スペシャル
ささきいさお、堀江美都子 インタビュー
ささきいさおと堀江美都子がデュエットする「全界合体!ジュラガオーン」!
- 渡辺宙明先生の作曲は安心出来て気持ちが良い、元気がもらえる
3月7日より全力スタートとなった、スーパー戦隊シリーズ第45作『機界戦隊ゼンカイジャー』。
そして『ゼンカイジャー』のメンバーであるキカイノイドのゼンカイジュランとゼンカイガオーンが『巨大化して合体=全界合体』したのが、ゼンカイオージュラガオーンだ!その活躍に華を添える挿入歌「全界合体!ジュラガオーン」が、先日収録された。
もちろん皆さんは第2話『ガオな野獣がごやっかい!』(監督/中澤祥次郎、脚本/香村純子、3月14日放送)の巨大戦を観て(聴いて)驚いたに違いない。
スーパー戦隊シリーズアニバーサリー作品挿入歌の1曲目に登場する歌手は…ささきいさおさんと堀江美都子さんで、二人のデュエットなのだ!ファンの方は良くご存知であろうが、二人はシリーズ第1作『秘密戦隊ゴレンジャー/'75放送』の主題歌をデュエットしてる方々である。古くからのファンはもちろんだが、スーパー戦隊ファンは名前を聞いただけでも、テンションが全力全開だ!
ピキッとした空気でまだ肌寒い日、スーパー戦隊ではお馴染みの録音スタジオで収録が行われた。お馴染みではあるが、今日はこの中にいくつかある部屋の内最大規模のレコーディングスタジオ。というのもお二人同時に収録をするので、スタジオの中にあるさらに小さな別々のブースに入るからだ。ディレクターの居るコントロールルームから見ると、水槽の中にさらに水槽が2つある感覚か!?
取材の都合で早めにお越し頂いた二人だったので、それぞれマイク前に立った時はかなりリラックスした雰囲気だ。マイクを通しての談笑がコントロールルームにも聞こえてくる。(2人の位置関係からするとお互いには見えないが)
いざマイクチェック。
張りのある二人の歌声は『もう完成じゃないの?』という感じで、新しくも懐かしい…初めて聴いたそれは、聴いたことの無い『ザ・ヒーローソング』で、スタジオのスピーカーでその感覚は増幅されて迫力全開!
チェックを終えて本番に移ると、マイクを通して二人は朗らかに話をしている。
堀江「いさおさんの声はすっごく響いてますよ」
ささき「そ~お?」
堀江「ボリュームをガガガって下げてるのに(笑)」
堀江「いさおさん、ここもう少し伸ばしません?」
ささき「ん?6拍くらい?」
一通り歌うとプレイバックをしてみる。堀江さんが広いスタジオの中に歩き出て、身体全体でリズムを取りながら聴いている姿が、ガラスを通して見える。
2人の力強い歌声に、穴井ディレクター(※スーパー戦隊音楽担当)も満足気である。
「誰よりもイイですね!お二人は。」
「いさおさんに『許さない』と言われると、ホントに許されない気がします。」
もちろんディレクションにも気持ちが入る。
「『引いて待つ!』みたいに、『来るなら来てみろ』な感じですかね!?」
「歌い方が少し違うので、寄り添ってみましょう。」
「宇宙をイメージして!」
穴井節の抽象ディレクションだが、ベテランの2人には瞬時に理解出来たようだ。
無事に収録を終えた直後、広いスタジオの中でお話を聞いた。
―――レコーディングを終えた感想はいかがですか?
