1.七段目(しちだんめ)
2019年8月16日 日本橋社会教育会館「人形町噺し問屋 その88」より *21分46秒
芝居好きの若旦那は今日も芝居三昧、大店の主である大旦那はこれに小言を言おうと待ち構えている。帰ってきた若旦那はその小言に歌舞伎のセリフで答えてゆくが、これにすっかりあきれた大旦那、お前は二階で静かにしていろと二階にあげてしまう。
一人になった若旦那はまたここで芝居の真似事を始めるのだ。怒った大旦那は小僧の定吉に二階のバカを止めてこいと言われ、定吉が行くと一人芝居の真っ最中、実は芝居好きの定吉も若旦那に誘われ一緒になって芝居を始める。
場は「忠臣蔵・七段目」、お軽と平右衛門の場面、熱の入った若旦那は本物の刀を振り廻し、危うく定吉は斬られそうに、おかげで階段から落ちてしまう。
兼好は芝居のセリフ回しもうまい、この公演では生の三味線も入りより臨場感が出ている。
2.お菊の皿(おきくのさら)
2019年8月30日 東神奈川・かなっくホール「ごらくハマ寄席」より *27分52秒
冒頭では絶世の美人であるお菊が青山鉄山に殺され怨みを持って幽霊になり、いまだにその殺されるきっかけとなった皿の数を数えているという物語がせつせつと語られてゆく。まるで講談の語り物であるかような運びだが、これが実はご隠居が町内の若い者に物語っていたという設定で、突然明るい落語に展開してゆくのだ。
そこで今でもその番町にある皿屋敷ではお菊さんが出てさらの数を数えると聞いて、お調子者の江戸っ子連中はその日の深夜、お菊さんを見に出かけた。すると本当に出てきたのだ。
これがあまりにも美人幽霊なので明日の晩も見に行こう、その翌日もと回を重ねて行くと、噂を聞きつけたものが増えて行き、とうとうお菊さんが人気者になってしまう。
バカバカしいのは落語の常だが、これほどバカバカしくまた楽しい落語もない。兼好師の演じる明るい幽霊に爆笑は必ず起きるのだ。
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どんな噺も楽しすぎる三遊亭兼好最新盤は、芝居好きの若旦那、歌舞伎のセリフがピシリと決まる「七段目」と、因縁話の凄さと人気の出ちゃう幽霊とのギャップに爆笑の「お菊の皿」だ!
人形町噺し問屋…
東京、人形町の社会教育会館で月に1回行われていた三遊亭兼好が主催する独演会の名称。会場の改修等の都合により深川江戸資料館で行った会は「深川噺し問屋」と呼称した。2016年8月からは会場を人形町・日本橋公会堂に変更し同じく「人形町噺し問屋」として続けている。