきましたよ、精神的に(笑)。 こないだデヴィッド・バーンとブライアン・イーノが一緒にやったじゃない? (共演作『Everything That Happens Will Happen Today』) やってること見ると、 テレヴィジョンのほうがすごいと思う。あれでテレヴィジョンを再認識した。そういう、本当のパンクが持っている精神性というかな、そんなのを出したかったんだけど、なかなか難しいね。“怒れる”ものが無いからねぇ。

----加藤さん個人は、このバンドにどのような思いを持ってらっしゃいますか?
加藤:
僕は40年ぐらいやってるけど、やってるからいいということではなくて、よく40年も何か作りたいという欲求があったなと自分に感心してる(笑) 一時期、あまりモチベーションがなくなってライヴとかやらなくなって、スタジオで レコード作ってる方が面白いと思ったけど、ポップ、ロック関係にも飽きて、歌舞伎の音楽ばかりやったりしてた。その反動でまたこっちに戻ってきて、それがミカ・バンドだったりして、それが面白いな、と。書きなぐって商品を作っていた時代も面白かったけど、何でつくりたいのか、そういうモチベーションも大切なので、それがなくならないのが自分でも面白い。それが4人とANZAだと、うまくくっついてる。だからVITAMIN-Qは、これだけじゃなくてずっとやろうと思ってますよ。

----その源は何でしょう?
加藤:
その時その場で違うけど、分母の部分としての音楽、きざっぽいけど、自分が生きてきた人生の垢でもあり、これがないと自分が生きててもつまらないなという気がしますよね。

<アナログ楽器へのこだわり>

----曲を書いた方がイニシアティヴを取るんでしょうか?
加藤:
だいたいそうだね。それに、こういうのどう?ってアイディアがあったりして。

----熱い意見交換が?
加藤:
そんなにはないですよ。よりよくなるためには、こうしたら面白いんじゃないかとか。みんなプロデューサー頭も持ってるから、できるわけですよね。だからかえって暗黙のうちに、自分の曲の場合には余り言わないというようにしたの。その方が自分の思いもよらなかったアイディアが出て、面白いものが出来る。だから自分の事はプロデュースしない。決めた訳じゃないけど、結果そうなった。 だからレコーディングは早いですよ。ミカ・バンドは3テイクぐらいだったけど、今回は2回ぐらいで終わった。それは、ある種の荒さじゃないけどエネルギーみたいなのをキープしたかったんで。たくさん録ると、みんなトシだからくたびれるし(笑)。

----完成度よりもフレッシュさですか。
加藤:
完成度を高めようとか、そういうことが目的ではない。エモーショナルな感じを取りたかった。今のレコーディングは何でも出来ちゃうから、逆に何かがなくなっちゃうというかね。その辺が嫌だったから。

----プロトゥールズも使わない、というような感じですか?
加藤:
プロトゥールズはレコーディングのツールとしては使いますよ。そこまでアナログにすると諸事情で面倒くさいから(笑)。ただ、レコーディング自体は、古いニーヴとかアンプとかフェアチャイルドとか大量に持ちこんでやってるから。

----皆さんのヴィンテージものがスタジオに勢揃いですか。
加藤:
マイクから何から全部、そういう意味では。

----ヴィンテージものを使うのは、音が違ったりするからですか。
加藤:
細かい事を言えば違いますよ。入り口はギターとアンプで、それを拾うのがマイクで、最終的にプロトゥールズ。 そういう積み重ねで最終的に出てきたものが、違う。何が違うんだと言われても困るんだけどね。

----アナログ楽器を選ぶ理由もそこですか?
加藤:
そうですね。楽器は特に、昔の楽器の方がいいというのはなぜかわからないんだけど、VITAMIN-Qという名前自体がそうなんですけど、古いコンデンサーの名前なんです。今も似たものはあるんだけど、古いオイル・コンデンサーには、今では環境問題等で使えないものが入ってる。それゆえに、ギターはコンデンサーを変えるだけで音が変わるんですよ。いい音してますね。いいか悪いかじゃないんだ、好きか嫌いかなんだ(笑)

