菜っ葉の一束さえ気軽に買えない世の中にキリンジが問う。
文明を享受してきたひとりの人間として、
自戒も込めて制作したメッセージソングが完成!
[新曲「祈れ呪うな」について] − キリンジ 堀込高樹 −
菜っ葉の一束さえ気軽に買えない世の中になってしまいましたね。
福島原発の事故の日以来、政府や東電への腹立ちと自分がこれまで原子力発電の危うさを知っていながら「まあ大丈夫じゃないかな」と高を括ってきたことへの後ろめたさ、世の子供達への申し訳ないという気持ち、これらが混じり合った嫌な感情が大きくなったり小さくなったりしながら、何時も心のどこかにあります。
原発の話題を扱うメディアで“神の火”とか“触らぬ神に祟りなし”とか“安全神話”とか、“神”という字をしばしば目にします。
果たしてあれが神なのか悪魔なのか、責任が誰にあるのか、正しい情報はどれなのか等、やいのやいの言ったところで、事故というヘヴィな現実の前にはそういった議論が言葉の遊びのように感じられてしまう。
一方で「福島原発事故の行方は現場の作業員の人々の働きに懸かっているのだから、こうして馬鹿一人が気を揉んでいても、どうにもならないではないか。ならば、自分は彼の人々の無事と事故の収束を祈るより他ない、誰かを呪って精神の衛生を崩すようなことはやめよう」というようなことを考えたりもします。そういうわけで、自戒も込めたこんな曲が出来ました。
長々と御託を並べましたが、こちらサウンドのほうは、謎のエスニックムードを漂わせつつ、力強いシャッフル・ビートにギター(いつもよりキビしめに歪ませております)が絡む古臭ロックとなっております!