1ヶ月前まで「アジアの病気」だったコロナウィルスも、もはや全世界の恐怖となってしまいました。ドイツでは日本で報道されている通り、凄まじい勢いで拡大し、3月23日18時時点で陽性件数は2万8千件。ただ唯一救いな点は、死者の数が110件ほどと医療先進国とあって陽性件数に対し他の国に比べて非常に低いことです。ですが、この状態が続けば医療体制が確実にパンクするため遂にドイツ政府が動き出しました。まず10日ほど前から少しづつ段階を上げながら「ロックダウン」を開始。1週間目の前半にはまず学校や幼稚園、大学をイースター明けまで閉鎖、飲食店の営業時間も18時まで。その後週の後半からは千人規模を超えるイベントなどの禁止、大型ショッピングセンターの入場制限、公園で遊ぶの禁止、飲食店は15時までとどんどん厳しくなったものの、小売店もカフェも開いていたのでそれなりに楽しくは過ごせておりました。が、さらに先日の日曜日、新たな発表があり、飲食店や美容院などが遂に閉まることになり、現在開いている店はスーパーなどの食品店とドラッグストア、薬局程度となってしまったのです。そして3人以上の人と同時に接触しない(家族は例外)、必要のない外出はしないなどの規則が発効し、「ロックダウン」のほぼ完全型となりました。
いやはや。まさか人生でこんな事態に自分も遭遇するとは。先日3月18日にメルケル首相がロックダウンを求める際、「民主主義でこのようなことが許されないことは知っている」と民主主義を強調していましたが、今となってはこの言葉の重要性がよく分かります。今、この事態がまるで戦時下のようだからです。
第2次世界大戦中を題材にした映画や本でも、戦時中初期は比較的自由に過ごせていたのに、戦争が激しくなるにつれてどんどん人々の自由が奪われ、悲惨な状況になっていく描写はよく見られますが、非常にその感覚に似ているのです。もちろん戦時中はもっと悲惨だったでしょうが。
今のこの事態を体感してて思うことは、コロナは油断していると本当に恐ろしい勢いで広まるということです。ドイツも陽性患者がたった数人だった頃はみんな「怖いわね~」と口々にいうだけで完全に対岸の火事でした。が、今や広がりに広がり、1日に2000件以上もの患者が出続けている状態となってしまいました。今まで抑えられているとは言え、日本もうっかり油断しているとあっという間に広まってしまう可能性があります。イタリアのように医療体制が一旦崩壊してしまうと(病院の不足、医師の不足等で)死亡者が一気に急増してしまうので本当に怖いなと実感しました。ただ抑えられているかどうかを正確に知るためにも、できるだけ検査をして人数把握をしていないと、患者数の正確な推移が分からないので、日本でももっと検査ができたらいいなと思います。
そしてやはり「推奨」では難しいのだということ。ドイツも当初「必要な外出禁止を推奨」だけだったのですが、若者が「コロナパーティ」を行ったり、「今のうちに出歩いておかないと」という焦る気持ちから、街は人で溢れていました。実際いつまで続くかわからない、効果もよく分からない不透明なことをし続けるのは難しく、自分も含め当然のことだと思います。やはり一時的にでも「規則」にしないと難しいのかもしれません。ただしドイツの政府も言っておりましたが、これは民主主義社会に反する行為であり、こうしたロックダウンは最終手段であるということ。これを長期間続けると国の財政も人々の心も持ちません。なので明らかに短期間限定でしょう。この最終手段でなんとか風向きを変えたいものですが、果たして一体どうなることか。ほとんどの店が閉まり、閑散としている街を眺めていると、この世の終わりのカウントダウンが始まったのかという気持ちにすらなります。(またこの天気もよくて一見平和そうな光景がまた郷愁を誘うというか。。。)
*公園や施設を除く屋外のアクティビティは人との距離を取れば許可されているので散歩している人で森はいっぱいでした。(この写真にはいませんが。。。)
*デパートなどは当然閉まっています。
*薬局などは開いています。
以上、リアルなドイツの現状をお伝えしました。万が一日本でも爆発的になった場合、日本も同じ道を辿ることになるかも知れません。その場合、ドイツがこの政策で風向きを変えられて参考になれば良いのですが。。。そしてその場合、皆さんも同じような不安な気持ちになった際の参考になればと思い、ここにリアルな現状をメモがてら書き留めておきます。
日本でもこれ以上感染拡大しないことを切に願います。
Bleibt gesund!(ブライプト ゲズンド!)
*「健康に気をつけて!」「健康をキープして」の意味。現在のドイツでの挨拶はコレです!
高橋ユウ
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