----でもアナログにこだわる意味があるわけですよね。
加藤:
フィルムとビデオって違うじゃないですか。ビデオで撮るとTVみたいになるけど、フィルムだと映画らしい質感が出る。 それに近いですね。音だから見えにくいけど、空間が埋まるというか、空間が録れる。

----加藤さんが一番お使いになったギターは何ですか?
加藤:
僕も土屋君も、フェンダーのジャズマスター。僕のが59年で、土屋君のが61年。両方とも貴重なんですけど、僕のは作られた年のヤツで、土屋君のは改良された最初のやつ。それを一番使ったな。打合せした訳じゃないけど。ジャズマスターを使うのは、偏屈が多いんだ、トム・ヴァーレインとかエルヴィス・コステロとかね(笑)。僕の「LOTUS AVENUE」という、ルー・リードみたいな曲のイントロは、ジャズマスターの音なんですけど、コード弾いただけで、“これだ!”って曲が出来ちゃった。楽器の音から触発されることは、意外と多い。

----そうなると録音は一発録りで?
加藤:
殆ど一発。歌は違うけど、ベーシックは。特に回ってる音を録ってるから、間違えたら全員でやり直さないといけない。でも不思議と、いいテイクの時には間違えない。だめな時は間違える(笑)。余計な事を考えてるんでしょうね。

----スタジオは真剣勝負ですね。
加藤:
みんなブリティッシュ・スタイルだから、昼前ぐらいにスタジオに集まってもしばらくは、紅茶を飲んだり話したりして、そのうちにじゃあやろうかって感じでやるんだけど、日本みたいに現場で音楽の事だけやってるのは、ないですね。 そんなことは家でやってろよ、みたいなね。スポーツの試合みたいなもんですよ。 走っちゃったら終わり。それしかない,北島康介君みたいに。音楽って何度も出来るような気がするけど、実はできない。 1回掴み損ねるとだめ。みんなうまいから、普通の90点以上の演奏なんか、すぐ出来るわけ。でも、みんなが一体になった時にすごいものがある。それは何回も同じ事やってもだめなんです。

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<曲のエピソード>

「PANIC CRASH」
ブロンディみたいなのをやりたかったんで、ANZAに“馬鹿声で歌ってよ”と(笑)。
詞は彼女が書いてるけど、そういうポップ・チューンを意識した。

「CUPID'S CALLING」
英語の詞は、クリス・モズデル。これはTelevisionをやりたかったんだけど、早口で詞を作ったから、えらい難しかった(笑)。
ちゃんと発音しないとまずいからね、しかもブリティッシュ・アクセントで。
この曲は、翌日やろうってことになってたんだけど、合宿で夕食の後に、やろうよってなって、みんな完全に酔っぱらってる。
ノリが全然違う事になったんだけど、それはそれで面白いやって。それでテレヴィジョン色は消えてしまいました。

「LOTUS AVENUE」
これは、VELVET UNDERGROUNDみたいな感じに、70年代のグラムな感じを足そうと。
グラムって、シアトリカルなところや、お化粧したりってのが強調されてるけど、音はけっこう、プログレだったりとか不思議な感じがありますよね。
これはそういう風にやってみたんですが。

「メタルに塗りつぶせ」
これはもう、遠慮せずにT.REXをやってしまえ、と(笑)。
T.REX、かっこいいじゃない、じゃあやっちゃおうって。

「スゥキスキスゥ」
これは、(フィル・)スペクター。あの感じ。苦労したんだけど、なかなかならなくてね。

<レコーディング・エピソード>

----合宿したスタジオには、楽器より先にワインが運び込まれたとの噂が(笑)
加藤:
だいたい1日2曲だから、昼過ぎぐらいからやっても、夕方ぐらいには飲んでる(笑)。録り終わる前に、小原が飲んでるから(笑)。お昼前ぐらいにはスタジオに行こうよと言わなくても集まって、さっと録って、、そんな日々でした。

