[スペシャル対談] 綾戸智恵×池谷裕二 プレゼンツ ベイビー・ブレイン・ジャズ

[スペシャル対談] 綾戸智恵×池谷裕二 プレゼンツ ベイビー・ブレイン・ジャズ

無意識の脳がジャズを聴くと動き出す!

赤ちゃんにジャズを!?
(前略)
池谷:僕はジャズ・マニアではないんですが、ちなみに僕の持っているジャズのイメージは、コアな人のためのもの、つまり一部の熱烈な人のためのもので、おしゃれなバーに一人で行ってウイスキーとかを飲みながら自己陶酔するためのものって感じなんですけど、今回の企画は、赤ちゃんにジャズを聴かせるんですよ。赤ちゃんに自分の歌を聴かせる機会はありますか?
綾戸:なんぼでもあります。コンサートで赤ちゃん連れて来ている人もおるし、ほら、会場によっては赤ちゃんOKってところもあるでしょ。うちのバックにゴスペルのクワイア・コーラスがおるんですが、中には赤ちゃん抱いて歌うてる人もおるし、赤ちゃん置いとかれへんから。
池谷:へえ、そうなんですか。
綾戸:うちはかまへんよ、そっちこそ、ええの?、泣かへんか?って感じで。
池谷:へえ、でも、平気なんですね。

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赤ちゃんは、一番怖いお客さん
綾戸:大人がいろいろいうから、いかんのとちゃうかなあ。ハッキリいいましょうか? ジャズ、何が嫌いかって言うたら、客が聴いてもおらんのに、客がわからん音楽を、わからんやろうって演奏する人って嫌いや。
池谷:ああ、上から目線。。。
綾戸:そんでもう、学生が学校から帰って来た頃に起きて、人が寝静まるころにしっかり目開いてて、なんかそういう逆転した暮らしがジャズや、みたいな。
池谷:ハハハ。ジャズ通というか、ジャズ・マニアの一部には、うんちくを語ってナンボという人がいるじゃないですか。少なくとも今回の企画はそういう方向じゃない。
綾戸:ついていけないです。
池谷:赤ちゃんにうんちく語っても仕方がないし。
綾戸:そうなんですよ。ハハハ。赤ちゃんは、ええもんは笑う、嫌なもんは泣く。正直、一番こわいお客さんでっせ。
池谷:ハハハ、なるほど。
綾戸:ダイレクトやから。子供もそうで、毛穴で感じる。知識がない素晴らしさというのは、枠のない幸せ感。赤ちゃんでも「ホエン・ゼイ・セイ〜」って聴けば、「ワアー!」って言う子おるし。
池谷:それって本物ですよね。だって教えられていなくて、聴いただけですものね。今回のCDは僕が企画した訳ではないんですが、面白いと思ったんですよ。何故、赤ちゃんにジャズなのか。普通世間一般には、赤ちゃんに聴かせるって言ったら、優しいモーツアルトやヴィヴァルディを聴かせるべきだという先入観を持っている。この先入観から考えると今回の企画はそうとう型破りなので、「ジャズというアダルトな音楽を子供に聴かせるはいかがなものか」ということ言う人いるかなとも思ったんですけど、綾戸さんの話を聞いたら安心しました。
池谷:私は、勉強もせずに、ジャズもなんにもせんと、ただ聴きまくっていましたよね。でも、指が動くようにぐらいまでにはピアノは練習していたんですよね。たまさかそれを弾く時に、ミス・トーンもいっぱいあったけど、親は間違うても怒りもせんし、ええ感じやん、って言われて、酒の時間になると弾かされていましたね。
池谷:ハハハ。
綾戸:「一杯いこうか」って。「11PM」っていう夜中の番組が終わると、眠たいのに起されて、もう一度弾いてって言われて、「タッタタラタラ〜」「ええなあ!」って感じで。「お酒が旨くなるように歌え」ってよく言われましたねえ。
池谷:お酒のよさなんて分かんないですよ。ちっちゃいときに、「酒に合うように」なんてリクエストされても(笑)
綾戸:母の美味しい時と旨くない時の反応があるんですよ。その反応見ながら弾いてましたね。
池谷:ああ、なるほど。

