――NAOKIさん、本当に饒舌ですよねえ。 古市 「凄いよ。この間、緊急ナイト(註:古市とクハラカズユキ/The Birthday)らが定期的に行っているイベント」に弾き語りで出てもらったんだけど、もう〈弾き喋り〉だよ(笑)。弾き語りでサザン唄いながらモノマネするヤツ、初めて見た」 NAOKI 「はははは。何でもやるよ(笑)。弾き語りは4年前、Ustreamでやってる番組の最後に〈フォークソング部〉ってコーナーを作ったのが始まりでね。やってたら何か知らんけど、ライヴにお声がかかるようになって。その2回目が〈風とロック〉の野外イベント!」 加藤 「いきなりだねえ(笑)」 NAOKI 「最初はビビッたよ。それも野外のフォーク・ステージのトリよ? ちょっと待て! スネオヘアーとかストレイテナーとかいるやんか! 何で人前で弾き語り2回目の俺がトリやねん! だから責任も重大やし、盛り上げにゃ男がすたると思って、会場が福島県やから、地元出身の西田敏行の〈もしもピアノが弾けたなら〉唄って、絶対に俺のこと知らんような客とコールアンドレスポンス。でも、あの一発で度胸ついたね。〈あ、もうこれはやるしかないな〉って」 ――ぜひこの3人でトークライヴやって欲しいですよね。 NAOKI 「いやぁ、トークライヴは真鍋(註:Mr.PAN/ザ・ニートビーツ)に任したほうがええよ(笑)」 加藤 「確かにあれは面白い。敵わないよね」 NAOKI 「だってアイツら、自分らのライヴよりトークライブの方がチケット売れる(笑)伝説のバンドやからね」 ――そんなNAOKIさんのSAは、1月、遂にメジャーデビューを果たしたわけですけど。 NAOKI 「史上最遅のメジャーデビューよ(笑)。TAISEIが高校生で始めて31年。こんな遅れてきた新人、おらへん(笑)。個人的には通算5度目のメジャーデビュー」 加藤 「それも凄いよね。みんなメジャー経験者なの?」 NAOKI 「ドラムだけ初めて。だから親がすごい喜んでるみたいよ。うちのドラムの家庭って、皇族から年賀状が来るような家柄なんよ。3人兄弟で、長男が博士、次男が建築系の偉い人、三男パンクス(笑)。だから親はパンクやることにずっと反対してたらしいんだけど、野音見たら気が変わったって(笑)。おまけにテイチクからメジャーデビューってなって、今や応援してるって」 加藤 「帝国蓄音機商会からデビューだからねぇ!」 NAOKI 「前川清や石川さゆりと同じレコード会社って言ったら、そりゃ親は喜ぶわ(笑)」 ――今が一番調子いいですもんね。野音も立ち見までパンパンでしたし。 古市 「俺観に行って、ライヴ後の挨拶、凄く待たされたからね。増子(註:増子直純/怒髪天)が『コータローさん、これは何を待たされてるの?』って聞いてきて(笑)」 ――野音の売店、アルコール売り切れて、そこら中に泥酔してる人がいるし(笑)。 NAOKI 「嬉しかったっすね。でもコレクターズの方が凄いでしょ。加藤さんとコータローさんって、もう30年近く一緒に、それもコレクターズってバンド名を背負って、ずっと続けてるわけでしょ?」 加藤 「それは前も言ったけど、売れてないから、意地になってるんだよ。絶対に売れて、調子に乗ってやる!って(笑)」 古市 「ZIGGYみたいに(笑)」 NAOKI 「実際SAも14年、今のメンバーでずっとやってきて、もう調子に乗る時期は来ないんだろうって思ってたの。でもぶっちゃけ、俺達にも出来るはずだと思って、現状に風穴空けるつもりで、めっちゃバクチで野音やることに決めたんですよ。一年前に抽選が当たって『野音取れてもうた……どないする?』ってとこから始まって、1年かけて3本全国ツアーやって。日本中で『お前ら、男見せてくれよー!』『頼む、俺らを男にしてくれ!』って言い続けて。そしたら最初はチケットが伸びなくて、ヤベえ!と思ってたのが、ひと月前くらいからチケットが伸び始めて。