<リスナーへのメッセージ>

加藤:
洋楽と思ってもらえるといいですね。僕らと同世代も聴くでしょう し、若い子が聴いた時に、逆に新鮮に映るんじゃないかという期待もあ る。そんなに変わった事をやってるわけじゃないけど、意外とないです よね。洋楽ファンよ、これを聴け


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interview_2

 
----みなさんが加藤さんと組まれたのは?
土屋:
最初は、僕と小原さんがリキッドルームのMUTE BEATの再結成ライヴで会ったんですよ。

屋敷:
25周年の時ね。

土屋:
小原さんとは、僕のソロ(『TIME PASSENGER』1989年)で弾いて貰って以来だから10何年ぶりで。でも、いきなり楽器の話で盛り上がって(笑)、何か一緒にやりましょうよって。

小原:
その前にトノバン(加藤和彦)から、バンドをやりたいんだって話があって、ドラムは豪ちゃんで行きたいんだけどって。その前に僕は豪ちゃんと、レッドシューズのジャムセッションみたいので知り合って。それから(奥田)民生と(井上)陽水と僕たち二人で、ビートルズのコピーバンドをやったんで。また何か一緒にやろうって言ってて。で、このバンドのミーティングをしてる時に、ふとトノバンに「昨日、土屋君に会ったんだけど、入れない?」って(笑)。その場で電話して、「来週からレコーディングなんだけど空いてる?」(笑)

土屋:
それで、僕が小原さんを連れて行きたかった楽器屋さんで待ち合わせてたら、全員がいて(笑)。僕が、この「VITAMIN-Q」というコンデンサーを手に入れた時で、「これですよ、小原さん!」

小原:
「これかあ!」って写メ撮ってね(笑)

屋敷:
みんなが働いてる時間に、こんな人たちが集まって、服のポケットから出したビニール袋に入ったものをじーっと見てる(笑)

小原:
でも、その2、3日でメンバーも決まってコンセプトも決まって、バンドの名前まで決まっちゃった。おまけにTシャツ作ろうだの携帯ストラップ作ろうって話にまでなってた。

----皆さん、ソロもセッションもたくさんやってらっしゃいますが、今敢えてバンドを組もうと思ったのは?
小原:
バンドしかないじゃないですか。バンドで育ってきてるから。

土屋:
すごくバンドやりたいんですよ。レコーディング中はデヴィッド・ボウイにハマってて、ミック・ロンソン研究では第一人者を自任してるんですけど(笑)、今はローリング・ストーンズですね。ミックもキースもいいけど、バンドそのものがかっこいい。

屋敷:
僕は、合宿中でもギターとベースの、竿といわれる電気系な人たちのようには詳しくないから、ANZAと近くのカフェで(笑)

小原:
ああいう合宿レコーディングって、すごい好きで。合宿しかないでしょバンドは(笑)。集まって同じ釜の飯、みたいな。そこがいいんでしょ。東京でやると、家に帰ったり次の仕事に行ったりってことになっちゃうんで、起きてから寝るまで、同じ時間を共有できるというのは、絶対いいよね?

屋敷:
必要だと思う。

----イギリス式の紅茶からレコーディングが始まったそうで。
小原:
それぞれ世界中でやってきた人ばっかりなんで、感覚がインターナショナルだから。そういうのも面白かった。日本の、浪花節的なのがだめだというんじゃないけど。

土屋:
僕にしろ豪太にしろ、自分が孤立した状態で世界中でやってきたわけで、その中で、すごいデリケートなところも全部わかっちゃう人たちと一緒にやれるというのは、ものすごく大きいですね。なかなかそういうレベルでバンドが出来ない。象徴的なのは、ジャッジメントする人がいないんですよ。でも小原さんが「こんなもんじゃない?」って(笑)。

屋敷:
僕は迷わず「そうですよね」って(笑)

小原:
僕と豪ちゃんが「こんなもんだね」ってしといて、あとはギターとかがやる、というのが決まってったね。

屋敷:
ドラムとベースが出来ないと何も決まらないというのがあるし。

小原:
音決めには時間かかったよね。

土屋:
それはスタジオの環境もあるしね。僕がガラスに反射した音が嫌いでカーテン閉めたり布団敷いたり(笑)

