先日、長男アユの同じクラスのママ友から、アユがクラスの男子に「コロナ、コロナ」とからかわれ、泣いてしまったと彼女の娘から聞いた、という話を聞きました。
アユはクラスの子とてっきりうまくやっていると信じて疑わなかったのでまさに青天の霹靂。
動揺を隠せず、帰ってきたアユにすぐさま尋ねたところ、「あったけど、クラスの子じゃないよ」とクールに返答。
「大丈夫だったの?」と聞いても「大丈夫だから」の一点張り。
その後も特に問題なく学校に入ってるのでまあ様子を見てみようと夫と話し合い今に至ります。
欧米でのアジア人のコロナ差別に触れるネットニュースは多いものの、実際に生活をしていて今の今まで特にそんな差別的な事態にあったことがないので長男のその件には本当に驚きました。
先日の地元の新聞でも「私はウイルスじゃない!」という見出しで、風邪で病院に行ったら医者に追い返された中国人の留学生の話をはじめ、他にもアジア人が受けた様々な差別が取り上げられており、やはり身近なところで差別が起こっているのだと実感しています。
Wir sind nicht das Virus!(私はウイルスじゃない!)
ただその差別って、相手のことを良く知らないから起こるものなのですよね。
日本人とドイツ人のハーフのサンドラ・ヘフェリンさんのとある記事で、『コロナウイルスで興味深いのは「中国国内では武漢出身者が差別され」「日本国内では中国人が差別され」「ヨーロッパではアジア人が差別されている」という点。
つまり地域によって、差別される人の対象がどんどんひろくなっていってるのですね。。』(引用)とあり、ドイツに住んでいる私としてはすごく納得がいくものでした。
実際にドイツでアジア人差別を受けたことがあるか?と聞かれたら、う~ん、今までで何度かは嫌な思いをしたことはあったかな?という印象です。(現地で長く住んでいる日本人ならみんなそんな感じです)
街中で「あ、中国人だ!」と子供に大きな声で言われたり、「チンチャンチョン」と言われたり(アジア人をからかう言葉)もっと嫌なものだと突然見ず知らずの車の中から、意味は分からないけど明らかに暴言を吐かれたり、というのはありましたが、4年半以上生活していて本当に数える程度です。
逆にレストランで嫌な席に通されたり、アジア人だからサービスが悪い、なんてことは一度もありませんでした。
実際に不快な気持ちにさせてきたのは無知な子供だったり、思想がかなり寄っている人だったりとかなり一部の人たちです。
一部の無知な人たちは日本が中国の一部だと本気で思っていたり、日本が中国語を喋ると思っていたりしますし、アジアのどの国がどこにあるかなんて知りもしないことでしょう。
子供の頃、欧米人を見て「ガイジンだ!アメリカ人だ!」と騒ぎ立てるのに近い感覚なのではと思います。
ドイツは日本に比べ遥かに人種のるつぼでもあり、これだけ外国人がいる割合に対して目に見えた明らかな差別というのは少ないと思います。
特に私の住んでいるルール工業地帯は産業革命時代に多くの移民が移り住んだ場所であるため、外国人が非常に多く、私たちのような外国人には住みやすいエリアだと感じています。(お洒落じゃないけど。笑)。
よそ者が国内外から集まるベルリンなどのモダンな大都市も外国人には住みやすいと思います。
一方でかなり排他的なエリアもありますので、住む場所によっては「ドイツは差別的だ」と感じるかもしれません。
ドイツ生活の印象は住む場所でガラリと変わることでしょう。
しかし今回本当に救われたのが、アユの件を心配してくれたり、ひどい話ね!と一緒に怒ってくれたり、言われても気にしないで、まともに受けない方がいいよ、と言ってくれるドイツ人の知人や友人がいたこと。
もちろん日本人に言われても嬉しいことなのですが、ドイツ人がそう言ってくれると「ドイツなんてもういや!ドイツ人なんて嫌い!」と人種で一括りに嫌いにならないで済んだのです。
(ちなみに「私、インフルになったの。コロナじゃないわ」などとドイツらしいシニカルなギャグを飛ばしてきたりも。。。)
まあ、世の中どこにいても敵もいれば味方もいる。
数人の優しい味方になってくれる人さえいれば、海外生活に限らずどこの世界にいても人生は大丈夫なんじゃないのか、と感じる日々です。
ではまた次回!
Tschuss!(チュース:バイバイ)
高橋ユウ
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