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1.浮世床 2017/8/14 成城ホール「rakugobook桃月庵白酒いいね!」より
江戸時代の床屋は単に髪を結ったり髭をそったりという機能とは別に、待合所の奥座敷が現代で言う若者のたまり場的な働きをしていたものだ。
今日も時間を持て余した町内の若い者が集まっては暇をつぶしている。
ひとりの男が将棋をやろうと持ち掛けると別の男が相手に始まるのだが、ヘボ将棋同志なのでしまいには両方とも王様がいなくなってしまった。どうしてないのかと訊くと、さっき王手飛車取りって指したらお前そうはいくかって飛車が逃げたろ、だから王様取ったんだとまるで将棋にならない。
そうかと思うとこちらでは本を読んでいる奴がいる。「太閤記」の“姉川の合戦”の場面だというので、みんな退屈してるからお前その本を読んでみんなに聞かせてくれとひとりが頼んでみた。するといや俺が読むと早すぎてわからないからといい加減な理由でなかなか読まない。それでも何とか読み始めたら、これがたどたどしくてまったくだめだ。眞柄十郎左衛門と本多平八郎の一騎打ちの場面なのだが要領を得ない。
白酒の描くこの「太閤記」の読み手のデフォルメが特徴的で楽しい。
2.木乃伊取り 2017/8/14 成城ホール「rakugobook桃月庵白酒いいね!」より
落語に出てくる大店の若旦那というものは大体において遊び好きである。結局そのあげくに勘当されて出入りの職人のうちに居候をして、湯屋や紙屑屋に奉公に行ったり、または出入りの船宿で船頭になったり、はたまた叔父さんに助けられ唐茄子屋になったりする。
この噺の若旦那も例にもれず、商売の売り掛けを取り行った帰りに吉原のどこかの店に入ったきりで帰ってこない。若旦那の居続けている店を「角海老」だと突き止めた大旦那は番頭を迎えに行かせたが、これも行ったきりで帰ってこない。そこで今度は出入りの棟梁を迎えに行かせてみたのだがこれもまた帰ってこないのである。ほとほと困り果てた大旦那のところへ飯炊きの清三が「おらが行くべ」と名乗りをあげた。武骨で田舎者の清三が行けば何とかなるだろうと最後ののぞみをかけて行かせてみる。するとこの男はやはりその質実剛健ぶりに説得され若旦那もわかったから帰ると言い出した。じゃあ最後に酒をぐいと飲んで閉めにしようと清三のそばに女がつき酌をされているうちに清三もなんだかあやしくなってくるが…。
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白酒の爆笑噺、うれしい充実の2席!!