メロディーメーカーとしての才能と、ヴォーカリストとしての表現力に溢れた作品。ここでは、シングルとしても注目を集めた「七つちがい」に代表される、飾らないラブソング、いわば「素顔のラブ・ストーリー」が展開されている。穏やかにして伸びやかな作品群は実に心地良い。松山千春の数多くのアルバムの中にあっては、ポップな色彩が際立つ一枚といえる。タイトル作品となった「あなただけの季節」は、野村証券のイメージソングとしてブラウン管に登場。そのスケール豊かなサウンドとナチュラルな歌声が全国に響いた。また、「重い鎖」のようなメッセージ色の強い作品も、音造りの面で見ると、それまでとは違った試みを見せている。それは、聴くものを楽しませるといった要素に他ならない。たとえば、大人の恋を意識した「恋のゆくえ」。この作品では、妖しい心の動きが伝わるようだ。
(解説文より)