日本一の歓楽街に響く爆音と渦巻く熱狂!
メジャー1stフルアルバム『PK shampoo.log』をリリースしたPK shampooが、新宿・歌舞伎町タワー前に位置する歌舞伎町シネシティ広場にてフリーライブを開催した。かつてはアルタ前でのゲリラライブなども行われ、多くのロックバンドが伝説を残してきた新宿の地に、PK shampooが新たな歴史を刻む。
2年前に歌舞伎町タワーがオープンして、すっかり形相を変えた歌舞伎町の街だが。脈々と受け継がれる、いかがわしさや混沌とした雰囲気はいまだ健在。そんな歌舞伎町のど真ん中で行われた、この日のフリーライブ。歌舞伎町タワーがギラギラ輝き、新宿東宝タワーのゴジラが睨みをきかせて。外国人観光客やコンカフェの呼び込みがわらわらと行き交う混沌とした街のど真ん中に、異質ともいえるステージトラックが鎮座まします。
PK shampooがXで、新宿でのフリーライブの開催を予告したのが2日前。そして、『PK shampoo.log』発売記念フリーライブの詳細を発表したのが当日という強行開催にも関わらず、会場には2,500人の観客が集結。開場時間となり、会場を埋め尽くす観客がトラックステージを囲んで。開演BGMの「ボレロ」が流れると、歌舞伎町を従来する人々も、そのただならぬ雰囲気に足を止めて動向を見守る。開演予告の19時20分を少し過ぎたころ、音楽が入場SEの「激闘!チャンピオン」に変わると、大歓声に包まれてハイテンションでステージに登場した4人。さぁ、伝説の幕開けだ。
「タダやからって、わらわらと集まってきやがって!」と、憎まれ口を叩くヤマトパンクス(Vo&Gt)がニヤリと笑い、「PK shampooです。」と挨拶して始まった1曲目は最新アルバム『PK shampoo.log』収録の「落空」。夕刻によく似合うオレンジの照明に照らされ、福島カイト(Gt)のメロウなギターとヤマトの感傷的な歌声が紡ぐのは、夏の終わりのセンチな恋物語。意外性のあるOPで始まったステージを食い入るように観る観客だったが、カズキ(Dr)とニシオカケンタロウ(Ba)の心地よいビートで楽曲がテンポアップすると、会場中が両手を上げて身体を揺らす。日中の暑さもすっかり引けて、涼しい風が吹き抜ける抜群の気候と抜群にマッチした楽曲が、心にスーッと入り込んでくるのが分かる。

続いては、<西武新宿、死のうと思った>と、この日のために用意されたような歌い出しに歓声が起きた「S区宗教音楽公論」。強く祈るように願うように歌うヤマトの絶唱と、感情や楽曲世界を激しく丁寧に描く演奏。それらが歌舞伎町の雑多な風景や観客の熱狂と混じり合い生まれる光景が、なんとも美しい。完全に自身の空気を作り、環境や状況を味方にしたPK shampoo。「高いところからすみません。 オイラ、こんな高いところから落ちたら、天使になるかもしれない」と、ヤマトがビートたけしのものまねで曲紹介して始まった曲は「天使になるかもしれない」。
カズキのカウントから、衝動的かつ攻撃的なサウンドで楽曲が始まるや、熱い拳と強烈な熱気が上がる会場。「おい新宿! ちょっとおとなしいんじゃないですか?」と煽るヤマトに怒号のような雄叫びが上がると、観客がさらなる盛り上がりを見せる。<天使になるかもしれない>の大合唱とクラップからヤマトが観客の波に飛び込むと、会場はカオス状態。そこからどうなったのかはもうあやふや。ただ、歌舞伎町のど真ん中に爆音が響き、熱狂が渦巻いて、新宿の地にロックの新たな歴史が刻まれたその瞬間を、僕は見逃さなかった。
興奮冷めやらぬ中、ギターイントロに歓声が上がった「君が望む永遠」と続き、美しく壮大な演奏とエモーショナルな歌声で魅了。さらに「もう一個、新曲やっていいですか?」と始まった曲は最新アルバムのリード曲であり、最新型のPK shampooをひとつ象徴する曲である「旧世界紀行」。強靭なバンドサウンドに乗せて、歌舞伎町の夜空にどこまでも広がっていくメロディと伸びやかな歌声。最新型のPK shampoo、本当に素晴らしかった。そして、この曲をライブで初めて観れたのがこの日で良かった。
そして、高ぶる感情をダイレクトにぶつけた「天王寺減衰曲線」のアグレッシブなステージングでフリーライブは終演……の予定だったのだが。このままで終われない空気を察したのか、「もう一曲やっていいですか?」と延長線へ突入。たっぷり感情を込めた歌と演奏で「夜間通用口」を熱演すると、「最後の曲です、僕に40秒だけもらっていいですか?」と「あきらめのすべて」が始まる。再びフィールドに飛び込み、観客の輪の中でもみくちゃになりながら絶唱するヤマトとシンガロングする観客。会場中の心と身体がひとつになり、シンクロ率は最高潮。混沌や平和や希望や共存や発狂や興奮や感動といった、様々な感情がぐちゃぐちゃに入り交じる美しすぎる光景を生み、8曲30分弱のライブは終演。PK shampooだけじゃない、そこにいる全ての人が作り上げた伝説の一夜となった。
また、最後のMCでは8月31日(日)に歌舞伎町タワー内にあるZepp Shinjuku (TOKYO)で、アルバムのリリースを記念した全国ツアー『PK shampoo Tour 2025 -Login to PK shampoo-』のファイナル公演を行うことを告知した。さらに11月15日(土)に、新宿・歌舞伎町エリアにて
『PK shampoo presents 「PSYCHIC FES 2025」』を開催することも発表。渾身のアルバムを引っ提げて、歌舞伎町から全国へと展開していくPK shampooの夏物語はまだ始まったばかり。PK shampooと心中する覚悟で、夏に起こることのすべてを見届けよ!
TEXT/フジジュン(FUJIJUN WORKS)
