AGAIN
2015年11月4日発売 ¥3,000+税 COCQ-85273
2005年白血病で惜しくもこの世を去った本田美奈子.が、病床でボイスレコーダーに遺したラスト・コンサート。恩師・岩谷時子(作詞家)を励ますためにア・カペラで録音されたこの貴重な音源はNHKのドキュメントで放映され大きな衝撃を与え、08年にはユニバーサルよりCDが発売されました。
没後10年が経ちデビュー30周年というアニバーサリーに、ア・カペラ音源にピアノ伴奏をつけて今またこの歌が生まれ変わります。
「アメイジング・グレイス」を始めとしたCDで発表された音源に加え、テレビのみでオンエアされた「エデンの東」「私を泣かせてください」「新世界」、そして今作がボイスレコーダー音源初出しとなる本田美奈子の隠れた名曲「impressions」を収録。
アレンジ&ピアノは全国各地でコンサートを行い、エルサルバドルの音楽親善大使でもある平原誠之が担当。寄り添うような優しいピアノが本田の歌を際立たせます。
2015年11月3日(祝・火)には毎年盛況の「2015 LIVE FOR LIFE音楽彩 ~本田美奈子.メモリアル~」が日本橋三井ホールにて開催。
impressions
(山梨鐐平)**
ニュー・シネマ・パラダイス 愛のテーマ
(モリコーネ)
エデンの東
(ローゼンマン)*
私を泣かせてください ~オペラ『リナルド』より
(ヘンデル)*
グリーンスリーヴス
(イングランド民謡)
この素晴らしき世界
(ダグラス)
シシリエンヌ ~さくらの国
(フォーレ)
新世界~「交響曲第9番『新世界より』第2楽章」より
(ドヴォルザーク)*
見上げてごらん夜の星を
(いずみたく)
アメイジング・グレイス
(トラディショナル)
星に願いを
(ハイライン)
*テレビ放送あり・初メディア化 / **ボイスレコーダー初出音源
ピアニストプロフィール
平原 誠之(ひらはら まさゆき)
作曲家/ピアニスト/日本・エルサルバドル音楽親善大使。
1999年阪神・淡路大震災復興記念クラシックフェスティバル音楽コンクール作曲部門に参加し、財団法人兵庫県芸術文化協会賞並びに金賞を受賞。2003年より本格的に音楽家として活動を開始する。2010年、エディンバラにて行われたショパン生誕200周年記念ソロ・コンサートに日本代表として招聘される。2012年、ロサンゼルスにて、東日本大震災チャリティーコンサートを行う。アーバインヤマハ・マスターコース作曲クラスに特別教授を行う。同年、式年遷宮記念「せんぐう館」奉祝記念行事にて伊勢神宮創建以来初のピアノ演奏を行う。2014年、日本・エルサルバドル音楽親善大使に任命され、2015年、エルサルバドルにて行われた「日本・エルサルバドル外交関係樹立80周年記念コンサート」で演奏を行う。
Newアルバム『AGAIN』に寄せて
この度、本田美奈子さんの事務所社長より、ボイスレコーダーにピアノ演奏を付けるという大役を授かり、
アレンジと演奏を担当させて頂きました。
取り掛かりは、一般的な伴奏譜のイメージでアレンジしましたが、
いざ美奈子さんの歌声と合わせてみると、何か違う気がしました。
無駄な音を全て無くさなければいけない。
美奈子さんに寄り添うような気持ちで、限界まで音を削ぎ落としました。
美奈子さんの“思い”を心で理解できた時、アレンジは1日1曲のペースで仕上げることができました。
レコーディングでは、美奈子さんの存在を強く感じながら臨むことができました。
特に「アメイジング・グレイス」では、忘れもしません。
スタジオの空気が一変し、美奈子さんがまるで傍まで来て、
優しく見守ってくれているような、そんな思いに包まれました。
とめどなく、涙が溢れて止まらなくなり、
「私、ここに居るよ」と、美奈子さんが語りかけてくれているようでした。
10年という時を超えて、新たな息吹をもたらしたこのCD「AGAIN」は、
きっと、皆様の心に美奈子さんが優しく語りかける、
いつまでも心に残る暖かな仕上がりになったのではないかと感じます。
ピアニスト・作曲家
平原誠之
