太田 結局テクがついていかなく、かつ、曲作りもできないので、もうバンドはダメだと挫折して。「僕にとっての音楽というものは、聴いてるだけで十分」と覚ったんです。そこで「果たして好きな音楽というのは何が残るのか」と思ったときに、「歌もの」だと自分の中で気づいて。そのころ流行っていたのが、第2次ブリティッシュ・インベンション。いわゆる80年代ニュー・ウェイブ時代ですね。僕も、スミスなどを聴いたりしつつ、やっぱりそれまでは「技術至上主義」でプログレ/カンタベリー系ばっかだったんで、その延長線上で歌モノもトラッド・フォークを聴いたり。でも、それがもう心の中で一段落着いたので、「これで、だいたい聴いただろう」と。その頃にはニュー・ウェイブも下火になってたし。そんな時に、『ビートルズ海賊盤事典』という講談社の本に出会いまして。その本のカラーページに「ビートルズの各国盤ジャケ違い」というのが載っていて。「あ、これだ。忘れていたのは」と。
川勝 具体的に、どんな風に集めて回ったんですか?
太田 <えとせとらレコード>のセールへ行ったり、中央線沿線の中古レコード店を仕事の休みの日に巡ったり。安く見つけたりするとゾクゾクしましたね。
川勝 新宿西口周辺もよく行きましたか?
太田 そうですね、新宿西口だったら<シスコ>、<ウッドストック>、<シカゴ>とか。渋谷は<レコファン>が出来た頃でしたね。そうそう、毎年お正月にビートルズ・フェアをやっていたんです、レコファンで。そこで傘を盗まれちゃったことがありますね。
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