「松山千春・転の時代」の基盤を作り上げたアルバムで、アコースティックな音造りへのこだわりが随所に見られる一枚。特に、バラード系の作品の充実には眼を見張るものがある。「Only You」、「今、失われたものを求めて」は共に、松山千春ならではの歌唱力に注目が寄せられた。服部克久の編曲による「電話」は、特に心に響く作品となった。メロディーメーカー松山千春の健在ぶりを示したそれは、後にシングル・カットされることになった。森進一に楽曲提供した「待たせたね」をこのアルバムで取り上げたことも大きな話題を読んだ。「ひと夏の恋」、「悪い夢」など、この頃の松山千春のサウンドに対する指向も興味深いものがある。
(解説文より)