ささき「ノリは良いんだけど、難しかったね。(※堀江さんを見て)一緒にこの歌を歌ったことは無いじゃない。だからどう繋げていいか、全体的なことがつかみにくかったので。もちろんデュエット自体はこれまでにやってるんだけどね。」
堀江「一緒だとゴーカイジャーの映画(※『海賊戦隊ゴーカイジャー THE MOVIE 空飛ぶ幽霊船』/'11公開)での(『ないしょのユーレイヒー』を3人~もう1人は松原剛志さん~で歌った)時以来なので、10年くらいは経ってますね。」
(※ちなみにデュエットとしては1978年のテレビアニメ『科学忍者隊ガッチャマンII』ED曲『明日夢みて』以来である)
ささき「(特撮ソングで)歌を歌ったのは『ゴレンジャー』以来だよね。」
堀江「そうですね…でもよくステージはご一緒しているので、いつもいさおさんがどう歌われるかは分かっています。けど今回は新曲ですからその辺りは歌い方を合わせたりしました。」
ささき「『ミッチ(※堀江さん)だったらこう来るんだろうな』と思っても、今回はミッチが先行しているところが多いじゃない。だからミッチに主導権があると(笑)」
堀江「そうでもない(笑)」
―――ささきさんとしては歌いやすい歌でしたか?
ささき「(渡辺)宙明先生の歌はノリ易いんですよ。特に僕の好きなラテンの展開だから、気持ち良いんです。」
―――宙明先生作曲の歌のオファーを受けた時は、どういったお気持ちでしたか?
ささき「先生だからもう安心していました。ちょっと安心し過ぎたかも。」
堀江「本当にそうです。現役でこういったパワフルな曲をお書きになっていて…挫けそうになった時には 『まだまだ先輩が頑張っていらっしゃるんだ!』と、自分も頑張らなければと思いながら歌っています。今日はホントに楽しみでした。(ささきさんの)胸を借りる感じで。」
ささき「そんな(笑)」
―――この歌で心に残った歌詩やフレーズはどこですか?
ささき「『生きて 生きて 希望で』『心で抱きしめて』などの、『頑張るんだこの世界で』と表した辺りですかね。特に今の(時代は)みんな萎れがちだから、この2行はとても大事だと思います。」
堀江「ストレートな言葉の中にマイクさんの環境的な事を感じましたね。自然が周りにあったりとか…(※マイクさんは沖縄在住)。大きな意味で地球や自然を大事にして、特ソンに必要な普遍的な歌詩でバチっと勝負してこられたのは、潔いと思いました。それに負けないパワーで歌わなければいけませんでしたね。」
ささき「オレなんかパワーだけだよ(笑)」
―――この歌をファンの方がカラオケで歌う時のワンポイントアドバイスをお願いします。
ささき「(※堀江さんを見て)何だろうね?」
堀江「リズムのタテのノリを2人で合わせられれば良いと思います。女の人はハモのところがありますから…そこはちょっと難しいけど。」
ささき「そうだね。(※こちらへ向き直り)デュエットの時は、いつもミッチに苦労させてしまうんですよ。」
堀江「いやいや、そんなことないですよ。女性でも全体的には歌い易いと思います。」
―――男性2人とか女性2人で歌う時はいかがでしょうか?
ささき「そうだよね。男の方はミッチのところを歌っても出ないキーや苦しいところは無いと思うけど…女性の方がソロで歌うとタイヘンだよね。」
堀江「そうですね。CとかDとか高いところばかりがずっと出てくるので、通常がメゾソプラノの女の人だとちょっとキツいかもしれません。」
―――そんな時はどうしたら良いでしょうか?
ささき「キーコン(※キーコントロール)で下げちゃえばイイ!」
堀江「そう、ガッツをいれるしかない!(笑)言葉に励まされて、『合体!』とか『全力!』『力!』などの、それをですね。」
ささき「普通だと『ガ』を鼻濁音にするじゃない。今回はどっちにする?と聞いたら、鼻濁音はなるべく使わずにナマの音でやってくれと。どうしても慣れていないから、最初は戸惑いましたね。」
堀江「(※ささきさんを見て)若い人は鼻濁音を知らない人もいるかも。」
ささき「そうなんだよね。」
堀江「でも今回の歌詩の固有名詞『ジュラガオーン』の『ガ』や、擬音語の『ガガガ』は思いっ切り濁音でOKですよ。」
―――今年のスーパー戦隊は第45作ですが、第1作目の主題歌を歌ったお2人にとっての感慨などはいかがですか?
