Disc-1 「Future Listening!」
1.I Want To Relax, Please!
2.Technova (La Em Copacabana)
3.Batucada
4.Luv Connection
5.Meditation!
6.Raga Musgo
7.Son Of Bambi (Walk Tuff)
8.La Douce Vie (Amai Seikatsu)
9.Obrigado
10.Dubnova (Part 1&2)
Disc-2 「Future Recall3」
1.Technova - Opaz Flying High Remix Ver.3 (未発表ヴァージョン)
2.Luv Connection - Towa's Dizzy Vibe (from Future Recall !)
3.Batucada - Soul Central Remix (新リミックス)
4.Luv Connection - Soul Central Classic Mix (新リミックス)
5.Meditation! - instrumental version (未発表ヴァージョン)
6.Dubnova - More Rockers Remix (未発表ヴァージョン)
7.Batucada - Phill's Batucada Club Remix (from Future Recall !)
8.Luv Connection - Masters At Work Dub (from Future Recall2)
9.Technova - Drumagick Remix (新リミックス)
10.Amai Seikatsu - instrumental version (未発表ヴァージョン)
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「Future Listening!」とボーナス・アルバム「Future Recall3」からなる2枚組!
94年に発売された、テイ・トウワ初のソロ名義でのアルバム、「Future Listening!」。代表曲「Techonova」を始めとして、現在でもクラブで流され続けている「Luv Connection」なども収録されていながら、現在、廃盤となっているあの名盤を、YMO一連の作品も手掛けるAST MASTERING STUDIOSのエンジニア小池光夫氏によってリマスタリング。
それに加えて、当時発売された2枚のリミックスアルバム「Future Recall」と「Future Recall 2」の中から本人が厳選したリミックス曲と、現在クラブシーンで注目のアーティスト達が手掛ける「TECHNOVA」「LUV CONNECTION」の新リミックス曲も新たに収録し、豪華2枚組でのリリース。94年当時からみて、まさに未来にあたるアニヴァーサリーイヤー・2007年、テイ・トウワのコアファンはもちろん、全クラブミュージックファン必聴の内容です!
〜INTRODUCTION〜
『Future Listening!』では、ダンスミュージックという枠も外して、なんでもアリの“音楽”をつくりたかった。
TOWA TEI(以下、TT)「今って、情報も含め、いろいろな意味で飽和点に来ているんだと思うんです。
単に比喩的な意味でスピードが増したというより、次元を俯瞰した、概念としての時間が絶対的に早くなってるようなね。20年前の24時間と今の24時間では絶対的に密度が違うと感じる……。そんなことを考えていたら、今年は僕のDJデビュー20周年だった。去年の年末に気づ
いたんですけど(笑)。そうした時間の流れのなかで、なぜか埋もれてしまっていた作品が『Future Listening!』だったんです」
ミュージックシーンにおける公式なテイ・トウワのデビューは、世界中のシーンを瞬く間に席巻 したデビューシングル『GROOVE IS IN THE HEART』で彗星の如く現れたディー・ライトのメンバーとしてである。しかし、東京からNYへ単身で渡り、マッドなNYクラブシーンの中で揉まれ、身につけていったサウンドクリエイターとしての才能が本当の意味で開花するのは、この『Future Listening!』ではないだろうか。
