ザ・コレクターズ
祝!30周年・「音楽と人」対談企画
『とてもロマティックなコレクターズと僕らの30年』

ザ・コレクターズ対談企画『とてもロマティックなコレクターズと僕らの30年』特設
space





加藤

「MOBYは、すげえ歳の差あるんだけど、それを感じないんだよね」

MOBY
「老けてるのか若いのかわかりませんけど(笑)」

加藤
「いやいや、気の合うミュージシャンっていうのは、10歳とか15 歳とか歳の差はあんまり感じないんだって。あと俺たちの世代の時は、歳上のミュージシャンはみんなおっかなかったよね、コータローくん」

写真(1)古市
「怖かった」

MOBY
「だいたい接することのできるミュージシャンで、いちばん上は加藤さんですから。加藤さんより上の方は……」

加藤
「もう死んでるから(笑)」

MOBY
「いやいや、もうリビングレジェンドですよ(笑)」

――内田裕也さんとか鮎川誠さんとか。加藤さんもその仲間入りの一歩手前ですもんね。

加藤
「勘弁してよ(笑)。早いとこいい結果出しとかないとね」

古市
「あんまりいないタイプのバンドだから、隙間産業だと思うんだけどね」

――隙間産業(笑)。

加藤
「どういうことなの? それ(笑)」

古市
「いや、ロック界はやっぱり売れる感じっていうのは隙間産業ですよ。例えば何とかがぱーんと出た時に、そういやこういうバンドいなかったもんね、って」言われんじゃん」

写真(2)加藤
「コータローくん、じゃあ俺たち、上手くいってもドクター・フィールグッド止まりってこと?」

古市
「いや(笑)。今こういうタイプいないから。それを上手く、カッコよく出ないかなと思ってね」

――スクービーはどうなんですかね。

MOBY
「わりと僕らも隙間産業で」

古市
「スクービーは隙間だけど、オシャレすぎるんだよ」

加藤
「でもスクービーもそうだし、フラカンもそうだけど、鳴り物入りでデビューしてるんだよ。レコード会社に金積まれて、イチオシってやつになったことある。コレクターズはなったことないんだから。今まで一度も!」

MOBY
「確かに、デビューの時はそうだったらしいですね」

加藤
「そういう感じで俺たちも見えたし」

写真(3)古市
「まだ渋谷系も残ってたからさ、あのコード感はやっぱりいけるっていう感じだったんだよね」

加藤
「あのドミンゴスだって野音でやってる時に、NACK5のヤマムラさんが俺にこう言ったんだよ。『勢いあるでしょ?』って(笑)。俺達だって出てんのに!」

――わははははは。

加藤
「そうやって1回も期待されなくてここまでやってきたのは、案外いないかもね。どんなバンドも、1回はそういうストーリーが何かあるんだよ。鳴り物入りでデビューとか、海外レーベルと契約、とか。俺らそういうストーリーが何もないんだもん」

MOBY
「いや、これから何かあるんじゃないですか?」

加藤
「でも絶対いい話じゃないよ! 俺の予想だけど、ここで松本社長に騙されるんだよ。二人三脚でやってきて、日本武道館やって、ギャラと物販の金、持ち逃げされるとかさ(笑)」

――わはははははは!

加藤
「『松本くーん』って楽屋のドア開けたらいないんだよ。武道館仕様のTシャツが風に揺れてて(笑)。コータローくんに『どうする?』って聞いたら、こう言われるんだ。『 31年目が始まったよ!』って(笑)。それでまた俺たちは続くわけですよ」

――ドラマチックですねえ。MOBYさんから見てコレクターズっていうバンドの魅力は?

MOBY
「ロックスターですよ」

加藤
「言いすぎじゃないの、それ」

MOBY
「いやいや! 未だ、グルーピーの方がいらっしゃるじゃないですか。入り待ち、出待ちをちゃんとされてらっしゃる方が礼儀正しく」

――加藤さんはグルーピーとどれぐらい遊んだんですか?