ささき「それはもう嬉しいことですよね。まさかここまで歌って来られるとは思わなかったし。そこを現役の歌手として歌えるとは!かなり凄いのは宙明先生ですけどね。」
堀江「私たちも50年60年現役ではあるんですが、宙明先生が凄すぎて。」
ささき「そうそう!」
堀江「一応頑張ってはいる方だとは思うんですけど。」
ささき「そうだよね。頑張ってるんじゃないの。」
―――そのように『頑張り』への目標があると、ご自分の『張り』になりますね。
ささき「張りなんてものじゃない、遠いよね。そんな歳まで歌は歌えないからね(※宙明先生は現在95歳)。今回これが歌えたのは、『よく頑張ってるな』とお互いに思ってとても良いことだと思います。」
堀江「いさおさんは凄いですよ。私くらいの年齢で歌う方はたくさんいらっしゃいますし。(ささきさんは)なんたって響きが変わらない!普通は響きが濁って来ますからね。」
ささき「そうね、そこだけが今回は心配で。歌よりか、まずは声を出す事でした。」
堀江「ということは、声帯ではなくて響かせる場所などの、共鳴させるところを工夫してらっしゃるんでるすよね。」
ささき「(※改めてこちらを見て)こういう(コロナ禍の)時期だから、どうしても人前で歌う事はないじゃないですか。自分で発声していると、自分の限度でやっちゃって、それ以上はやらないんですよ。だから今回はどうしよう?って。ミッチと歌うんなら、まずは響きを合わせなきゃいけないから。この歌はそんなに音程が広い歌ではないから、どうにかなるかな?とも思いましたけど。ただ『この星を』の『を』がね。『を』って凄く難しいじゃない。心配だったけどミッチが上手くカバーしてくれるかな?って。」
堀江「私、ハモッてましたよ(笑)」
ささき「ハモは上手く行くけどソロだよね。いろんなやり方があるし。そこでとても苦しみましたけど。」
―――スーパー戦隊シリーズはまだまだ続くと思います。この先は後輩たちに頑張って欲しいですか?それとも『まだまだ自分たちが歌うぞ!』という感じですか?
ささき「(笑)今は若い人がたくさんいるからね。」
堀江「どんどん新しいアーティストが出て来なければいけないし、スーパー戦隊ってそういう人が歌う作品だと思います。今回は宙明先生のお祝いに、いさおさんの60周年、堀江の50周年の全部の意味を込めて歌わせて頂いた気がしています。だからこそ頑張ってバシーンって歌わなければと思いました。」
ささき「音楽で言えば、僕らの古いタイプの歌を子どもたちが聴いた時にどう受け取ってくれるかですよね。子どもたちって、古い新しいはあまり関係がありません。感覚的に取り入れてくれるのか拒絶されるのか分かりませんから、楽しみと言えば楽しみだし怖いと言えば怖いし…」
堀江「私が思うに、テンポ感だけだと思います。今の音楽はけっこう早いじゃないですか?だから若い人がこれをどう感じるのかな?って。」
お二人とも苦労があったようだが、パワフルな歌唱の様子からはそんなことは微塵も感じられなかった。
歴史を重ねた超ベテランの圧倒的大迫力!番組メイキングのカメラもあれば良かったのに…でもスタジオで感じる振動?波動?圧迫?何とも言えないその体験を映像で伝えるのは至難の業だな、としみじみ思った。
「全開合体!ジュラガオーン」
作詩/マイクスギヤマ
作曲/渡辺宙明
編曲/大石憲一郎
歌/ささきいさお、堀江美都子
この歌は4月7日に日本コロムビアより発売された『機界戦隊ゼンカイジャー 主題歌』【通常盤】(COCC-17865)と【全力全開!盤】(COCC-17864)に収録。【全力全開!盤】には「センタイギア01ゴレンジャー スーパーレッドVer.」と「スーパー戦隊シリーズ45作品記念OP主題歌TVサイズ集」という全力全開な特典も同梱。構成:チバ!(スタヂオ・ジンプ!)
商品情報
- 2021/04/07発売
- 機界戦隊ゼンカイジャー 主題歌【全力全開!盤】
- COCC-17864
¥3,300 (税抜価格 ¥3,000)
- 2021/04/07発売
- 機界戦隊ゼンカイジャー 主題歌【通常盤】
- COCC-17865
¥1,320 (税抜価格 ¥1,200)