今回の作品の制作現場には、一切関わらないと、最初から決めていました。
美奈子さんと仕事をした3年間は、あまりにも濃く、ともに命をかけるような思いで臨み、彼女は本当に逝ってしまった。
彼女が遺したボイスレコーダーの歌は、自分を削って、人を勇気づけるために歌うという、使命にも近い覚悟が結晶した、命の叫びでした。
いつかは、それを、相応しい音で包み、世に残したいという願いはあったものの、どうしてもイメージが結びませんでした。
私が作品をプロデュースするときは、どんな人が、どんな風に聴いてくれるか、そしてどう感じて、もしかしたらその人の何かの糧になるかも知れない、そんなシーンを描いて、全てをそこにフォーカスしていきます。
でも、このアカペラの歌には、客観的な視点が、どうしても持てませんでした。
あれから10年、たぶんこの機会を逃したら、その時はずっと訪れない気がしました。
心を決めて、信頼出来る、私より20歳下のディレクターに全てを委ねました。
そして生まれた世界。
ひとつも無駄な音がない、極限までシンプルに研ぎ澄まされたピアノ。
歌声に込められた魂を感じ、音楽をつけるというより、そっと暖かい手を添えるとでもいうような音。エゴを捨てて、自分を全く空しくしなければ、こんな音楽はできません。
決していい録音状態とは言えない声が、命の結晶として輝いていました。
美奈子さんとは、5年後にはこんな歌を歌えたらいいねとか、10年後にはこんな歌手になっていたいねと、よく話し合ったものです。
それはかなわなかったけれど、このような希有な作品が、10年後に生まれたことは、彼女の思いの強さと純粋さの賜物です。
それが、当時一緒に世界を作ってくれたエンジニアやアートディレクターはもちろん、彼女を直接は知らないスタッフをも動かしたのだと思います。
改めて、彼女の偉大さを感じさせてくれるこの作品が、多くの方の心の糧となることを、願っています。
エグゼクティヴ・プロデューサー
岡野博行(日本コロムビア)
美奈子さんもきっと驚いていることでしょう。
病床からの唄声がニューアルバム「AGAIN」として作品に生まれ変わったのですから。
ボイスレコーダーの録音状態や音質は決して良好ではありませんが、日々の体調に左右されながらも、その時の感情が唄のメッセージとしてストレートに伝わって来ます。底知れない唄の持つ力をひしひしと感じました。
今作品は、平原誠之さんのピアノ伴奏にのせて音楽として蘇りました。
私の仕事は音の記録を残す事。音楽も映画もそうですが、記録は時が刻まれていっても直ぐにその時に遡ることが出来ます。今回の作品創りで再び時を経て一緒に仕事をすることが出来たこと、心から嬉しく思っています。改めてこの仕事をやり続けていて良かったと感じています。
レコーディングエンジニア
塩澤利安(日本コロムビア)
本田美奈子.さんのNEW ALBUM「AGAIN」が発売になるにあたり
どうしてもコロムビアでの1st「AVE MARIA」時のフォトセッション・アザーカットで行きたかった。
事務所の社長も「美奈子が『命がけで行く』と言ったあの時の写真で行きたいね」と同意してくれた。
そう、「AVE MARIA」を作る際の打ち合わせで、彼女は「命がけ」と言っていた。
当時のサムネイル(撮った写真のチェック用プリント)を12年ぶりに引っ張り出し、
確認をした際、美奈子ちゃんの「M」マークを見つけた。
サムネイルは関係各位がいいと思った写真にダーマトグラフ等でチェックを入れる。
その「M」マークはつい先ほど彼女が付けたような生々しさだった。
まるで彼女と一緒に選んでるような錯覚になった。
今回のメインビジュアルは彼女が選んだものである。
漆黒の大地から新たなるDIVA(歌姫)が誕生するというコンセプトを
見事に体現したビジュアルになっている。
フォトグラファー石坂直樹氏のレタッチを経て生まれ変わった写真を見てその美しさに震え上がった。
「誕生」「REBORN」「AGAIN」…
今まさに再び生まれ落ちたかのようなビジュアル。
彼女はやはり、最高だ。
アートディレクター
萩 一訓 ikkunhagi