小原:
「スゥキスキスゥ」という曲は特殊な録音方法をとっている。昔のスタジオ同録みたいな、(フィル・)スペクターな感じでやろうって。一番大変だった。

土屋:
80年代のフュージョン全盛期に作られたデッドなスタジオだから、逆の方向に行ってるわけですよ。だからギター弾ける人全員で弾いたり(笑)

屋敷:
僕も入って4人で弾いたもんね。

小原:
同じ事をね。あと、わざと音を逃がして。

----ご苦労をされた?
小原:
いや、それが楽しいんだよ(笑)

屋敷:
僕は、デモテープはこんなもんだろうって、ギター弾き語りで持ってったら、みんなすごいちゃんとデモテープを作られてきて。礼さんのとかギターソロそのまま使ったり。僕は、ANZAちゃんに、歌ってもらってから、その場でやろう、いろいろ出来るだろうから、それを楽しみにしようと思ってたんだけど(笑)。歌入れ中に加藤さんに何て言われたの?

ANZA:
「狂ってくれ」って(笑)

屋敷:
その時は加藤さんと3人でやって、あとで礼さんがかぶせるって言う、特殊なかたちになってて。

小原:
僕が他の仕事でいなくて。

土屋:
でもオチがあって、こっそり戻ってきてて「ベース忘れた」って(笑)

小原:
で、翌日ベース入れようって聴いた時に、「恐山だね」って言ったら、前日にみんなが同じ事を言ってたんだって。

豪太:
いろいろ山はあるけど、ピンポイントで、恐山(笑)。

小原:
今回発見したのは、僕と豪ちゃんの話し声は全然違うんだけど、歌うと声が同じ(笑)。音域とかすごい似てる。どっちが歌ってるかわからないぐらい。

----皆さん、ストレートにルーツを感じさせる曲になっていますが、そこは意識して作られたんですか?
小原:
今回は、UKな感じでいこうと皆で話してたんで。わりとストレートなものをANZAが歌えるキーで、シンプルなものと考えていたので、ロックっぽいものを2曲。あと自分が歌うことも考えて。最初からこういうのがいいかなと思って作った事は作った。

屋敷:
だからパンクのイメージもありーの、NYのイメージもありーの。

小原:
西海岸じゃないというのはあったな(笑)。昔の、ジギースターダストみたいなノリもありーの。

土屋:
僕はそれ1本で(笑)。ミック・ロンソンが生きてたらこういう感じって。

小原:
そこは任せてた(笑)。絶対こう来るだろうと思ってたらその通り。ある意味、放置プレイな感じですよね(笑)

屋敷:
僕は、そういう中で世代の違うANZAちゃんの反応を見てるのがすごく楽しかったの。

ANZA:
誰もが知る皆さんの中で、話す必要がないんですよ。聴いている方がたのしくて。新しいんです。60〜70年代の音楽は聴いた事がなかったので、これが私に出来るのかという不安はあったんですけど、何しろ皆さんノセるのがお上手で(笑)。全てが勉強でした。ひとつひとつの曲で、私からいろんな人格を生んでくださった。今までにない引き出しを開けてくれて、こんなこともできるんだという発見ばかりで。それと、タダで英語の勉強をさせていただきました(笑)。この顔で全く英語が話せないので。

----厳しいご指導が?
ANZA:
優しかったですよ(笑)。今まで習った、どの先生よりもわかりやすく。

小原:
厳しくはないよね(笑)。口をこうしてとか、実践の指導だもんね。

土屋:
歌う時の発音と喋る時の発音は微妙に違うし。

ANZA:
自分の声が演奏とどう混ざるのか、ものすごく面白かった。とにかく皆さんレコーディングがあまりに早いので、私が時間とっちゃだめだなと思って。1テイク2テイクで完成して行くのを見てると、怖かったです。だから皆さんがレコーディングしている間、私は他のところで自主トレ(笑)。でも皆さん、出来た音源を聴く時には音楽キッズになってて、かわいいなって思いました(笑)

屋敷:
そうだろうなって思う(笑)