それでフタ開けてみたら、1週間前くらいにチケットがソールドアウトして、追加席を出すって聞いて、ヨッシャあぁぁぁぁ!ってテンション上がりまくって、そのままジム行って走りこんだ(笑)」 古市 「気持ちはわかる(笑)。俺らくらいの歳になると、そこが気になるからね」 NAOKI 「あとは天気ね! こればっかりはどうしようもないから、毎日週間予報を見るようになって。そしたら前日まで、ずーっと雨マーク。〈今年の梅雨は珍しく長い模様です〉って予報聞いて、当日の11日、最っ高のピーカンになって! 最高だったわ」 ――達成感があったと。 NAOKI 「感動した。あの時の景色は最高。でもライブ自体の出来は、俺の中で点数つけたら、まだ70点もいかないですよ。だからまだ次にやり残してることあるなと思って。だからまた野音やりたいしね」 ――コレクターズも野音が控えてますね。 加藤 「そうね、4月ね」 古市 「これも天気だけだよ」 加藤 「ほんと野音は天気だよねぇ。20周年の時の野音はね、急に雨降ったんだよ。始まる10分前に。それまではなんとか持ってたのに」 古市 「その次の25周年の時は良かったね」 NAOKI 「5年刻みで野音やるん?」 加藤 「たまたまね。20周年の時やってみたら良かったんで、じゃあ25周年もやろうよ、ってなって。で30周年の今年も、いろんな流れの中で、ここで演っておこうってなって」 NAOKI 「ただの通過点じゃなくて、もっと調子に乗るきっかけにしたいですよね」 古市 「そう、きっかけだよ。これで満足、とかなっちゃうと終わっちゃうからさ。次の波に乗るためのきっかけだよね」 加藤 「俺らも男にしてもらってさ。調子に乗ってみたいよ(笑)」 NAOKI 「でもコレクターズも俺らも、何年までやりよるやろね」 古市 「今さら他に仕事できないしねぇ」 NAOKI 「ほんとね、いつまで転がり続けるんだろう、ロールし続けるんだろう、って思うね。お互いそろそろ、お客さん用に医療室とか必要そうやもんね(笑)」 加藤 「もう俺らのほうが必要になってくるよ(笑)。酸素吸入器とか、医者が袖で控えてるとか、2部構成になるとか、椅子に座るとかオムツ代えるとか(笑)。世界的にそうなってきてるんじゃない? ローリング・ストーンズがあの調子でやってるんだからさ」 ――ミック・ジャガー(72歳)ですからね。 NAOKI 「恐ろしい時代が来たよ(笑)。でもね、80年代にデビューしたヤツらはとっくに引退してるし、コレクターズみたいに今もこうしてやってる人、その中でもう一割もいないと思うねん。それくらい淘汰されてるはず。そもそも自分もここまでやってるとは思わへんかったしね。でも、もうやることねぇなと思っても、やればやるほど曲は出来ちゃうし、ライヴへのモチベーションは未だ健在だし、スキルは上がるし。だから問題は、滅び行く肉体とどう向き合うかだけなんだよね」 加藤 「確かにそうだよねぇ。あと頭髪ね(笑)。ここは3人とも、偽装はなさそうだしねえ」 ――偽装どころかNAOKIさんの頭、未だに立ってますもんね。 古市 「あれ、被ってるんでしょ(笑)」 NAOKI 「そうそうそう、ライヴ前にカパッと……って、なんでやねん(笑)。あれは褒めてほしいわ。俺、あのヘアスタイルのまんまで園遊会に招かれたいねん。勲章貰って『あなたの髪は良く立ってますねえ、凄いですねえ』って言われたいねん!」 加藤 「ちょっと触ってもらったりしてね(笑)」 NAOKI 「そうそうそう(笑)。それに俺、髪立てるの年々うまくなっていってるからね。未だに精度が上がってるんですよ。日々研究してますからね。ライヴ終わって、ちょっとでも崩れてたら、凄い悔しくて。『チキショー、何で崩れたんや!』って」 古市 「演奏じゃなくてそっちなんだ(笑)」 |
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