加藤
「そりゃあデヴィッド・ボウイには敵わないよ。コータローくんだってロッド・スチュアートばりにいってると思うよ(笑)」

写真(4)古市
「●●は5千人って言ってたよ」

MOBY
「野音2回ぶんですね」

――あははは!

加藤
「うまいこと言うねぇ。2デイズが埋まるっていうことだ、それ」

古市
「あと千人だな」

――あははは! コレクターズは4月に野音が控えてますね。チケットも順調にはけてるようで。

加藤
「ほら、スクービーの野音、けっこういい感じで売れちゃったじゃない?」

MOBY
「去年の10月4日にやったんですけど、8月半ばで売り切れたんです。ありがたいことに。2006年の野音は半分しか入らなかったんですけど」

加藤
「それを聞いてたから、あいつら頑張ったな、と思ったわけですよ。で、俺たちの野音もアニバーサリーだし、ここでスクービーのチケットが売れるスピードより遅かったら、俺らMOBYに舐められるな、と思って」

MOBY
「(笑)そ、そんなことないですよ!」

加藤
「だからコータローくん、チケットの一般発売が1月31 日だから、2月3日の節分までにチケット売り切る宣言したんだよね。で、そこまでに売り切らなかったら、俺は今年、豆をまかないって」

――ははははは!

写真(5)加藤
「ちっちゃい公約なんだけどね」

古市
「俺にとっては大きいよ!」

加藤
「『 MOBY、俺たち節分までに売り切れちゃったよ』って言っとかないとさ。先輩としての意地もあるしね。で、コレクターズが次のステップでデカいのやった時に『やっぱり俺たちもやろう』って思うかもしれないじゃん。そういうのも含めて組合だからね」

――組合(笑)。

MOBY
「俺らはいちばん下の方ですからね(笑)」

加藤
「組合長は増子ね(笑)」

古市

「今年の組合としては、怒髪天もフラカンも、会場BGMはすべてコレクターズって決まってるから(笑)」

MOBY
「わ、我々もそうします!」

古市
「スクービーに関してはSEだな、オープニングの」

加藤
「オープニングのSE、コレクターズで出るの?(笑)」

MOBY
「じゃあ〈ヒートウェイヴ〉で(笑)」

――さすが組合の力は強いですね(笑)。こないだフラカンが日本武道館成功させて、次はコレクターズだと。で、次はピーズだと。

写真(6)加藤
「どんどん繋がって、で、スクービーが次くるぞと」

MOBY
「そうですね。1月の頭に札幌の道新ホールでライヴやったんですけど、うちのマツキがそこで言っちゃったんですよ。武道館、いつかはやるぞ!って(笑)」

加藤
「ちょっと遠すぎるよね。そこじゃ情報が届かないよ」

MOBY
「年始の最初のライヴだったんで、気持ちがちょっと昂ぶったんでしょうね。あとオリンピックの会場問題もあるから、これはマネージャー的にどうしようかって(笑)ちょっと焦ってます」

――じゃあ最後に、スクービーというバンドについて、ご意見番から一言。

加藤

「まず、演奏がめちゃめちゃ上手いよね。あと強くて羨ましいのは、フラカンや怒髪もそうなんだけど、ビートルズみたいに若いうちから一緒にやってるじゃん。あの塊ね。あれはどんなに上手いミュージシャンを寄せ集めてやっても、絶対出てこないよ。あのグルーヴというかローリングする感じは、他の誰にも出せないよ。残念ながら俺とコータローくん以外のメンバーはさ、途中から入ったから。それでも阿部くんとは 20年近くやってるんだけど、それでも違う。それをスクービーは持ってる。1回手放したら、もう絶対手に入れられない。それを俺たちは1回手放してしまったからね。だからよけいにそういうバンド見ると、羨ましくてしょうがない」

――今の若いバンドにちゃんと伝えたいですね、そういうことは。

MOBY
「大事にします!」



写真(7)
space
space
<<< ◆ VOL.7「ゲスト:THE BAWDIES」 ◆ VOL.5「ゲスト:NAOKI(SA)」>>>
space