(9/17)New!!

「どこまでも広がる砂漠に、まっすぐに咲こうとする一輪の花」――これが、ヴォーカル・YURIが今回の制作時にイメージした漠然とした原風景。どんなに弱い存在でも、たとえ寄りかかるものが何ひとつなくても、凛と大地を踏みしめて咲きたい。
そんな想いは今、najaという音楽フィールドにくっきりと輪郭を添えた。まるで植物のように瑞々しくも幻想的なポップ・サウンドが、YURIの意志ある歌声を浮かび上がらせている。

2003年の2月にデビューしたnajaは、そもそも音楽経験のないYURIの「歌いたい」という強い想いから始まった。高校時代、退屈な毎日にうんざりしていた彼女は、ある時「いい子でいなくてもいいじゃないって、壊れちゃったんです」と、見知らぬ扉を開けるべく約1年の単身渡米を敢行。そこでの生活はYURIと音楽との絆を深いものにした。帰国後、現トータルプロデューサーである、かの香織に書き溜めた日記ひとつ持って会いに行く。「日記を読んでもらえば、想ってることが伝わると思った」という彼女の型破りな行動力は、後に多くの人を巻き込んでいく。これが、najaの始まりだった。

「アルバムを作ってみて、najaがようやく見えてきた」と語るのは五十嵐公太(d)。
JUDY AND MARY解散後の喪失感を抱えながら彼も開けるべく次の扉を、刺激的な何かを、探し求めていた。その時、かのを通じてYURIと出会う。「歌が上手い人はたくさんいるし、いろんなヴォーカリストがいるけど、YURIはYURIでしかないと思った。こにすごく興味が沸いて」という彼は、秘められた可能性と共に歩き出すことにした。najaは(ヴォーカル/ドラム/アコースティック・ギター)の3人からなるユニットである。そこにプロデューサーや作家陣や音楽家とのコラボレイトによりその世界観を音楽にしていく。しかし五十嵐はアルバムを制作し終えた今、「やっぱこの3人はバンドなんだなって、思いましたね。特に今回、自分で曲を書いてからその想いが強くなって」と充実した感触を語る。この3人だからこそ生まれるもの。今、その言葉はnajaに対する想いが漠然とした可能性ではなく、確信に変わったことを示す。

「僕だから出来ることじゃなければ、やりたくないと思ったんです」と語るのは、横山達郎(aco.g)。彼もまた、RAZZ MA TAZZの解散から3年の沈黙を破る活動となる。「僕もヴォーカリストを探してて、いろんな人に会った。でも人間的な魅力を感じる人が、なかなかいなくて」そんな時、やはりYURIに「何故か人が集まってくる魅力と可能性」を感じて加入。「あくまでもアコースティック・ギターにこだわりたかったんです。前のバンドでもそうだったし、そこに限界を感じたりもしてた。でも、najaでは、その限界を超えられてる」と彼はnajaの参加により、またひとつ突破口を開いたのだ。

こうして生まれたnajaの作品は、幻想的な透明感に無限の広がりを感じさせながらここに佇んでいる。アコースティックの肌触りと打ち込みによる硬質感を共存させる、絶妙なサウンド・プロダクション。ポップ・ミュージックでありながら、どんな色にも混ざらず流されない芯の強さと味わい深さ。ヴォーカル・YURIのたたずまいと同様、一筋縄ではいかない存在感で遂に全貌をあらわしたのだ。「音楽って、それを聴くひとりひとりの生き方がそれぞれ違うように、感じ方も違うし、その人の色になると思う。嬉しいときや悲しいとき、その瞬間の色づけになる曲をnajaで作っていきたい」と横山は最後に語ってくれた。9月にリリースされるシングル「めまい」、そしてファースト・アルバムとなる「砂の城」。幾通りもの心の色に染まることが可能なタフなポップ・ファクトリーであるnajaにより、もうすぐ届けられようとしている。

text by 上野三樹


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