熊木夕茉(ソプラノ)
山田和樹(ピアノ)
水谷晃(ヴァイオリン:島へ)
録音:2025年6月25〜27日 タカギクラヴィア松濤サロン
2026年、武満徹の没後30年に、その「うた」の新たな姿を届ける一枚。
世界的な現代音楽の作曲家として知られる武満徹が、生涯にわたって書きつづけたのが、シャンソンやジャズ、歌謡曲の香りをまとった歌曲の数々でした。谷川俊太郎、荒木一郎、秋山邦晴ら、日本を代表する言葉の担い手による詩と結びついたこれらの作品は、ジャンルを超えて今なお歌い継がれています。しかしながら、クラシックのソプラノがフルアルバムとして録音した例は、これまでありませんでした。本作は、その未開拓の領域に正面から挑んだ、初めての一枚です。
歌うのは、新世代のソプラノ、熊木夕茉。
コロラトゥーラ・ソプラノとしての輝かしい声とテクニックを持ちながら、魅力的な地声と、さまざまなジャンルの音楽の本質に直感的に迫るセンスを兼ね備えた、まさに新時代の歌い手です。指揮者・原田慶太楼がオペラのオーディションでその才能に驚き、山田和樹に紹介。彼もその声に惚れ込みました。現在はミラノで研鑽を積みながら、東京交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会にソリストとして招かれるなど、活躍の場を広げています。そのデビュー盤を支えるのは、山田和樹自身のニュアンスの豊かなピアノです。世界の第一線で活躍する指揮者でありながら、自身のキャリアで初めて、一枚を通して全16曲の伴奏を務めました。
「小さな空」「翼」「死んだ男の残したものは」をはじめとする全16曲。シャンソンの抒情、ジャズの和声、クラシカルな構築性——いくつもの表情を併せ持つ武満の歌曲に、クラシックの発声と解釈で向き合います。歌とピアノだけの親密な編成だからこそ、言葉の息づかい、旋律の陰影、そして沈黙までもが鮮やかに立ち上がります。日常にそっと寄り添う温度と、時代を超えて響く普遍性を、熊木夕茉の声が伝えてくれる一枚です。
山田和樹(ピアノ) Kazuki Yamada, piano
2009年ブザンソン国際指揮者コンクール優勝。2012/2013シーズンから6年間、スイス・ロマンド管弦楽団首席客演指揮者、2016/2017シーズンから10年間、モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団芸術監督兼音楽監督を務めるほか、2023年4月からバーミンガム市交響楽団首席指揮者兼アーティスティックアドバイザー、のち翌年5月同団音楽監督に就任。2026/2027シーズンよりベルリン・ドイツ交響楽団首席指揮者兼芸術監督を務める。
近年、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン交響楽団等にもデビュー。日本では、横浜シンフォニエッタ音楽監督、東京混声合唱団音楽監督兼理事長としても活動し、2026年4月には東京芸術劇場音楽部門芸術監督に就任した。東京藝術大学指揮科で松尾葉子・小林研一郎の両氏に師事。令和7年(2025年)度芸術選奨文部科学大臣賞など国内外での受賞多数。
水谷 晃(ヴァイオリン) Akira Mizutani, violin
大分市生まれ。桐朋学園大学を首席で卒業。第57回ミュンヘン国際音楽コンクール弦楽四重奏部門で第三位入賞。2010年4月、群馬交響楽団コンサートマスターに就任(国内最年少)。2013年4月〜2023年3月まで東京交響楽団コンサートマスター。10年間の在団中、音楽監督ジョナサン・ノット氏指揮での「英雄の生涯」を含む多数のCDが発売。現在、東京都交響楽団コンサートマスターとオーケストラ・アンサンブル金沢客員コンサートマスターを兼任。ゆふいん音楽祭音楽監督。桐朋学園大学講師。
■高音質CD「UHQCD」
