私の趣味のひとつに、美術館・ギャラリーめぐりがあります。幼いころは家族と、大人になってからはひとり、または友人と、よく足を運んでいました。娘が産まれてからも、まだ赤ちゃんの娘を連れていろいろな展覧会をまわったものです。
コロナ禍のため、今年は訪れていなかった展覧会ですが、先日、数ヶ月ぶりに行ってきました。今年、東京・立川にオープンした「PLAY! MUSEUM」で開催中の「tupera tuperaの かおてん.」です。
『かおノート』シリーズ(コクヨ刊)や『しろくまのパンツ』(ブロンズ新社刊)、『パンダ銭湯』(絵本館刊)など多数の絵本や、NHK Eテレ「ノージーのひらめき工房」のアートディレクション、工作、ワークショップなど、さまざまな分野で活躍されているtupera tuperaのおふたりによる、「顔」をテーマにした展覧会。おふたりの作品が好きな私はもちろん、娘が特にこの展覧会にはまってしまいました。幼いころからtupera tupera作品に親しんできたというのもあるのですが、理由はもっと簡単で。シンプルに、最高に楽しい展覧会だったからです。会場をひと通りまわった後も、「もっとみる~!」「帰りたくない!!」「ごはんたべたらもどってくる?」と、何とか会場に居座ろうと必死な娘でした。
*受付で「かおルーペ」と「かおシール」をもらって、いざ、「かおてん.」へ! 「かおルーペ」の真ん中の顔をくり抜いて、会場内にある顔を探しながら進みます。「かおシール」は、入り口に設置された鏡を使って、顔にペタペタ。
「かおてん.」は、「親子で遊べる展覧会」と銘打っているだけあって、美術館で静かに名画を観るようなスタイルとは違います。“観る”というより、まさに“遊ぶ”という言葉がぴったり。子どもも大人もみんなが楽しい、遊べる展覧会なのです。
まず、「かおルーペ」と「かおシール」で準備が整ったら、原画ゾーンへ。メインの会場へと続くアプローチには、顔のパーツが空間や床に無数に散らばっていて、まるでパーツの雨のよう。その中に隠れている顔を探しながら進んでいくと、大きな口(の形をした入り口)に、パクリと飲み込まれてしまいます。するとその先では、数々の絵本の原画がお出迎え。こわーい妖怪たちと、にらめっこならぬ“こわめっこ”(『こわめっこしましょ』絵本館刊より)をしたり、写真絵本『モノモノノケ』(アリエスブックス刊)に出てくる物の妖怪たちが住む家の中をのぞいたり。「娘ちゃん、ぜーんぜんこわくないよ!」と強がりながらも、私のスカートをぎゅっとつかみ、ちょっぴりドキドキしながらのぞいていた娘でした。
原画ゾーンを抜けてからは、娘の身長の2倍以上はある巨大な顔と自分の体を合わせて写真を撮られていたかと思えば、大きな顔のオブジェの数々がそびえ立つ「かおカオス」に迷い込み、歯の間からにっこりこちらに向かって微笑んでいる娘……。とにかく、あっちもこっちもおもしろくて、遊ぶのに忙しいんです、「かおてん.」。
なかでも、娘が特に心を奪われていたのは「かおつくリズム」という映像作品。くだものやおもちゃなどで作られた5つの顔が「めはなく~ち~あたま♪」と、オリジナルの顔ソングを歌うのですが、この歌と映像が、クセになるのです。娘は、2回に分けて計6回ほど聴き入っていました。訪問してから数週間経った今でも、口ずさんだり、顔真似をしたりしているので、かなりの中毒性ですよね。
私はというと、大きなフォークや葉っぱのクッションなどを使って、自分だけの顔を作ることができる「床田愉男」がお気に入り。まだねんねしかできない赤ちゃんも楽しめますし、子どもたちが顔の一部になって写真を撮ることができたので、いい記念になりました。
*「床田愉男」。子どもたち、顔の一部になりきれて……、ない?
*「かおつくリズム」の下段中央の女の子が「いちばんすきなの!」と娘
館内は写真撮影OK(個人利用に限る)なので、お子さんやパパ、ママ、ご友人と、もしくはひとりで、たくさん撮って、帰ってから見返してまた楽しむのもおすすめです。帰る前に、ショップとカフェをチェックするのもお忘れなく。ゆかいなオリジナルグッズやメニューが、たくさんありましたよ!
また、立川を訪れることが難しい方へ。来年以降の「かおてん.」の巡回先を募集中とのことなので、お近くの街に「かおてん.」がやってくるかもしれません。ぜひ、お楽しみに!
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「tupera tuperaの かおてん.」
会期は2020年12月29日まで。詳細はホームページをご確認ください。
// 感染症対策について //
・入り口で入館者全員の検温を実施
・マスク着用の要請(赤ちゃんは除く)
・入場者数の上限を設定(超えた場合は一時的に入場制限を実施)
・入り口をはじめ、館内各所にアルコール消毒液を設置
・空調システムによる館内の換気 など
// 子どもへの配慮 //
ベビーカー置き場や、授乳・おむつ替え室があるので、赤ちゃん連れでも安心して楽しめました。また、利用当日は何度でも入退場が可能とのことなので、赤ちゃんが泣き出してしまったら一度外の空気を吸いに行ったり、お昼ごはんをはさんで再入場したり、お子さんのペースで鑑賞することが可能です。
平岩茉侑佳
*会場内のサインも、顔!
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