加藤 「MOBYは、すげえ歳の差あるんだけど、それを感じないんだよね」 MOBY 「老けてるのか若いのかわかりませんけど(笑)」 加藤 「いやいや、気の合うミュージシャンっていうのは、10歳とか15 歳とか歳の差はあんまり感じないんだって。あと俺たちの世代の時は、歳上のミュージシャンはみんなおっかなかったよね、コータローくん」 古市 「怖かった」 MOBY 「だいたい接することのできるミュージシャンで、いちばん上は加藤さんですから。加藤さんより上の方は……」 加藤 「もう死んでるから(笑)」 MOBY 「いやいや、もうリビングレジェンドですよ(笑)」 ――内田裕也さんとか鮎川誠さんとか。加藤さんもその仲間入りの一歩手前ですもんね。 加藤 「勘弁してよ(笑)。早いとこいい結果出しとかないとね」 古市 「あんまりいないタイプのバンドだから、隙間産業だと思うんだけどね」 ――隙間産業(笑)。 加藤 「どういうことなの? それ(笑)」 古市 「いや、ロック界はやっぱり売れる感じっていうのは隙間産業ですよ。例えば何とかがぱーんと出た時に、そういやこういうバンドいなかったもんね、って」言われんじゃん」 加藤 「コータローくん、じゃあ俺たち、上手くいってもドクター・フィールグッド止まりってこと?」 古市 「いや(笑)。今こういうタイプいないから。それを上手く、カッコよく出ないかなと思ってね」 ――スクービーはどうなんですかね。 MOBY 「わりと僕らも隙間産業で」 古市 「スクービーは隙間だけど、オシャレすぎるんだよ」 加藤 「でもスクービーもそうだし、フラカンもそうだけど、鳴り物入りでデビューしてるんだよ。レコード会社に金積まれて、イチオシってやつになったことある。コレクターズはなったことないんだから。今まで一度も!」 MOBY 「確かに、デビューの時はそうだったらしいですね」 加藤 「そういう感じで俺たちも見えたし」 古市 「まだ渋谷系も残ってたからさ、あのコード感はやっぱりいけるっていう感じだったんだよね」 加藤 「あのドミンゴスだって野音でやってる時に、NACK5のヤマムラさんが俺にこう言ったんだよ。『勢いあるでしょ?』って(笑)。俺達だって出てんのに!」 ――わははははは。 加藤 「そうやって1回も期待されなくてここまでやってきたのは、案外いないかもね。どんなバンドも、1回はそういうストーリーが何かあるんだよ。鳴り物入りでデビューとか、海外レーベルと契約、とか。俺らそういうストーリーが何もないんだもん」 MOBY 「いや、これから何かあるんじゃないですか?」 加藤 「でも絶対いい話じゃないよ! 俺の予想だけど、ここで松本社長に騙されるんだよ。二人三脚でやってきて、日本武道館やって、ギャラと物販の金、持ち逃げされるとかさ(笑)」 ――わはははははは! 加藤 「『松本くーん』って楽屋のドア開けたらいないんだよ。武道館仕様のTシャツが風に揺れてて(笑)。コータローくんに『どうする?』って聞いたら、こう言われるんだ。『 31年目が始まったよ!』って(笑)。それでまた俺たちは続くわけですよ」 ――ドラマチックですねえ。MOBYさんから見てコレクターズっていうバンドの魅力は? MOBY 「ロックスターですよ」 加藤 「言いすぎじゃないの、それ」 MOBY 「いやいや! 未だ、グルーピーの方がいらっしゃるじゃないですか。入り待ち、出待ちをちゃんとされてらっしゃる方が礼儀正しく」 ――加藤さんはグルーピーとどれぐらい遊んだんですか? 加藤 「そりゃあデヴィッド・ボウイには敵わないよ。コータローくんだってロッド・スチュアートばりにいってると思うよ(笑)」 古市 「●●は5千人って言ってたよ」 MOBY 「野音2回ぶんですね」 ――あははは! 加藤 「うまいこと言うねぇ。2デイズが埋まるっていうことだ、それ」 古市 「あと千人だな」 ――あははは! コレクターズは4月に野音が控えてますね。チケットも順調にはけてるようで。 加藤 「ほら、スクービーの野音、けっこういい感じで売れちゃったじゃない?」 MOBY 「去年の10月4日にやったんですけど、8月半ばで売り切れたんです。ありがたいことに。2006年の野音は半分しか入らなかったんですけど」 加藤 「それを聞いてたから、あいつら頑張ったな、と思ったわけですよ。で、俺たちの野音もアニバーサリーだし、ここでスクービーのチケットが売れるスピードより遅かったら、俺らMOBYに舐められるな、と思って」 MOBY 「(笑)そ、そんなことないですよ!」 加藤 「だからコータローくん、チケットの一般発売が1月31 日だから、2月3日の節分までにチケット売り切る宣言したんだよね。で、そこまでに売り切らなかったら、俺は今年、豆をまかないって」 ――ははははは! 加藤 「ちっちゃい公約なんだけどね」 古市 「俺にとっては大きいよ!」 加藤 「『 MOBY、俺たち節分までに売り切れちゃったよ』って言っとかないとさ。先輩としての意地もあるしね。で、コレクターズが次のステップでデカいのやった時に『やっぱり俺たちもやろう』って思うかもしれないじゃん。そういうのも含めて組合だからね」 ――組合(笑)。 MOBY 「俺らはいちばん下の方ですからね(笑)」 加藤 「組合長は増子ね(笑)」 古市 「今年の組合としては、怒髪天もフラカンも、会場BGMはすべてコレクターズって決まってるから(笑)」 MOBY 「わ、我々もそうします!」 古市 「スクービーに関してはSEだな、オープニングの」 加藤 「オープニングのSE、コレクターズで出るの?(笑)」 MOBY 「じゃあ〈ヒートウェイヴ〉で(笑)」 ――さすが組合の力は強いですね(笑)。こないだフラカンが日本武道館成功させて、次はコレクターズだと。で、次はピーズだと。 加藤 「どんどん繋がって、で、スクービーが次くるぞと」 MOBY 「そうですね。1月の頭に札幌の道新ホールでライヴやったんですけど、うちのマツキがそこで言っちゃったんですよ。武道館、いつかはやるぞ!って(笑)」 加藤 「ちょっと遠すぎるよね。そこじゃ情報が届かないよ」 MOBY 「年始の最初のライヴだったんで、気持ちがちょっと昂ぶったんでしょうね。あとオリンピックの会場問題もあるから、これはマネージャー的にどうしようかって(笑)ちょっと焦ってます」 ――じゃあ最後に、スクービーというバンドについて、ご意見番から一言。 加藤 「まず、演奏がめちゃめちゃ上手いよね。あと強くて羨ましいのは、フラカンや怒髪もそうなんだけど、ビートルズみたいに若いうちから一緒にやってるじゃん。あの塊ね。あれはどんなに上手いミュージシャンを寄せ集めてやっても、絶対出てこないよ。あのグルーヴというかローリングする感じは、他の誰にも出せないよ。残念ながら俺とコータローくん以外のメンバーはさ、途中から入ったから。それでも阿部くんとは 20年近くやってるんだけど、それでも違う。それをスクービーは持ってる。1回手放したら、もう絶対手に入れられない。それを俺たちは1回手放してしまったからね。だからよけいにそういうバンド見ると、羨ましくてしょうがない」 ――今の若いバンドにちゃんと伝えたいですね、そういうことは。 MOBY 「大事にします!」 |
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