TT「20年前、NYの僕は、いわゆる“街の人気DJ”って感じだったのかな。例えばヒップなクラブのオープニングとかに必ず呼ばれる感じ。で、DJと並行してディー・ライトとしても活動をしていて。こっちもまだメジャー契約前だったけれど、NYでは口コミでウワサが広まっていたんですよね。つまり、こっちはこっちで“街の人気バンド”って感じでしたね。当時、ディーライトと同じ状況にあったのがジャングル・ブラザーズとかア・トライブ・コールド・クエストといったネイティブタンの連中で、よく対バンというか同じショーにブッキングされてました。そんなつながりで、ジャンブラのレコーディングに呼ばれて、スタジオでループ作ってあげたりしてましたね。で、Q-TIPを紹介されたりね。Q-TIPと一緒にレコード掘りにいったりしてました。……まあ、彼らかすると、いろんな意味で“使える”プログラマーだったんでしょう。利用されたというか(笑)。ただ、そのときのプロダクションワークで、0.1秒単位のビート感、グルーヴ感みたいなのを身に付けた気がします」
ネイティブタンのクルーとの交流をはじめ、NYのアンダーグラウンドシーンでの音楽漬けの生活になんの不満も疑問も感じていなかったテイは、ディー・ライトの大ヒットで、逆に進むべき道を見失いかける。
TT「ディーライトは、デビューしてから、思った以上に早い展開でブレイクして、周りで起こることが、自分でコントロールできないものになってしまった。それで
『ちょっと辛いな』って感じる部分も出てきて。それに加えてメンバーの他の2人(レディ・ミス・キアーとディミトリー・ダディー・O)は、僕とは違う方向の音楽
性、要はレイブなんだけれど、そっちにどんどん進んでいった。その一方、当時の僕は正反対のジャズセクションとかボサノヴァとか、いわゆるイージーリスニングのレコードを掘りまくっていたんですよ。そんな気分を反映させたディー・ライト用のデモを作ったりもしてたんですが、メンバーにはあまり受け入れてもらえなかったんですよね、やっぱり。実はそのデモの中に(『Future Listening!』収録の)『TECHNOVA』もあったんですけどね」
ディーライトのメンバーとしてあまりに早く掴んだ成功により、逆に、自分のキャリアの方向性に疑問を持ちはじめたテイであったが、東京の友人たちとの交流の中から次第に次なる道を見いだし始める。『Future Listening!』の斬新なコンセプトは、まさにそうした状況で作られていった。
TT「当時、ディー・ライトへのモチベーションがどんどん下がっていくんだけど、ソロで作品を出すという発想は自分には無かったんですね。というか、何も先のことを考えてなかった(笑)。そこで、僕のケツを叩いてくれたのは教授 (坂本龍一)だったんです。教授のレーベルに誘われたことで、制作を決意したところもあります。もうひとつは、僕の音楽性はその時点ではNYより東京での方が受け入れられる気がしていた。イージーリスニング的な音楽への再発見という意味で、東京のシーンとのシンクロニシティが自信になっていたんです。『Future Listening!』がリリースされたときはまだNYに住んでいて、当時は東京とNYを行ったり来たりの生活をしていたんですけれど、面白いと感じていたのは断然、東京だった。その時点での僕のアーティストとしてのキャリアはすべてNYで培ったものだったわけだけれど、やっぱり、育ちは東京。そうした引いた視点と寄った視点の両方で東京を見れたことも大きかったのかもしれない」
TT「僕のDJスタイルは最初から、何でもアリでディー・ライトもなんでもアリのダンスミュージックだった。けれど、『Future Listening!』では、ダンスミュージッ
クという枠も外して、何でもアリの“音楽”をつくりたかった。多分それが新しいダンスミュージック、クラブミュージックになる、と直感的に思ってたんですね。自分の部屋のターンテーブルでフェーダーを真ん中において、シタールの教則レコードとアシッドハウスをかける。ボサノヴァとタバコの止め方のナレーションをハーフフェイドにして同時にかけっぱなしにする。僕は当たり前にやっていたけれど、でも何か足りない。この感覚を進めた先にあるものを、もっとコンテンポラリーなものを、と思って作ったのが 『Future Listening!』だったんです」
東京とNYを行き来するなかで、独特の視点を身につけたテイは、94年、誰もまだ聴いたことない未来の音楽、永遠に辿り着かないイマジナリーな未来から流れ出る音楽を完成させる。もちろん、それが『Future Listening!』であることはいうまでもない。
honeyee.com TETSUYA SUZUKI