冨田勲が70〜80年代に世に送り出した傑作シンセサイザー作品を再構成&サラウンド化するISAO TOMITAプロジェクトの最新作。宮沢賢治の作品世界を音で描いた「イーハトーヴ交響曲」により明るみになった冨田の賢治への思慕が、今回のアルバムにも深く刻印されている。「賢治最愛の妹トシから賢治にあてた架空の手紙」を表象したという「オホーツク幻想」が収録されているのと共に、トミタのシンセサイザーによる最も初期の作品である「銀河鉄道の夜」が収録されている。当時の価格で1000万円したというMOOGシンセサイザーを入手し、手探りで操作方法を模索しながら音を作り出した、まさに最初期に作られた貴重な音源だという。
さらに、80年代にリリースされた人気作「マ・メールロワ」や「亡き王女のためのパヴァーヌ」なども、サラウンド化され、今回のアルバムに収録されることにより、賢治の世界と呼応しながらまた別の様相を呈し、まさに“エレクトロニクス賢治”とも言える音世界が展開される。
ジャケットワークは、DOMMUNEの主宰であり、冨田勲をたびたび番組やフェスに起用し再評価のけん引役となっている宇川直宏が、冨田と対話を重ねながら作り上げた。冨田は今回の音楽のイメージをこう語る。「賢治は、北へ行けばトシの魂に会えると、樺太の日本最北の地まで樺太鉄道に乗って行った。賢治にはオホーツクの海はあまりにも広大だった」。このイメージに着想を得て作り上げた今回のジャケットを見て、冨田は「“銀河鉄道”は更に見たことのない遠くの世界へ行こうとしています」と感慨を込めて語った。
★収録内容は
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