ANZA:
曲を母に聴かせたら、「やばいわ〜。私の時代よ!」って(笑)。だから若い人も年配の人も楽しめると思います。

屋敷:
早くライヴやりたいよね。

小原:
夏フェスとか出たいよね。

----新人バンドの気分ですか(笑)
小原:
そうですね(笑)

----制作現場では曲を書いた方がイニシアチブを取るんでしょう?
小原:
そうだけど、あんまりこうしてとか殆ど言わずに、とりあえずやってもらって、いいねって。

土屋:
放っておいても形になるのは前からわかってたから、これは誰もコード譜なんか作ってこないなと思って、僕が作ってったの。あれで1/3ぐらいは時間短縮できたよね。

小原:
あれは素晴らしかった(笑)。「譜面どうしよう?」って言ったら、「もうあります」って(笑)

屋敷:
僕の曲だけ出来てなかったから、その場で書いてもらって(笑)写真があるよ(と写メ提示)

土屋:
だって時間が提示されるじゃないですか。そうしたらリズムセクションに時間これぐらいかけないと、あとキーボードとか打ち込み使わないというのが前提にあったから、ギターが大変になるのは明白で。音作りに時間を使いたかったから現場でダラダラやったら大変な事にある。しわ寄せがくるのはこっちだなと。あらゆる意味で全力でしたね。

小原:
しばらくは「明日のジョー」みたいだったもんね。コーナーで燃え尽きてた(笑)

土屋:
大変でしたけどね、人には言えない苦労も(笑)。でもそれもさらっと流すのも大人かなと(笑)。

----ヴィンテージ楽器でのアナログ録音にこだわる理由は?
土屋:
YMOとかが始めた頃に僕も打ち込みは始めたけど、誰もやってなかったから新鮮だった。でも今はいろいろ考えて行くと、人間は生きる根源に戻ると思う。ロックの根源は、これなんですよ。

小原:
便利になったなと思うところはある。プロトゥールスが、ここまで使えるようになったというのは嬉しい。本当は全部アナログでやりたいんですよ。でも時間がないとエディットに時間かかるし。

土屋:
お金もかかるんですよ。一番の贅沢。

小原:
進歩してくれたのは助かる。今の人はプロトゥールスしかしらないから便利で当たり前みたいになってる。僕ら4チャンネルからやってるから、こんなに便利だと楽勝(笑)

----デジタル全盛時代を経て活躍していらっしゃる皆さんからみて、今はどのように見えますか。
小原:
確かに80年代は打ち込み全盛だったけど、ずっとやってると、僕らのようなスタイルの音楽は、やっぱり生の方がいいよって気づいてきた。

土屋:
うまい打ち込みの人って、うまいプレイヤーなんですよ。高橋幸宏さんのように。豪太もそうなんですよ。

----この作品は、コンセプトアルバムという感覚ではないんですか?
小原:
そうでもないけど、曲並びは、繋がるようには考えた。

土屋:
僕の中では、グラム・サイケというコンセプトがあって、それ以外の音は使わないというのがあった。ストーリーを作ってというコンセプトではないけど。行っても72年まで、という。それを本気でやってみたかった。ギターの音色ひとつでも「なんですか?」って言われる現場の方が多いですから(笑)。ここは「かっこいい」って言ってくれますから。

小原:
期待以上というか想像以上のものが出てくるというか、バンドマジックというか、そういうのはいっぱいあったよね 。

----72年までを象徴する1作品をあげていただけますか?
土屋:
僕は今だったら『スティッキー・フィンガーズ』。

屋敷:
ジェイムス・ブラウンの『ジャングル・グルーヴ』。カーペンターズも72年のね。

小原:
72年までだったら『リボルバー』。

屋敷:
72年て16チャンネルあったのかな?

小原:
『黒船』やってたから、もうあったんじゃないかな。

<リスナーへのメッセージ>

小原:
この古さを聴いてください。

土屋:
洋楽のつもりで聴いてください

屋敷:
『VITAMIN-Q』を飲んで聴いて、元気になってください。

ANZA:
全てがヴィンテージですね。ミュージシャンも楽器も、全てが特別なものという気がします


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