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和見スコープ』のプリ・プロダクションを、プロデューサーの棚谷祐一(元カーネーション)を招いて行ったのもここ“マザー・シップ”だったという。

「今回は結構いろんなタイプの曲があったんで、それをちゃんとまとめないとバラけてしまうなあというのは意識していましたね。ただ、僕的には全曲“キラー・チューン”なんですよ(笑)」(新村)
「これまでってライヴで気持ち良くなるってことを考えてやってきていたんですけど、今回はそれとは別にスタジオ・アルバムをしっかり作ろうって感じで挑みました。でも、最終的にはライヴ感みたいなものを出せるようにはしたかな」(横山道明)
「そういう意味では棚谷さんの存在は大きかったですね。第三者的に俯瞰した目でアドバイスしてくれましたから」(丸山桂)

 ごく初期にはミーターズやジェイムズ・ブラウンのカヴァーをやっていたこともあるというCHAINS。だが、結成して約10年。本格的に活動を展開するようになって5年たった今、彼らのグルーヴ・ロックはCHAINSとしか言いようのないほどゆるく激しくドロリと流れている。オーティス・ラッシュになりたかった新村敦史は、今、どうしようもなく新村敦史としてここにいる。ジミー・ペイジが好きな横山も、ダニー・ハザウェイやビル・ペインに影響を受けたという丸山も、今はどうしようもなくCHAINSであり続けている。

「好きなのはトニー・ウィリアムスとかJB’Sのドラマーとか。でも、それを真似しているわけではないですね」(伊藤拓史)
「バンド全員に確かにあるんです。でも、それを単に真似ても説得力ないと思うし、個性にはならないんですよ。CHAINSに入って一番それを学びましたね。CHAINSってみんな個人の趣味がそのまま出ているわけじゃないんです。でも、そこがいいんじゃないですかね」(ラリー藤本)

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「僕も一度挫折しているんですよ。コピーして真似てみて、あ、ダメだって(笑)。そこから始まったのがCHAINSなんです」(新村)

 そう、CHAINSという名のグルーヴ・ロックは、今日もゆるく激しくドロリと流れる。『日和見スコープ』という、彼らにとって3作目となるこのアルバムは、その黒くビターなグルーヴの流れが続いていることを確かに告げているのだ。


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