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赤ちゃんに「うんちく」は要らない!
進行:その反応って、どういうふうに違うんですか?
綾戸:あのね、構えると美味しゅうない、って言いますね。何の気なしに弾いて、気いついたら「ええなぁ、ほんまにな」って鳴ってるくらいが、いい。聴けー、って言ったら嫌がってましたね。鳴っててええなーっていう感覚を親から学びました。だから、聴いてや、っていうふうにしたらあかんねん、って今でも思ってます。
進行:赤ちゃんなんか、正にそういう聴き方してるんですよね?
綾戸:そうです。子供は自然に聴いているはずでしょ。子供の中では、ジャズというジャンルではなくて、ジャズというテンポとリズムとメロディーと世界が見えてくるから、その子は受け入れると思いますね。だれが決めたんでしょうね? ジャズは年がいった人がやるって。
池谷:おしゃれな趣味だし、演奏する側も聴く側もそう構える、言わば、特別階層のための音楽といいますか。ジャズの発祥を考えたら、本来は全然違うはずなんですけどね。
綾戸:そうですよね。アメリカの南部の方の子供なんか、タップダンス踊ってますやん。あんなん向こうでは普通やもんな。サミー・デイヴィスJr.みたいな小学生が山のようにいまっせ。でも、なんでこっちの地下鉄で知り合うたロック少年は「綾戸さんですよね。」「そや」「僕も年いったらジャズやろうと思うんです。」っていうから、「明日からやったらええがな。」っていつもいうんです。ジャズが老後の音楽みたいに見られるのは、違うと思うなぁ。
池谷:ハハハ。要するに構えたものの存在と思われるってことですね。
綾戸:そう。だから、子供達にジャズを聴かせるのは絶対いいことだと思うんです。
池谷:今の話を伺っていると、子供にジャズを聴かせることは、いかにナチュラルなことかが良くわかりますよね。生理的な意味合いにおいてもね。

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脳の反応を見る!
池谷:ジャズを弾いている人の脳の反応って見たことないですよね?
綾戸:ないです。
池谷:その反応を撮った人がいるんですよ。
綾戸:ほう。ぐわー、と動いていっちゃうんとちゃうかな? 右へ左へ、わあーって。
池谷:そうなんです。それ、正解なんです。
綾戸:ああ、やっぱり。
池谷:青が活動が低い、とか、赤が高い、とかなんですよ。ジャズがクラシックなどの他の演奏と違うのは、インプロヴィゼーション、自発的に音楽を作りながら、歌ったり、弾いたりします。この研究では、たしか弾く楽器だったと思うんですけど。で、これの画像ですが・・・・・、

※この対談の全貌は、2011年9月28日発売のアルバム『綾戸智恵×池谷裕二 プレゼンツ ベイビー・ブレイン・ジャズ』で!


アルバム 2011年9月28日発売

綾戸智恵×池谷裕二 プレゼンツ ベイビー・ブレイン・ジャズ
COCB-53973-4 ¥2,940(税込)

赤ちゃんの無意識の脳が、ジャズを聴いて動き出す!
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綾戸智恵(ジャズシンガー):
1957年に大阪で生まれる。3才でクラシック・ピアノを始め、17才で単身渡米、1991年帰国。1998年、アルバム「For All We Know」でプロデビュー。そして、真価が100%発揮された弾き語りで制作された3枚目のCD「Life」は1999年春発売と同時に大ヒット。現在の綾戸智恵のスタイルがこの時確立した。以来、年間100本を超える公演チケットのほとんどが完売するために、もっともチケットの買えない歌手という称号を与えられている。2001年、第51回芸術選奨文部科学大臣新人賞(大衆芸能部門)受賞。2003年、紅白歌合戦で熱唱した「テネシー・ワルツ」が大きな話題となる。ジャズ、ポップス、j-popなど幅広いレパートリーを巧みにとり入れた個性的なステージは、ジャズという狭い枠組みを飛び越えて、多くのファンを魅了している。

池谷裕二(脳神経学者):
1970年生まれ。1993年、薬剤師免許取得。1998年、東京大学にて薬学博士号を取得。専門分野は神経生理学、システム薬理学。海馬の研究を通じて、脳の健康や老化について探求している(具体的な研究テーマは、i)海馬回路の高次可塑性、ii)多ニューロン活動の光学的測定)。2002年〜2005年コロンビア大学(米ニューヨーク)に留学。主な著書に『記憶力を強くする』(講談社)、『進化しすぎた脳』(講談社)、『単純な脳、複雑な「私」』(朝日出版社)など。共著には『海馬』(糸井重里/新潮文庫)や『のうだま』(上大岡トメ/幻冬舎)などがある。東京大学大学院薬学系研究科准教授、科学技術振興機構さきがけ研究員、東京大学・大学院総合文化研究科連携准教授ほか。

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